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カルガ キゾンバ フェスティバス【夜のパーティー編1】

※1 「カルガキゾンバフェスティバル」は、スペイン・バルセロナ近郊で行われる、国際的なキゾンバフェスティバル。キゾンバとはアンゴラ発祥のペアダンスで、ヨーロッパを中心に様々な世代に人気を博している。これは、完全な趣味でこのダンスを細々と楽しんでいる、フォロワー女性視点で書かれている。

※2 リーダー=踊りをリードする人。主に男性が多い。
※3 フォロワー=リーダーの踊りについて行く(フォローする)人。主に女性が多い。

フェスティバル中のパーティーは、真夜中と夕方に行われた。
この記事では、真夜中のパーティーについて触れたい。

開始時間

そう。それは「夜」じゃなくて「真夜中」なのだ……。
さすが情熱の国ー夜に強い国、スペイン!

パーティー開始時間は、日が変わった0時から。
それも、23時〜0時までレッスンをしていた場所をそのままパーティー会場として使うから、レッスン時と照明を変えたり受付をしたりでスタッフの皆さんがバタバタしていると、結局は0時半前に開始になっているのでは、と思う。

ドレスコード

これは個人的に、キゾンバフェスティバルの醍醐味の一つだと私は思っている。
ズークはあまりにも動きが多いためドレスコードは設けられず、ある程度動ける服だったし、反対にタンゴは常にある程度はエレガントな服と、選択肢は2つのダンスとも、狭い。

ところがキゾンバは、日本のキゾンバフェスティバルでも、
1日目 カジュアル
2日目 エレガント
3日目 スポーティー
などテーマを決めてくれているから、3日間で色々な自分を表現できるし、他人の色々な側面も、ファッションから知ることが出来るのだ。

さて、カルガキゾンバのドレスコードはというと…
1日目 Barbie & Ken バービー&ケン
2日目 Gala& Glitter/Brillo 祝祭と光/ 輝き
3日目 Exotic-Caribbean エキゾティック・カリビアン

「バ…バービーとケン……?!難っ!」
既にズークフェスティバル参加のために出国した後このドレスコードを見たため、私はスーツケースにある服でコーディネートを考えないといけなかった。

「“輝き“はタンゴの服でカバー出来るとして、この“エキゾティック・カリビアン“は、どうしよう……。あっリゾートワンピースがあるから、あれでいいや!」

一番難しいのは、やはり1日目だ。
「“バービー“は……とりあえずピンクを入れたら、許されるかな」
こんな感じで、直感で、適当でもいいからドレスコードに従うのが、個人的には楽しい。

現地ヨーロッパの人達はどうなのかー。

まずドレスコードをする人達は、とことんこだわっている!
初日、直前レッスンでペアを組んだ人達はドレスコードをフォローしている人が多く、リーダーもピンク満載。
とてもガーリーで可愛い雰囲気だった。
髪の色までピンクに変えている人もいて、そのこだわりには脱帽!

対して、いつも通りの華やかなワンピースの女性もいたり、上から下まで見事黒づくしでやって来る男性もいたり、日本と同じく自分のスタイルを3日間徹底して固定している人もいた。その貫きも、ある意味その人ならではの主張なんだろう。

朗報ー日本人は大人気

コロナ禍の前にヨーロッパで大活躍していたY先生は、
「コロナ前にヨーロッパのキゾンバパーティーに行った韓国人の情報では、アジア人という理由で踊ってもらえなかったという話も聞いたけれど、時代は変わって来ているかもしれないから、怖がらないで^^」
と、事前にヨーロッパのパーティー情報をシェアし、励ましてくれた。

「実際、そんなこともあるのかぁ。でも、時代は変わってないかな?!」
とどちらも予想して会場に行ったら、良い予想の方が的中した。

時は2020年を超え、よりグローバル化が進んだのか、コロナを経て価値観が変わったのか、この日本人女性フォロワーはダンス会場にいる間、色んなダンサーから誘いを受けた。

それは20代から80代位までと年齢の幅も広く、国籍もスペイン、フランス、イタリア、ドイツをはじめとしたヨーロッパの人々をはじめ、アメリカ、コロンビアの人まで幅広かった。

踊る時間は、一人一人が結構長い。
例えば4時間会場にいたとしても、一人に一時間半以上腕を解かずリードされていたら、後の人とどれだけ短く踊っても10人も踊れない。

この辺りを計算して、2〜3曲踊った時点で相手がアップテンポの音楽がかかっている時間でもドゥサー(とてもスローで動きの少ないタイプの踊り)しかしなくなったり、動きが疲れて来ているかな、と思ったら、フォロワーは笑顔で感謝を込めて
「ありがとう」
と言って、終わりにするも良いかと思う。
特に後ほど触れる困ったタイプのリーダーに当たった場合は、一曲でも十分だという。

でも、「例えドゥサーでもつまらない所か気持ち良い」、もしくは「長くリードをして来る人が自分にとってベストダンサーの一人」だと思ったら、一時間を過ぎても、その人とのダンスを五感で感じ切ったら、唯一無二の思い出になる。
五感と直感に素直に従ったら、その時期に合わせて踊ったらいい相手が自分の前にタイミングよく現れ、充実の時間が過ごせるはず。

ヨーロッパで開催されるフェスティバルには、地方の町や村から参加している人もいるようで、そういう人は日本人やアジアの人と踊ることが自体が、初めての人もいた。
そんな人達は、ますます特別な気持ちでこの日本人と向かい、踊り出してくれた。

ある人は私を誘いに来てフロアに立つと、少し遠慮がちに、両手を上向きに差し出した。

「普通に組むんじゃないの……?」
私は驚きと新鮮さを感じながら手を、そして指をその人の手の上に乗せた。

レッスンの時から、与えられたステップ以外のことも器用に展開して楽しませてくれる人だったし、キゾンバは数年踊り、踊りなれてるということだったけれど、その人はその両手を再び遠慮がちに、宝石を触るように親指で優しく触った。

初めて女の子の手を触るように、その人の手は少し緊張しているようにも見えた。
どんな感じなんだろう、とドキドキしている時の人の、そういう手。
若いけれど確実に、たくさんの女性経験がありそうな風貌とは裏腹に……。

その人は日本人と踊ることに、それだけ特別な、何か特別な王冠でも触るようなものを感じていたのだろうか。
このように、まず手でコネクションを取るだけでも、とても丁寧に、特別に始めてくれる人もいた。

時代は変わり、踊れないどころか、たくさんの人に長く踊りたいと思われている、日本人ーそして恐らくアジア人 (というのも、アジア人女性は私一人だけで、アジア人の見かけをしていた2人の男性も、国籍はカナダとスイスにだったから、自分自身以外のことは100%は分からない)。

「踊ってもらえるか」と心配する時代では完全になくなった今こそ……
いざヨーロッパへLet’s go!!!

困った種のダンサーには、要注意

世界的なインスラクターが集結する、この「カルガキゾンバフェスティバル」のパーティーでは踊れる人がとても多く、本当に楽しかったのだが、一種類だけ、仲間と頭を悩ませた種類の人達が数人いた。
Some Grandfathersー数人のおじい様達だ。

ヨーロッパのおじい様達はとにかく精力的で、4時位まではずっと踊り続けたりしている。それ所か夜を越していたすごくキレの良いおじい様も、おられた!

おじい様の中には素晴らしいタクシーダンサーの方もいて、楽しく踊らせて下さったおじい様には尊敬の念を抱き、そして元気に歳を重ねる秘訣などもオフの時間に聞いたりした。
こういうおじい様とは、いくらでも踊っていても話していても、楽しい!

しかし……。
おじい様の中には、キゾンバが出来ないのにパーティーだけ参加している、困った人も数人いた。
彼らは曲が始まってもその場に突っ立ったまま、お腹を突き出して引っ込めることが、キゾンバだと思っているようだ。
しかも、それだけの動きをフォロワーと数曲することで、とても満足しているように見える。
よほど時間に余裕がある人であっても、誰もこのようなお腹エクセサイズを、ここにしに来ている訳じゃないのに……。

「あの人達、レッスンにも出ずにお腹だけ動かしてるだけで、何をしに来ているの?」
目に余ったためフランスの仲間達に聞いたら、彼らは大爆笑した。
「いるんだよ。フェスティバルのどこにでも、ああゆう人達は!」
「何をしに来ているかって?セクハラ?!困っちゃうしフェアじゃないよな……」
「あそこにいるおじいさんなんて、ずっと私の胸を見てたわ。もちろん一曲で、おさらばよ」

こういう困った種のダンサーにかぎって、ダンスが終わったフォロワーを待ち構え、まるでとても踊れる人かのように堂々と、誘って来る。
今回たまたまカルガフェスティバルでは、お腹エクセサイズをしていたのがおじい様だったが、それ以外の世代もこの種は存在するかもしれない。

踊ってみて、その人がキゾンバをせず、お腹エクセサイズしかしない人だと分かったら??
仲間達から教えてもらった対策は、以下の通り。

「目を合わさない」
「誰かと踊り終わったらまず、その場、その人の視界に入らない所まで逃げる」
「踊りに誘われたら、喉が渇いているから後で、とひとまず交わす」
「踊ってから気付いたり、どうしても踊るハメになったら、一曲でThank youと終わりにさせてもらう」

万が一苦手なタイプのリーダー/フォロワーがいる場合にも、使えそうだ。
覚えておこう。

曲の比率

今回のフェスで流れた順で言えば、アーバン、ドゥサー、タラショ、フュージョンといった所だろうか。

初日にはセンバも数曲だけ流れたらしいけれど、私が夜を明かした2、3日目にはセンバは全くかからなかった。
センバ好きのダンサーは日本に多いから、少し残念なニュースだろう。

ただ、ポルトガルのフェスティバルに参加したインストラクターSさんは、フェスでたくさんのセンバを踊って来たように話していたから、行く場所によって、教える先生によって、かかる曲の比率も変わるのかもしれない。

「自分が好きなインストラクター=好きなタイプの音楽で踊っているインストラクター」の場合も多いかと思うから、好きなインスラクター目指して参加するのが、音楽の選択肢でも気持ち良い感覚が得られるかもしれない。

待ち合わせは「会場のどこで」まで決めておくのがベター

レッスン以上に、パーティーの参加者はとても多い。
大きなホールでも100人以上の人がごった返すから、人口密度が高い時はリフトやスライドはなかなか出来ないほど、混雑は相当なものだ。

初日、私は夕食後、仲良くなったフランス人3人と
「パーティー会場でね」
と言い別れた。
しかしパーティー会場では、全く3人を見つけられなかった。
右側の入り口から真ん中辺りで一人が踊っていたとして、もう一人が入って奥のDJブースから左辺りで踊っていたとしたら、会える確率は0%だ。

という訳で、翌日からの待ち合わせはこのようになった。
「会場の奥ー入ってDJブースの左側」
こうして初めて、仲間達全員と会場でも顔を合わせ、踊ることができるのが現実だ。

一度着替えをしたり仮眠を取ったりして後で待ち合わせをする場合は、会場の「どこ」で待ち合わせをするのかの詳細まで、しっかり決めておきたい。

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