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優等生ってやつは「中華soba いそべ」

矢口渡駅というのは、何かよほど用がなければ行かない駅だ。蒲田駅から一駅だが、東急多摩川線に乗り換えないといけない。

いそべは矢口渡駅のすぐそばにあるラーメン店だが、とてもただしいラーメンをただしく提供し、ただしく経営されているため、夜の営業はほとんどしていない。お昼の営業で麺やスープがなくなって、しかも夜は営業しなくても(おそらく)店舗としてきちんと成り立っているのだ。

東京でラーメン店を開店するっていうのは、一獲千金を狙ってぎらぎらしているイメージがある。背水の陣で挑む感覚。

いそべはそんな感じはみじんもない。優等生なのだ。

すり鉢状のおしゃれなどんぶり。運ばれてきたラーメンは塩もしょうゆも上品ないでたち。でも、ラーメン。食べ応えもあるし、スープはきちんと飲み干せる、奥行きがあってかつさっぱり雑味のない味。これはリピートしたくなる。

ご飯ものを付ければ、気の利いた薬味がのっけてある。

おいしい

優等生のラーメンめがけて、矢口渡駅までやってくる人々も、きっとまじめな優等生だ。優等生による、優等生のための優等生的ラーメン。ラーメン一杯すするためにあの人もこの人も東京都の端っこで奇跡のマリアージュ。駅前にはほかになにもない。


わたしは優等生からは程遠い人間ですが、矢口渡駅まで行く用がないか、ときどき思い返します。

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