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ベジおせちの到達点 みどりえ「無添加・オーガニック自然派おせち」

おせちをひと揃え、全部作る人は少なくなったのではないでしょうか。

その昔、年末になると書店にはおせち料理のレシピ本がこれでもかと平置きで売られていた。おせちといえば、作る側にとっての一丁目一番地が黒豆。しわのない、柔らかな黒豆を炊くためにわざわざ圧力鍋を購入したご家庭もあるのでは?最近では、某人気料理研究家の土井先生が、平鍋で数日間かけて黒豆を炊き上げる一子相伝(?)のレシピを公開されるなど、原点回帰の動きも認められる。スウジツカンカケテクロマメ…

働いていなくても無理

家事専業ピープルでも、そうでなくても、気ぜわしい師走に何をさせようというのだ。そんなんしていたら、ネットフリックスの課金が無駄になってしまう。

しかし、おせちの宅配がずいぶんと普及してもう十年近くになる気がするが、プラモデルみたいな伊勢エビとか、見ただけでおなか一杯のかまぼことか、口に入れようとはどうしても思えない、着色されたくわいやちょろぎだとか、お重から「それ、抜いてもらってもいいな」があまりにも多すぎる。これに数千円から数万円を支払うことにちょっと抵抗あり。

数年間の試行錯誤の後、一念発起して、今年はオーガニックレストラン「みどりえ」の無添加・オーガニック自然派おせちを購入してみた。その名に偽りなく、基本的に肉や魚を使わず、オーガニック素材で作られている逸品だ。

数年前から、ベジタリアン向けのおせちを物色していたが、実際に注文できるものは少ないですよね。ベジタリアンというより、精進料理と銘打ったものはこんにゃくや豆腐を多用しているが、野菜が少なく、塩分が気になる。また、小規模な街のヴィーガンカフェが作っているおせちは店舗まで取りに行く必要があり、時間的に無理があることが多い。

みどりえをはじめて知ったのは、むかし東急東横ストアーで、お弁当を買ったとき。まだまだめずらしかった「ナンプラー」や「ココナッツミルク」などを使ったヘルシーなおかずを2、3品、それと玄米ご飯を紙製のおしゃれな箱に詰めてくれた。いまではどうやら東急への出店はしていないらしい。鷹番のレストランは健在とのこと。

31日、待ちに待ったおせちが届き、翌元日に老親と緊張しながらおせちを食べた。地味目の一段重だ。「これ幾らだったの?」と老親のしつこい詮索を往なしてご開封。そして食す。

(美味い!)

やはり、基本コンセプトはお弁当デリと変わらない。薄味で上品な味付け。生麩やお煮しめ、なます風のサラダ。どれもこれも旅館の八寸に盛り付けられそうな美しさ。買って正解。おせちの通販をはじめて苦節十年、ようやく我が家にぴったり、のお重を見つけた充実感。幸先好いぞ。

みどりえのベジタリアンおせちは(私の想像では)、厳格なヴィーガンを実践している方からすると、食べられないものもあるかもしれない。しかし、肉や魚が苦手だったり、おせちをそんなにたくさん食べる必要がないご家庭では嘘偽りなしにお勧めできる。元旦に食べ残した分は、次の日普通におかずにできる、そんな気さくさがかえってうれしい。

「ごまめ」のかわりだろうか、アーモンドやカシューナッツなどをキャラメルであえた一品が入っていた。これと小魚チップスか、「かえり」を取り出してきて人齧りすれば、口の中でナッツごまめになる。

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