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トレードオフの笑顔 - 200525 -

何年か前に、子どもを産んでしばらくした友人と遊んでいたときのこと。彼女は育休中で、かわいい子どもを抱いて目まぐるしく過ぎる子育ての日々に奮闘していました。

何の話をしていたかは忘れちゃったけど、あるときふと「最近のストレス解消は桃のインスタを見ること」だと彼女は話していました。桃、というのはかつてテレビ番組『あいのり』に出ていたタレントのこと。

当時桃さんが何かするたびに炎上したりネットニュースになったりすることはわたしも知っていたけれど、友人はその炎上しているSNSを見ることが日々の楽しみなのだと話します。

念のために言っておくと、友人は心優しくて人の痛みをわかる人で、よく笑い、ときには自分を卑下しながらも懸命に生きていて、わたしも彼女に何度も救われました。大事な友人です。

そんな彼女が、だれかの炎上を楽しみにしていることがどうも理解ができなくて、少し困ったことを覚えています。「子どもの前では笑っていないといけないから、日々のイライラをそういうところで発散しているんだと思う」と話す彼女を見て、ちょっとしたストレスや自分の感じる違和感をだれかが代わりに大声で叫んでくれていることが気持ちよく感じるのかもなあ、なんて想像していました。自分が直接コメントすべきことではないとわかりながらも、少し度が過ぎた人の同じような正義感に彼女は共感していたのかもしれません。

子どもの前では笑っていたい。その代わりに、だれかの炎上を(直接的に火を注がずとも)エンターテイメントとして楽しむ。そのトレードオフが、わかるようで、どうもしっくりこないわたしが今もいます。わたしはできるなら炎上は見たくないし、違和感を感じる人やコンテンツとは距離を置きたいと考えているからです。

先日、Netflixの番組『テラスハウス』に出演していた方が、自身に受ける誹謗中傷を理由に命を絶ったと聞きました。わたしは『テラスハウス』を見ていないので詳しいことはわかりませんが、番組が度々物議を醸し、炎上していたことは知っています。

今回のこのニュースを知ったときに、冒頭の友人を思い出しました。

あのころのわたしは彼女の話を「そういう考え方もあるのか」と聞くことしかできなかったけど、もし、友人が今も同じようにしか日々のイライラを解消できないのであれば、わたしには何ができるんだろう。

考えても考えても答えは出ないけれど、なにか彼女の笑顔の対価となる何かをわたしはできる限りおすそ分けしたいと、やっぱり考えてしまいます。

笑顔をどうしても作れない世のお母さんたちのために今のわたしは何もできないわたしだろうけど、せめて大切な友人である彼女の笑顔を作れたらと思わずにはいられません。




おやすみなさい。


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