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協調性回復・向上エクササイズについて

今回は、協調性回復・向上の為のエクササイズについてまとめてみました。
(日本スポーツ協会公認ATテキスト アスレティックリハビリテーションP40〜47あたりの内容についてまとめています。)

まず、「協調性」とう言葉をよく耳にしますが、一体この協調性とは何を意味しているのか。また、何をどうするアプローチなのか。

個人的には


"点と点をつなぐ能力"


だと感じています。

先に挙げています記事で、ROM回復向上のEXや筋力回復向上のエクササイズについてまとめていますが、これらの先にある工程。それが「協調性」を養うトレーニング=協調性トレーニングではないかと捉えています。


協調性と固有感覚について


先ほど、協調性とは『点と点をつなぐ能力』と説明をしました。
この点が分節として捉えると、○の部分(分節)と△の部分(分節)を協調させ動かす。
その様に捉えることができます。
また、一つの運動について複数の分節が運動を形成している場合、互いの位置関係や空間上での位置関係を把握する必要があります。
この時に作用するのが、以下の固有感覚となります。


位置覚:各関節の空間内での位置取りを認識する能力
運動覚:各関節の動き(運動方向)を認知する能力

例えば、他動的に肩を外転90度の位置まで動いたとします。
持っていかれた当人は、肩甲骨に対して上腕骨が外転方向に動き、脇が90度付近まで開いている(外転している)ことを認識します。(=位置覚)

次いで、もう「一方の腕を同じ位置まで動かしてみてください。」と言う指示が出たとします。

闇雲に動かす前に、基準となる腕がどの位置(方向)にあるか再定義します。
(=位置覚)

そして、どの位置に腕が動かされ現時点でどの位置にあるか認識し、もう一方の手を同じ位置まで動かそうとします。

この際、次第に動く腕の状態(位置)を把握し、運動を微調整しながら運動の完成を目指します。(運動覚)

この例えをさらに平たくすると・・・・・。
「今自分の腕がおおよそ90度開いている。」と認識する能力が位置覚。
実際に関節運動を行う中で、
「もう少しで90度付近だな。」と認識する能力が運動覚となります。


フィードバックとフィードフォワードについて

協調性エクササイズを考える際、フィードバックフィードフォワードという概念を理解しておく必要があります。

これは、この類のエクササイズが固有感覚を最大限に活動させ行うエクササイズであることにあります。

フィードフォワード:これまでの経験を踏まえ、先を予測する能力
フィードバック:実際に起こった動作に対し、目的とする動作に修正する能力

例えば、足関節捻挫を経験している選手が、活動中にステップを踏んだ際にスパイクの小指側がグラウンドに引っ掛かったとします。
思わず再発すると感じ、小指側にこれ以上荷重しない様に、足裏全体をグラウンドに着けようと距腿関節の外反動作を作ります。(フィードバック)

「危なかったー」と言えるのは、動作中に現状を適切に捉え、その情報を元にリスクから回避する動作を作れたことによるものと考えられます。

そして、この先に行われるステップの練習において、先ほどのエピソードを踏まえ、ステップの踏み方を工夫する行為を模索します。(フィードフォワード)
「前は、○○して再発しかけたから、次回は△△しよう!」という様な形で、動作を微調整します。
この微調整と動作形成前の準備が進むことで、フィードバックが作動する前に動作完結に至る高速な動作について対応しやすい環境ができたと言えます。

フィードバックが作動する前に掛かる時間
体性感覚で30-50ミリ秒の遅れ
視覚では100ミリ秒以上の遅れ
*運動時間が1秒を切る様な局面では、有効なフィードバック機構を活用できないとされています。よって、「予め」運動を予測し運動を形成することが重要となります。

大須理英子:運動の制御と学習ーリハビリテーションの観点からー認知神経科学Vol.7 No.3 2005

協調性の機能回復・向上を目的としたトレーニングを実施する場合、実際に運動を実施する前に、「良い」とされる。または「模範」とされる動作を予め認識し、その動作を再現できる様に取り組むことが重要と言えます。
また、実施すれば完成ではなく、実施後に予定されていた動作と実際に行った動作に相違がないかを振り返ります。
その中で、相違が見つかった場合、その差を埋めていく。この繰り返しが今日調整トレーニングの本質と言えます。

エクササイズの捉え方

エクササイズのゴールは「全身運動としての調整力の向上」にある。
その中で、怪我により患部に運動の制約がついている場合、以下の点について考慮すべき必要がある。

運動制約のある中でのエクササイズの捉え方


さらに、その運動制約が生じている部位(エリア)について、その部位の運動特性を踏まえ、可能な範囲でのエクササイズ実施が望ましい。

各部位の運動特性

例えば、足関節捻挫を患った選手が居た場合。全荷重が困難(または、医療機関から制限をかけられている場合)な場合、立位でのメニュー実施は難しいが、端座位や長座の肢位でできるエクササイズは数多くある。

また、エクササイズを通じて協調性を図る上で、その評価(効果判定)を入れることが重要とされている。
この評価で重要な点は、その動作は複数の調整力がお互いに作用しあっているといった観点を持つことである。
○○ができたから良し。ではなく、似た様な動作を複数行う中で、その動作に対する完成度(協調性が図れているか)を判断すべきである。

神経協調性エクササイズと評価について


エクササイズのプログラミング(プログレッションとリグレッション)

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