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初心者歓迎! 5分でできる「政治と関わるためのアクション」5選――NO YOUTH NO JAPAN代表 ・能條桃子さん(前編)

せっかく政治に興味を持ちはじめても「詳しくないから人と気軽には話せない」「反対する立場の人から叩かれるのが怖い」などと思う人は、少なくありません。
でも、それでは“興味の芽”がもったいない! そこで、カジュアルに政治と関わるためのアクションを前後編に分けてご紹介。

前編では、5分でできる5つのアクションを、U30世代に向けた政治・社会メディア「NO YOUTH NO JAPAN 」(以下NYNJ)を主宰する、慶應義塾大学4年生の能條桃子さんにうかがいました。


1.まずは気軽に話してみよう

「いまの教育システムってちょっとズレてない?」「地球温暖化が気になるんだよね……」など、自分が興味を持っている社会問題について、周りの友達と話してみましょう。
選挙が近いなら「どこに投票するの?」と尋ねてみたってOK。投票先を言ったり聞いたりするのはタブーではありません。もちろん、言いたくないことは言わなくてもいいのです。
誰かと話すことで、相手がその問題について考えるようになれば、あなたは間接的に社会に影響を与えることになります。

政治や社会の話をするときに大切なのは、意見と人格を切り離すことです。
意見は批判し合ってもいいけれど、人格を否定しはじめると、政治トークが楽しめなくなってしまいます。たとえば、仲の良い友達と、レジ袋の有料化について意見が分かれたとする。そんなときに「あの子は環境のことを何も考えてない!」なんて言ってしまうのは、人格の否定です。
意見を伝えるときには「私はこう思う」「私の考えは・・・」という表現がおすすめ。

政治トークで、最後に相手と同じ意見になる必要はありません。分かり合おうとせず、お互いの考え方や対話を楽しんで!



2.知って学んでみよう

自分を教育し続けることは、若くても年をとっても大切なこと。政治や社会の話はとくに、情報がどんどんアップデートされていきます。自分が中学の授業で習った話は、もういまの常識ではないことも……。新聞やテレビ、誰かの話などから新しい情報を学び続けることは、政治と関わる立派なアクションです。

新聞を読むのが面倒なら、LINEニュースなどでも充分! 気になる事件を見つけたら、それをGoogle検索すればいいんです。私が主宰するNYNJのInstagramアカウントでは、新聞からも話題をピックアップして、若者向けにわかりやすく情報をまとめています。なので、忙しい人はNYNJだけでも見てみてください。私も毎日ちゃんとは新聞を読めていないと思います……(笑)。

そのほか、若い世代が活動している社会団体のアカウントをフォローするのも◎。ジェンダーに関心があるなら「Voice Up Japan」、人権なら「Human Rights Now」、環境なら「Fridays For Future」など、さまざまな団体があります。同世代が発信する情報は、自分たちの言葉で語られていてわかりやすいはず。

ただし、情報収集先を一か所に頼っていると、見える世界が偏ってしまうことも……。

できれば複数のSNSアカウントやメディアを活用するのがいいですね。「このTwitterアイコンがかわいいから」「ニュースの文字のフォントが好きだから」なんてライトな理由でいいから、自分のお気に入りを探してみてください。


3.SNSでシェアやいいねをしよう

気になるニュースや社会活動のSNSは、どんどんシェアしたり、いいねをつけたりしてみましょう。「このニュースに関心を持っている人がこれだけいるんだ」「私たちの活動を気にしてくれている!」と数字でわかるため、発信している人の励みになります。
先日注目された『ツーブロックを禁止する校則』だって、SNSなどで話題になったからこそ多くのテレビでも取り上げられ、改善に向けて本格的な議論がはじまったのです。

以前あるメディアの編集長に『一人一人の指先にはすごく力がある』という言葉を言っていただいたことがありました。NYNJのアカウントにも、4万人のフォロワーがいます。フォローしている人はそれぞれ一度タップしただけかもしれないけれど、この数字はそのまま『4万人もの若い世代が政治に興味をもっている』という証明になるんです。私たち運営側のモチベーションも上がるし、よりよい発信をしていきたいと思えます。

選挙のときの「投票に行ってきました」ツイートも、そう。芸能人が呼び掛けるより、クラスの友達が投票ツイートを共有しているほうが、インパクトが大きくないですか? そんな一人ひとりの発信の積み重ねが、力を持って、社会を変えていくんです。



4.推しの政治家や政策を見つけてみよう

推しの政治家や政策を見つけて、その動きを追うようにするだけで、ぐっと政治が身近になります。推す理由は、あまり難しく考えなくてもかまいません。自分にうれしい政治をしてくれそうな人、自分にメリットのある政策を、探してみましょう。

私は新型コロナの自粛中、妊婦さんには優先して在宅ワークの環境を整えるべきだという政策を見かけたんです。とても共感できたので、その政策を掲げている政治家のSNSをフォローしたら、その方がどんな活動をしているのかがリアルタイムでよく見えて。実際に制度化されるまでの流れを、ドラマを観ているような感覚で体感できました。

推しの政策を見つけるには、政策プラットフォーム「PoliPoli」が便利。カテゴリ別にさまざまな政策を探して、応援コメントを送ったり、活動報告を受け取ったりすることができます。

気になる政策から推しの政治家を見つけたら、SNSアカウントやブログをフォロー。いいねやシェアをするだけで、相手に大きな勇気を届けられます。自分たちの存在を知ってもらったら、その政治家はいずれ、若者向けの政策に力を入れてくれるかもしれません。



5.自分の問題意識を政治に当てはめてみよう

もともと「政治にすごく関心がある!」という人じゃなくても、自分が社会のなかでおかしいと思っていることを突き詰めていったら、じつは政治の話だった……というケースは、たくさんあります。たとえば理不尽な校則や差別、体罰などの問題だって、政治や法律が変われば、解消するかもしれません。
日常を見渡して、自分が『10年後には変わっていてほしい』と思える社会の問題を、見つけてみましょう。

みんなが自分の“問題意識”を見つけられるように、NYNJでも毎月ひとつずつテーマを設けて、特集をつくっています。たとえば1月は教育、2月は貧困、3月はジェンダー、4月はLGBTQ、5月はコロナなど。こうした情報を見ているうちに、自分が感じている社会へのもやもやに、改めて気づけるのではないでしょうか。自分の生活につながっている問題が見えてくれば、政治への当事者意識がさらに増すと思います。

自分の生活は、じつはすべて政治と関係があるもの。たとえばコーヒーを1杯買うにしても、消費税や環境、フェアトレードなどの問題につながっています。自分がどんな行動をして、どんな企業にお金を払い、どう暮らしているかは、そのまま「政治に参加すること」なのです。


★能條さんがNYNJで進めているアクションは?

NYNJというメディアは、若い世代が政治や社会について知り、行動をはじめてもらうための入り口なんです。だから、どんな人にもわかりやすい、いろんな切り口を用意していきたいと思っています。

たとえば、デザインを見やすくおしゃれにして、“難しい政治のコンテンツ”には見えないようにするのも、ひとつの手。いつか『NYNJの投稿をシェアするのがイケてる』という文化ができるように、内容にもビジュアルにもこだわっています。

いま、20代の投票率は3割ほど。さらに次の世代は、もっと投票に行かなくなってしまうのではと心配しています。
投票は『誰に入れるか』ばかり注目されるけれど、まずは『誰かに入れる』ことがすごく大切。とにかく投票しないことには、若い世代に向けた政策がつくられません。投票率を上げるために、これからもNYNJは、社会や政治についての情報発信を続けていきます!

さらに深く政治と関わってみたくなった方は、次回記事もチェック!
後編は、8月9日掲載予定です。