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大丈夫、未来はきっと明るい

5歳のころから、女の集まりが苦手だった。
引っ越して初めて通った保育園で、ボスとなる女の子の言うことを聞かないととハブられる社会に投げ込まれた。孤独になることや仲間はずれにされることが怖くて、人の顔色を伺う毎日。保育園の年長でそんな社会が始まった。

小さな町だったから、卒園して小学校に行っても中学校に行っても、人がほとんど変わらない。結局、中学卒業まで10年も狭苦しい社会にいたことになる。息苦しくて仕方なかった。ようやく市内に出た高校生活も、そんな処世術しか知らなかったから無理をしたのかもしれない。何年か後に、母から「あのころ仮面被ってしんどそうだったね」と言われて、たしかになって思った。

28歳になって思うのは、もうあんな社会には戻りたくないってこと。

思ってもないこと言って気分よくさせてるのに、裏で悪口ばかり言ってたり、仲良しごっこしていたり、仲いい子とっかえひっかえしていたり。馴れ合うことがよしとされていたり。あんなところには二度と戻りたくない。だから未だにそういう世界に引きずり込まれそうになったら、逃げてしまう。

大人になってよかったなと思えることのひとつに、逃げ出せる力がついたということがあると思う。

そりゃ我慢もする。いざそのときになったら「これは逃げてるのかな」って思うけど逃げないと自分がつらくなって動けなくなること知ってるから。わたしは置かれた場所では咲けない人間なんだろうな。でも逃げていいんだって思えたことは、わたしをずいぶんと楽にさせた。我慢するだけが能じゃないんだって。

自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要なありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、誰がシロクマを責めますか。

(引用元:西の魔女が死んだ)

ねえ、15歳のわたし。
28歳のわたしは、あの小さな田舎町に住んでいたときより、何百倍も自由だよ。そのかわり背負うべき物もあるけども、ずっと生きやすいの。


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このnoteは2016/06/08 00:25に下書きされたものです。

下書きの中で最古の、ちゃんとかたちになっていたものだったのでこの機会に放出しました。

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