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2021年の出演作品を振り返ってみる話

相変わらず全然更新しないな、note。
どうも、後関貴大です。

去年も同じことをしたのですが、今年出演した舞台の振り返りをしようかなと思います。年の瀬だしね。
全然関係ないけど年の瀬って無意味に浮かれちゃいますよね。このフワフワした感じがなんか好きです。本当に全然関係ないなこの話。

では、振り返ってみましょう。公演順に一つずつ。
ついでに公演後に作ったあつ森の再現衣装も添えておきます。

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①劇団競泳水着 6団体プロデュース「1つの部屋のいくつかの生活#3」参加作品『月にいるみたい』

2021年4月10日(土)~ 2021年4月17日(土)
@吉祥寺シアター

初・劇団競泳水着&初・吉祥寺シアターでした。
今年から本格的に再始動した劇団競泳水着。実は活動休止前から名前は知ってたんですが作品を観たことはなくて、去年(2020年)たまたま主宰の上野さんの別団体、TOKYO PLAYERS COLLECTIONで少しだけ裏方のお手伝いをさせていただいたときに初めてその作風を知りました。
そのときから「いつかこの人の作品に出たいなぁ」と思っていたら、こんなに早くその機会が巡ってくるとは思わなくて、出演が決まったときはかなり浮かれていたのを覚えています。

稽古が始まるちょっと前、上野さんとZoomで面談のようなものをしました。普段出ている芝居のことから好きな音楽のことまで色々と。
その中で「普段どういう役が多いですか?」という質問があったので「情けない役が多いですかねぇ」と答えました。
後日、送られてきた台本には好きな女の子(彼氏持ち)にひたすら翻弄されて、挙句の果てには見惚れたせいで湖に落下する大学生・鈴木太郎くん(28)がいました。
絶対これ俺の役じゃんという謎の確信。案の定でした。

役が決まった当初は得意分野だと思って自信満々だったんですが、いざ演じてみるとこれが案外難しかった。役を掴むのに結構時間がかかってしまったのを、これを書いている今思い出しました。
稽古初日にあまりにも上手くいかず、稽古後上野さんに、
「上野さん……。僕、沼ったかもしれません……」
と言ったら、
「まだ初日だよ??」
と笑われたのも今となってはいい思い出です。

あと、実は演出助手も兼任してました。
代理とか補佐で入ったりは今までもちょこちょこありましたが、俳優と完全に兼任するのはこのときが初めて。
だけど、共演者の皆さんが稽古場の準備や片づけを積極的に手伝ってくれたおかげで全然負担に感じませんでした。本当にありがたかった。
そういえば稽古中に誕生日を祝ってもらったりもしました。サプライズを久々に食らうと嬉しさと驚きで意味不明なリアクションしますね、人間って。その節はありがとうございました。
共演者の佛淵くんが「皆さん優しくて、怖い人がいなくてよかった」と稽古初期の方でポロっとこぼしていましたが、本当にその通りで作品の登場人物と同じく、みんな暖かくて優しい家族みたいな座組でした。

いや、ほんと。また出たいな。声をかけてもらえるよう精進します。
本当は来年4月の公演のオーディションも受けに行きたかったんですが、公演日程が厳しくて泣く泣く断念したので誰か僕の代わりに受けてきてください。
https://note.com/kyoueimizugi/n/n59a678737b93

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鈴木太郎。あまりにも独特な柄のニットは去年亡くなった祖父の形見です。
こういう形で役に立ってよかった。

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②オフワンズ 第5回公演『チンドル先生の愉快な授業』

2021年6月18日(金)~ 2021年6月21日(月)
@APOCシアター

大学時代(と卒業してからちょっとだけ)一緒に演劇をしてきた友人たちと久々に一緒に演劇をしました。
団体、というか鵜久森作品に対しての激重感情公演当時に書いたのでそちらも是非ご覧ください。AM5:00テンションです。

作品自体の話をあまりしてこなかったので、今回はそっちメインで。

『チンドル先生の愉快な授業』は、コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフに「もしも事件そのものを防ぐことが出来たらどうなったのか」を描いた作品です。
史実そのままではないとは言え(というかむしろそのままではないからこそ)実際の事件を取り扱うことに対して賛否はあると思っていて、実際公演中そういった感想もお見かけしました。
だからこそ出来る限り事件に対して真摯に向き合った稽古期間でもありました。
恥ずかしながらこの作品に関わるまで僕は事件の名前と概要ぐらいしか知らなかったので、個人的に事件のことを調べたり関連しそうな映画を見てみたりしました。特に『エレファント』はアメリカの学校の雰囲気や事件当時の世相を掴むのにかなり参考になったと思う。

役の話をすると、Twitterとかでも何回か呟いたんですが、とても後関らしくない役を振ってもらいました。向こう三年間くらいはこういう役回ってこないんじゃなかろうか。
暴力&嘲笑&咆哮&暴力、みたいな男・ロッキー。今まで演じてきた役の中でも友達になりたくないやつベスト3に入ります。
本番期間中は久々に声が枯れかけたし、終始全身筋肉痛でした。もっと鍛えろ。
本を黙読した段階では「これ俺やれるのかぁ?」と少し不安でしたが、声に出してみると思ったよりセリフがすぐに馴染んで自分でもビックリしました。自分の中の暴力性みたいなものを少し自覚しましたね。ひょえー。
物語全体を通してヒールではありましたが、彼には彼なりのプライドや大切にしていたものがあったりと、演じていて楽しい役でした。

最後に一つ裏話を。
実はこの作品(主に尺の都合で)カットされたシーンやセリフが結構沢山ありました。その中にはより直接的で核心的なセリフもあったり。
作品の印象がまた一つ変わりそうなところでもあるので、いつか何らかの形で公開されたらいいな。

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ロッキー。再現画像だとわからないけど人生で初めてパーマかけました。
あとパーカーの中に着てるTシャツが鬼ほどダサい。

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③sleepwalk[スリープウォーク]Next GENERATIONS vol.1 × アクターズライフ〔ACTORS’ Life〕2021『メゾンムサシノ』

2021年9月16日(金)~ 2021年9月20日(月)
@スタジオ空洞

昨年2月ぶりのsleepwalk、昨年12月ぶりの河西作品でした。
もうずっと言い続けてますが河西さんの作品が大好きなので、出演出来て嬉しかったです。

101号室と402号室、同じマンションの2つの部屋の物語。
こういった構成の作品には珍しく、お互いの部屋の話は一切交わりません。まずその思い切った構成に驚きました。
そんな作劇の都合や稽古スケジュールの事情もあってか、実は僕が出ていた101号室のシーンだけ先に台本が書かれていきました。
後から聞いた話ですが、402号室の方々は101号室だけドンドン充実していく台本に若干困惑していたそうです。大体後関のスケジュールのせいです。申し訳ない。

また、感染症対策の意味もあってお互いの部屋の稽古は別々でした。なのでもう片方の402号室の方々とは小屋入りの時に初めましてという形に。
短い間だったけど、皆さん仲良くしてくれて楽しかったな。いつか世の中が落ち着いたら直接会ってお酒飲みながらゆっくり話したい人が沢山います。これは去年からずっとそう。

役の話も少し。
とは言え、公演のアーカイブを年内まで配信しているので過度なネタバレは控えながら。
僕が演じていたのは101号室にある居酒屋の常連客・タイスケ。お酒が大好きで店員にダル絡みしたりするタイプの奴でした。

稽古期間中一番印象に残っていることは、本当に悪酔いして件の店員役の野木さんに電話したことです。
ここだけ書くとヤベー奴みたいですが、稽古最終日の通しで僕が野木さんにダル絡みするシーンがあまり上手くいかず、
「ちょっと実際酒飲んで電話してもいいですか?」
と野木さんに稽古後お願いしてみたところOKをいただいたという経緯がありました。

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実際のやり取り。ロング缶2本を一気飲みしたので上機嫌でした。
良い子はマネしないでください。

これのおかげか、翌日以降なんとなくそのシーンの居方が発見出来た気がします。気のせいかもしれませんが。

あと、この作品はダブルキャストだったのもあって、他の人と自分の役について共有出来たのも面白い発見でした。
もう一人のタイスケ・高見駿くんは元々知り合いで、小屋入りのお手伝いでたまたま会ったので少しお話をしました。
「タイスケってこうだよね」という話だったり、「このシーンここが難しいよね」といった演じてる側しかわからない部分で共感できたのがとても面白かったです。そのあと実際に高見くんが演じているタイスケを観たら、僕とは全然違うアプローチだったのも含めて。
自分の中にある引き出しとはまた違うアイデアがわかるから人の芝居観るのって楽しいな。

そんな『メゾンムサシノ』。
今年、2021年12月31日まで公演のアーカイブ配信中です。(視聴自体は購入から2週間まで可能です)
まだ観てないやという方、もし宜しければ。
後関はAチームに出演しています。
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=63472&

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タイスケ。衣装三着あるんですが、実はほぼこの公演の為に購入しました。
夏服全然持ってなかったから丁度よかった。来年着回します。

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④むろちろ 5回目『ねえ神様、ちょっとお前、もうええて。』

2021年10月14日(木)~ 2021年10月17日(日)
@中野スタジオあくとれ

去年、sleepwalkの公演で初めてお会いした俳優・杉浦雄介さんが、作・演出を務める団体、むろちろに出演しました。
この団体も去年公演を観に行って、「面白ー!」「いつか出てみたいなぁ~!」と思っていた団体だったので、声をかけていただいてとても嬉しかったです。

むろちろを思い返して一番最初に浮かぶのが、座組の打ち解けるスピードが後関史上過去最速でビックリしたことです。
初めましての人が多いと、どうしても緊張してしまって仲良くなるのに時間がかかるものですが、このときは滅茶苦茶早かった。
誰が言い出したのか忘れてしまいましたが、
「あだ名で呼び合おうよ」
という話になり、稽古2日目にして距離が縮まった感じがしました。
他にも共演者のみゆきさんが持ってきてくれたボードゲームで稽古の合間に遊んだりもしました。ワードバスケットで野木さんを煽り倒してたらそのあとのもう一戦でボコボコに負けたりしたのも懐かしい。

芝居の話をすると、もうこれは正直に言っちゃうんですが今年の中で一番苦戦した役でした。
「うまくいった!」と思った次の瞬間、またドツボにハマる、の繰り返しが結構続いちゃって歯がゆい日々が長かったです。根気強く付き合ってくださった杉浦さんや共演者の方々には頭が上がりません。
ただ裏を返すと、俳優として今後鍛えていくべきポイントを発見出来たので、そういった意味では非常に勉強になりました。

演じた福井利倫(ふくいとしみち)くんは、稽古の中で何回も印象の変わった不思議な男でした。家庭円満っぽく見える二児のパパなのに職場の上司と不倫しているなかなか剛の者。だけど機材のカメラを海に落としちゃったりするおっちょこちょいでもあります。
テーマは「愚直」。話を聞いているときに頷くのを極力減らしたり、何かを思い出すときに眉間に皺を寄せたり、杉浦さんのオーダーもあって色々試しました。
全然関係ないけどもらったダメ出しの中で一番面白かったのが、
「インタビューが聞き上手すぎる」
でした。
確かにインタビュー下手なの「愚直」って感じがする。

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福井利倫。最初は別の黒っぽい衣装に決まっていたのですが、劇場の壁と同化して僕の生首が浮く事態になってしまい急遽変更になったという経緯があります。
結果的に彼っぽい色味で、これはこれでアリ。

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⑤くべる『革命日記』

2021年11月27日(土)~ 2021年11月28日(日)
@シアターグスタフ

今年最後の舞台は、平田オリザさんの戯曲『革命日記』を、河西裕介さんの演出で上演する企画、くべるの公演でした。丁度これを書いてる1ヶ月前。

実は今回ここに書いた公演の中でもかなり早い段階から動き始めていました。カレンダーを確認したら劇団競泳水着の稽古中に既に稽古が始まってますね。

遡ること今年の2月末。
くべるの主宰で知り合いの女優である的場裕美さんから久々に連絡がありました。
「闇の演劇しない?」
という、遊戯王の世界観かな?と目を疑うようなお誘いがあり、詳しく聞いてみたところ河西さんの演出で『革命日記』のシーンスタディWSを行うというお話でした。

元々、公演形態にするかは未定で、このコロナ禍で演劇を継続していく難しさに向き合うために公演の上演を目的としない稽古をしよう、という主旨で始まりました。この頃にはまだ「くべる」という名前もなく、闇演劇なんて呼んでたりしました。怪しさがすごい。

その後、夏頃に一度通し稽古を行い本格的に公演として発表する話が進んでいきました。「くべる」という名前が生まれたのもこの頃。

僕が演じた小坂は、戯曲上では元々女性の役でした。
WSに誘うメンバーを的場さんと河西さんで決めていた時に僕の名前がたまたま上がったそうです。本当にありがたいお話。

元々女性だった役を男性に変えたことでテキストにまた違った意味合いが生まれたりしたのが面白かったです。河西さんの演出で出演するときの僕の役って大体悲恋要素が足されてる気がします。どんなイメージなんだろう。
劇中、近所の銭湯に言及するセリフがあったのですが、偶然劇場の近くにも銭湯があったのが奇跡の一致で勝手に盛り上がってました。感想ツイートでもそれについて言及してくださっている方がいて嬉しかったです。

途中期間が空いたりもしましたが、8~9ヶ月くらい稽古していた作品なので愛着が一番強い公演でした。
まだWSだった頃に誕生日ラッシュが続いていて、ほぼ毎回誰かの誕生日を祝ってたのを懐かしく感じます。小西さんの誕生日のときに「サプライズしそうな雰囲気を出しておいて何もしない」サプライズをしたのが一番面白かった。

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河西さんから計画の全容を聞いているときの様子。
天丼ってやっぱ面白いな。

稽古だけでも楽しかったし、最終的にこうしてお客様に観ていただける形で公演を行うことが出来て本当に良かったです。またくべりたいですね。

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小坂。いかにも革命やってそうなカッコいい上着は、的場さんのお祖父様の形見だそうです。バーバリー。値段調べて目玉飛び出た。
ほかの服も、衣装を担当していた渡辺ひとみさんがご用意してくださいました。カッコいいなぁ。

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というわけで。今年は5本の舞台に出演させていただきました。
実は年間5本は小劇場に立ち始めてから初めてでした。相変わらず厳しい情勢が続いていますが、そんな中で出会えた様々なご縁に感謝です。

来年も既に2本決まっていて、そのうち1本は既に情報公開しています。
4月13日~17日です。どうぞよろしくお願いします。

来年後半以降の予定がまだ真っ白で不安も募りますが、前を向きながらやれることをやっていきます、これからも。いろんなことに挑戦してみたいですね。

ではでは。良いお年を。

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