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22.2.8 コンタクトレンズって何でできてるの?

こんばんは、多部栄次です。
毎日日記やっていきましょう。

タイトルの答えを言いますとググってくださいの一言に尽きますが冷たい返しですね。では本題に入る前に少し世間話を。

このあいだ友達と電話したときにコンタクトのハードとソフトの違いを教えてもらいました。
どういったときにどちらを使うか、目の相性とかで変わるようです。あとソフトの方が乾燥しやすいですし、居眠りしたときにダメージが大きいのはソフトらしいです。コンタクトや眼鏡を使わず裸眼で生きている僕にとっては新鮮な話でした(自慢しますが現在両目裸眼で視力2.0です)

そこでやっぱり気になるわけですよ、ソフトとハードはどんな分子骨格で構築されているのかと。


ハードコンタクトレンズ

まず、コンタクトレンズ(CL)に要求されるスペックはいうまでもなく透明性と加工性です。光彩の大きさの曲面を精密にしなきゃならないので、その点硝子だと不向きなのは容易に想像しやすいと思います。割れますし危ないですからねそもそも。

その点ポリマーは加工性に優れていますし軽量です。1940年代にハードCLとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)が視力矯正材に使われるようになりました。

図1. PMMAの分子構造(Wikipediaより抜粋)

ただ、PMMAは酸素透過性が低いです。そりゃまぁ極性も比較的高いので(自由体積大きそうなんだけど低いってことに僕自身意外に思ってます)そうなんだろうなとは思いますが、酸素透過性が低いと目に酸素が行き届かなくなり、細胞に栄養がいきわたらず、劣化や傷がつきやすくなるそうです。そのため長時間の装着が困難かつ馴化するのに時間を要します。

CLの歴史のほとんどは透明度を保ったままいかに酸素透過率を上げるかで述べられています。気になった方は以下のPdf資料を引用しますので、チェックしてみてください。「コンタクトレンズの現状と将来について」の内容です。

https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/13-03-kaisetsu4.pdf

そこで、酸素透過性を上げるシリコーンやハロゲン(フッ素)を組み込む、いわばそれを含むモノマーと共重合させることでこの問題を解決しました。

ソフトコンタクトレンズ

一方、ソフトCLは弾力性に富み、装着時の違和感は小さいらしいです(つけたことないのでわかりませんが)。それはハイドロゲルによるものでして、主にポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)が使われています。

図2. PHEMAの構造式(Sigma-Aldrich®より抜粋)

PHEMAは含水率が高いほど酸素透過率(単位は評価法によって様々ですが、[cm^3・cm]/[cm^2・s・Pa]が一般的で、CLを対象にした場合はDk/Lと評価されます)が高くなる一方、タンパク質が沈着しやすくなるため、衛生状態を保ちにくいです。

そこでまたもシリコンが活躍するんですよね。siliconと共重合することで酸素透過性を向上させた素材も今日開発されています。

カラーコンタクトレンズ

あ、そういえばカラーコンタクトもありましたね。あれどうなってんのって話ですけどもついでに紹介させていただきます。

まずカラコンって何? っていう方…がいるのかわかりませんが、コンタクトレンズに色がついたものですね(超ざっくり)。要は虹彩の色を変えるためや黒目を大きく見せるために使われます。ユーザーは女性の方に多いでしょうか。カラーというだけにさまざまな色があるんですね。色の数だけ色素が使用されてますが、レンズに色素が存在することで眼の表面にさまざまな影響を及ぼしているのも否めません。そのため現在は影響を軽減する方式でカラコンは作られていますがそれについては後述します。

尚、色素成分を調べた資料があったのでそれを添付いたします。ただ成分の詳細を述べてはいません(自分の知るフラボノイド系やカロテノイド系等の分子だけで済む話でもなさそうです)。

https://jnjvisionpro.jp/sites/jp/files/public/zs984.pdf

色素を内蔵させる方法は3つあります。
ひとつはサンドイッチ法。色素部分が角膜やまぶたに直接触れない、主流となっている安全性の高い方式だそうです。
コンタクトレンズの素材と素材の間にデザイン色素(着色剤)をサンドイッチするように製造して、1枚のレンズを完成させます。色素がレンズ素材の中にしっかりと閉じ込められるため内包性が高いです(ほぼ抜粋)。

他には浸透方式、プリント方式があげられますが、内包性はあまり優れておらず、比較的安全性に欠けるので、上記の方式が主流となっています。

おわりに

今日は紹介するだけになってしまいましたが、日常何となく使っているものをいろんな角度から見るのは非常に面白いと思います。僕の場合は化学(構造論)の眼鏡でみることが多いですが、まだまだ分かってないことの方が多いと痛感させられます(今回も表面的なことしか言えていないですし…)

思い出したかのようにたまにこういった分子の話もできればと思います。

それではおやすみなさい。明日も良い一日を。

参考文献(本文に掲載したものを除く)
1) 浅沼浩之、樫田啓、神谷由紀子 共著、「生体材料化学 -基礎と応用-」、コロナ社、2015、pp102-107

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