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同じ浮腫でも原因は違う

はじめに


臨床をしていると浮腫のある患者さんを見ることも少なくないと思います。

リハビリにおいて浮腫は可動域制限の因子にもなるため軽減できるのであれば軽減していきたいですよね。

よく聞くアプローチで言えば身体の水分が心臓に戻りにくいため浮腫のある部分を心臓より高くするや、リンパ節周囲のマッサージといった方法があります。

たしかに間違いではないと思いますが、原因がリンパや循環不全によるもの以外だと、本当に原因となっている所からアプローチした方が浮腫の軽減や改善がしやすいですよね。

そこで今回は浮腫の原因と評価をお伝えします。


浮腫とはどのような状態か、浮腫の原因


浮腫とは何らかの原因によって皮膚ないし皮膚の下に水分が溜まって腫れてしまう状態のことをいいます。

原因として
①心機能低下
②肝機能低下
③腎機能低下
④低栄養
⑤薬剤によるもの
⑥甲状腺機能が低下しているもの
⑦静脈の血流が低下している
⑧リンパ由来のもの

などがあります。

原因を鑑別するための評価


浮腫の評価として視診、触診、問診が大切です。

全身性なのか、局所性なのか

押した時にへこむか、へこまないか

押してへこんだ時に元に戻るスピードはどうか
(押す秒数としては約10 秒ほど押して40秒未満で戻るのかそれ以上かかるのか

原因となる他の症状や所見があるか(浮腫だけでは判断しがたい時もあるため)

という点から見ていきます。

・全身に浮腫があり、押した時にへこんでしばらく戻らないパターン

この時に考えられる原因として心臓、肝臓、腎機能の低下、低栄養、薬剤性の影響が疑われます。

さらに細かく絞っていくと、

心機能が影響しているときは他の所見として、労作時や夜間の呼吸困難、長時間立位では下肢に、臥位では、腰背部に多く現れ、夕方に出ることが多いです。

肝機能が影響しているときは腹水を伴うことが多く、お腹の張りや倦怠感、黄疸などの症状を伴います。

腎機能が影響している時の特徴は尿量減少や蛋白尿などの症状があります。

低栄養の影響がある場合、へこんだ際の戻りが40秒未満で収まります。
血液検査のデータがあればalb(アルブミン)値の数値やTP(総蛋白)の数値も参考にするといいでしょう。

薬剤による影響として主に挙げられるものが非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、抗生剤、抗癌剤などを服薬していることが多いです。
ただし、他にも薬の副作用として浮腫が起こることもあるので、問診時に服薬する時の薬やどれくらい飲んでいるのかなど把握しておくといいでしょう。

・全身に浮腫があり押した時に跡が残らないパターン

この時に考えられるのは甲状腺機能が低下していることです。

汗をかきにくくなったり、寒がりになる、すぐに眠くなるなどの症状も見られます。

・局所性で指で押して跡が残るタイプ

静脈の血流が悪くなっていることが多いです。
「長時間同じ姿勢をしていて動かなかった」といった訴えがあったり、肥満体型や、ひどくなると浮腫がある部位が赤黒くなることが特徴です。

・局所性で指で押しても跡が残らないタイプ

このタイプは、リンパ由来のものが多いです。
リンパ由来のものではがんの治療部位に近い腕や脚などにできやすいです。


さいごに


今回は、浮腫の原因と評価に関して書かせてもらいました。
次回は、そのアプローチ方法に関してまとめていきたいと思っています。

評価をして原因がわかるとアプローチの仕方も変わります。

その参考にしてもらえると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


感謝・謙虚・敬意
意志堅固
西條 貴則

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