消しゴム顔｜毎週ショートショートnote

僕は文字を消して書き直すことが多い。なので、シャーペンの芯も消しゴムも減るのが早い。
何より困るのが、消しゴムのカスがたくさん出ることだ。なので、カスが少したまったら、まとめて隣の島田へ投げる。

――やめろ！

声に出さない訴えを無視して、消しゴムのカスを、ためては投げ、ためては投げ……を繰り返していると、島田の顔が消しゴムになった。学生服からニョキっと白くて四角い消しゴムが生えていて、目と鼻と口が付いている。なぜか耳はない。

眉と髪の毛の部分は黒くなっていて、まるで味付けのりがくっ付いているみたいで面白い。面白いので、そのまま放っておくことにした。

島田は気付いているのか、それとも気にしていないのか、カリカリと熱心に黒板の文字をノートに写している。

不意に、島田がこっちを見た。

「イケメンだぞ」

「そう？　じゃあ、おかえしに」

島田は自分の頭の角を指で削り、そのカスを僕に投げつけた。

「てめぇ！　ぶっ殺すぞ！！」

【了】408字

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たらはかにさんの「毎週ショートショートnote」参加用です。
今週のお題は「消しゴム顔」。

毎週、何となく見てはいましたが、実は初参加です。
なかなか思い浮かばなかったので、もう思い付きと勢いで書きました。
410字程度でまとめるのも、なかなか難しいですね。
でも、良い訓練になりそうです。