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小説&ショートショート

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小説は主に短編です。フリー台本として、ご自由にお読みください。 (全部ではありませんが、「聴くっしょ!」にも投稿しています)
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#ショートショート

転がる石ころたち|短編小説

「あー、この曲、CMで聞いたことあるな。言うなよ? 当てるから」  カーオーディオから流れ…

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空色の鉛筆|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 新しい色鉛筆を買った。とは言っても、それは「空色」と書かれた1本の鉛筆で、黒色の芯が付…

トガシテツヤ
5か月前
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祈願上手|毎週ショートショートnote

「神様、あー神様、どうかお願いします……」 ブレザーを着た高校生らしき少年が眉間にしわを…

トガシテツヤ
1か月前
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放課後ランプ|毎週ショートショートnote

「74番ゲートにて、進学743便にご搭乗予定のお客様にご案内します。 当便のお客様の機内へのご…

トガシテツヤ
1か月前
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春ギター|毎週ショートショートnote

――今年も沸いて出たか……。 夕方、駅前ロータリーのストリートミュージシャンを見て、心底…

トガシテツヤ
2か月前
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G.W|ショートショート

「皆さん、こんばんは。GWです」  いつも通り、夜の7時きっかりに配信が始まり、チャット欄…

トガシテツヤ
2か月前
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ジャミロクワイ|ショートショート

「ジャミロクワイって、声に出して言いたくなるよね」  どこかの誰かがSNSで呟く。 「だよな!」 「確かに!」 「みんなで言おう!」  どこかの誰かが同調する。 「仕事変わったらジャミロクワイしよーぜ!」 「週末、ジャミロクワイに行かない?」 「となりのジャミロクワイ」 「続きまして、天気予報とジャミロクワイです」 「被告人をジャミロクワイ26年の刑に処す」 「このジャミロクワイは現在使われておりません」 「警察です。事件ですか? ジャミロクワイですか?」  どこか

神様のおしごと|ショートショート

「あなたが湖に落としたのは、普通の鍵ですか? それとも最新式の非接触型ICカードキーですか…

トガシテツヤ
5か月前
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ヤドカリ父さん|ショートショート

 缶ビールを2つベンチに置き、しばし海を眺める。僕と一緒にビールが飲みたいと言っていた父…

トガシテツヤ
6か月前
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夜を渡る風|掌編小説

 目が覚めて、窓から外を見ると、もう日が沈んだ後だった。  ――しまった。  夜の風が来…

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大晦日の無線機|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 最後の日、無線機から聞こえてきたのは……。 *** 「施錠よし。鍵の返却よし。消灯よし…

トガシテツヤ
6か月前
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イチョウの木|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 12月の頭に帰省しようと思ったのは、年末年始の民族大移動に巻き込まれるのが嫌だったから。…

トガシテツヤ
7か月前
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ヒグマフィッシング|ショートショート

 ――あれ?  意気揚々と渓流釣りに来てみると、ヒグマの親子が釣り糸を垂らしていた。僕と…

トガシテツヤ
7か月前
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金魚アタック|掌編小説(#シロクマ文芸部)

 ――咳をしても金魚ですから。  動物病院の医師が何気なくそう言ったのが、ちょっとおかしかった。ブラックジョークだろうか。とにかく、「軽い風邪のようなもの」ということで安心した。 「行くぞ」  名残惜しそうに、ふよふよと医師の周りを漂う金魚に声をかけると、金魚は車の窓から遠慮がちに入って、静かに助手席に着地した。 「2、3日は水槽の中で安静にしないとな」  水中で「安静」が成り立つのかどうかは分からないが、医師から言われた通りにするしかない。  帰って玄関のドアを