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学級開きに要するエネルギーとは

3月に入り、早くも「学級開きをどうしよう」という若手教諭の声がちらつき始める。

藤倉先生はどうするんですか?と聞かれても、これがなかなか役に立たない。

そもそも、僕のスタンスが「学級開きってそんなに気合い入れるものなんですか?」という程度のもので、お世辞にも気合いが入っているとは言えない(笑)

大体にして、教育というものは日々の積み重ねがものをいうのだ。学級開きでこれをやらなかったから、1年間、取り返しのつかない刑に処されるというものではない。むしろ、逆なのだ。学級開きで事済ませたと思い込み、日々の生徒との関わりに欠陥があることの方が問題なのだ。

学級開きに気合いを入れるのではなく、担任として「ここだ!」と思うポイントに1年の中で何度か刺さっていく、という感覚の方が僕の教育観には合っている。

とは言え、仮に自分が学年主任だとして、なんの助言もなく学年の若手に学級を預けることはないだろう。自分なりに、手立てではなく「考え方」としての方向性をまとめてみたいと思う。
なお、僕の学級開きの方向性は基本的に「学級開き3・7・30・90の法則」(堀裕嗣氏)に沿っていると捉えていただいて構わない。

1.最初の3日間は心的距離を縮める
 規律第一にうるさく言うのではなく、生徒の長所や好みを把握する3日間。また、できなかったら教える、というスタンスを大きく示す。

2.最初の7日間は学級ルールを確立し、体験させる
 僕のクラスは基本的に週替わりで班活動を回していくのだが、最初の1ヶ月は班の日替わりを徹底する。必ず7日間で班活動などを回し切り、全生徒に経験を積ませ、都度細かいところまで教える。
 掃除や給食の場面などで、2〜3日回しても同じ間違いが出てくるようなら自分の指示が目の前の生徒に伝わっていない可能性が高い。その場合、全体の動きを1度止めてでも「すまんすまん、この説明でわかったかな?」と再確認を促すくらいは徹底するとよい。

3.最初の30日間は学級ルールを「担任がいなくても(例えば、副担任が入っても)ある程度回る」レベルを目指して定着させる
 「ゴールデンウィーク前までは日替わり!」と最初の3日間に宣言してここまで進める。「担任がいなくても回るクラスが目指すべき集団だ」とポリシーを明確に示してここまでを進めることが、担任にとっても生徒にとっても大事。

4.最初の90日間は授業規律を確立、定着させる
 小学校教諭は言わずもがな、中学校教諭であろうとこの90日間はしっかりと「板書の取り方」「発言の仕方」「グループワークの机の組み方」まで徹底するべきだ。更に、担任であれば全教科の授業の様子を見切るべきである。余裕があれば他教科の様子を学級通信で取り扱えば保護者も安心することがある。
 時に他教科で実施するよりも規律徹底したことにより「他の教科ではもっと優しいのに…」と捉えられることもあるだろうが、そこは教師の腕の見せ所である。その活動や規律に意味があることをそれぞれのキャラクターに合わせた方法で落とし込むことに尽力すべきだろう。

上記1〜4のいずれにおいても、大事な考え方は下記の4点だ。

1)学級開きは3日ではなく最初の90日を1単位として考えて戦略的に経営すべきであること
2)教えるべくは教える、を徹底して2学期からの行事活動に自律的な動きを求めること
3)時に冷たいと生徒に捉えられても、「のちに崩壊するより、よっぽど誠意をもって接している時間なのだ」というスタンスを自分で崩さないこと
4)「もし生徒が冷たいと感じたとしたらその分の倍の時間を可愛がろう」というスタンスを常にもつこと。また、特に91日目以降に発揮すること

90日間を見通した戦略となると、最初の3日間の肩の荷も降りるだろう。学級開きは3日間でいきなり決まるとして注ぐエネルギーではなく、90日間に渡って持続するエネルギーが求められるのだ。

あまり学級経営に力を入れるタイプの人間ではないのだが、参考になった方がいたのであれば幸いです。

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