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水野監督の掌で何度もゴロゴロ転がりたくなる「あの人が消えた」

「あの人が消えた」鑑賞の記録🎥

圭さんが出ていなくても見に行ったであろう、サスペンス映画です。

蓋を開ければ、ミステリーであり、サスペンスであり、ホラー要素もありながらファンタジーチックな展開もある、ジャンルごった煮詰め合わせ作品。

物語の隅から隅までが全てネタバレになり、伏線になる。そして、伏線を何回も展開させていくことで、物語がより面白く、楽しくなります。

※ここから先はネタバレしかありません。まだ見ていない方やネタバレ踏みたくない方はブラウザバックしてください!



【後輩と先輩、丸子と荒川】

気弱な青年「丸子」の、大人になりきれない部分が時折見えるのが堪らなく、ドキドキするけど見守ってあげなきゃ!という庇護欲くすぐるキャラクター像がとても好きですし、明るく図々しささえある先輩「荒川」の、常識をある程度持ち合わせていて、無茶をして強引に進もうとする丸子を嗜める先輩としての優しさも垣間見えるところがすごく好きだと感じました。


この先輩、後輩コンビ、程よいアンバランスさで、最初はぐいぐいな先輩と押される後輩だったのが、後半では逆転しているのが面白かったです。


【謎、畳み掛ける謎】

物語は最初からじわじわとサスペンス感が出されていて、ワクワクが止まりませんでした。

そもそも開幕で、不穏な夜道を歩く女性がマンションに着いてポストを確認する流れがだいぶ怖かったのですが、そこから逃げ惑いつつ家の前にたどり着き、震えながら鍵を取り出すも、何度も落としてしまうという展開に心臓バクバクでした。怖すぎる。

他にも、例えば「ゴミの分別をしない人は誰か」であったり、「203号室の住民である流川翼は何者なのか」であったり。小さな謎がどんどん提示されていく中、荒川を(間接的な)きっかけとして好きになった小説「スパイ転生」の作者かもしれない小宮千尋との出会いから、そのマンションを取り巻く謎が一気に加速していきます。

※203号室の宅配手配人に関しては、電話の声で染谷くんだと分かったので、どういう関わりが?あのあとあの女性はどうなったの?203号室ってあの女性の部屋だよね?という疑問で頭いっぱいになりました。


大きな謎は「小宮千尋の失踪」


けれど、物語の端々にもずーっと小さな謎が散りばめられています。

「猫の体調不良」「302号室で目撃された血塗れの女性」「長谷部が見た血塗れの島崎」「島崎の部屋で見られた盗聴器と複数の写真」「203号室のポスト」などなど。挙げたらキリがないほど、物語が進む事に謎も増えていきます。

頭の中を整理すればするほど、「あの人が消えた」という作品に飲み込まれていく感覚。そして、推理すればするほど、水野格監督の術中にハマるのがこの作品の魅力なのだと思うんです。

そして、後半に散りばめた謎を伏線として回収していく流れは本当に気持ちよく、見ていて頭の中がスッキリ整頓されていきました。

しかし、それすらも大きな謎を解くための欠片に過ぎないのだと終盤に気付いた時、鳥肌と脳の奥が痺れて止まりません。どこまでも楽しくハラハラさせてくれて、ドキドキする作品「あの人が消えた」。


【染谷将太劇場、開演】

今回、私は改めて染谷将太くんの化け物級演技力に感動したし、やっぱり好きだなぁと思いました。 

気持ちの悪い歩き方、佇まい、視線や雰囲気すらも操ってその役を生きる染谷将太という役者の凄さをまざまざと見せつけられます。

染谷将太劇場、本当に最高でした。

見られてよかったし、ずっと笑ってた。

いや、あんなポンコツでしかない公安捜査官いたらビックリするわ!でも、あのPersonal trainerになら出張でお願いしたいかもしれない。

あのプロテインの色もド派手だし、なにより英単語と名前だけ発音良すぎるのも笑っちゃうし、猫の時計を「バレない場所」と認識してるのも面白すぎる。

だめだ、全部が面白すぎるんだよなぁ。

別府という男は。


そして染谷将太くん繋がり(?)で、菊地凛子さんの有意義な無駄遣いが素晴らしかったです。

寺田は架空の人物のはずなのに登場シーンまあまああって。でも、寺田から得られるものって最後の暗号の一部だけで、他にはないんですよね。

伏線はない。ただ、小宮千尋の暗号を成立させるための人物というのがすごくいい。

それを考えると、梅沢富美男さんも有意義な無駄遣いでしたね!ランボーみたいな格好も、雑誌の表紙も飾っていたけれど、小宮千尋の暗号を成立させるために登場しているという観点から見ると、梅沢さんすごい使われ方だ。

全然話は変わりますが、中村倫也さんがどうしてシークレットゲストだったのかも、映画を見終えた今となってはブラフだったんだなぁ、という印象です。

あそこでテロリストの一員だったという流れにすることで「だからシークレットだったのかあ」と観客を納得させてしまう、誤認させるブラフ。

宣伝方法やキャスト発表も物語を成立させるための要素のひとつになっているなんて、すごい映画だ。


【ラストシーンの余韻を奪うエンドロール】

ずっと丸子視点だった物語が、小宮千尋視点へと切り替わり、一気に伏線の回収を始める物語の中で、「島崎=別府」という紐付けが難しいのも、「プロテインの色が明らかに赤くない」ことや「猫の時計」の件でクスッと笑わせてきたり、小さな違和感が所々感じられるのも、今思えば全部が小宮千尋からのメッセージだったのかもしれない。

丸子への、荒川への、そして私たち観客への。


ここで注目したいのが、丸子は一方的に話しているけれど誰もレスポンスを返していないところ。

このシーンで丸子が荒川に対して小言のようなことを言うけれど、それに対して荒川が返事をすることは無いんです。

物語を見てきた人なら引っ掛かりを覚えそうなそれ。

他にも、独り言としても投げかけとしても成立するようなセリフが多いために、丸子はこのシーンで「信頼できない語り手」のようになるのです。

そして、このシーンで丸子が行った全ての行為は「怪奇現象」として荒川と小宮千尋の間で話され、ここから物語はさらに展開を迎えます。



丸子が死んでいた。

あのシーンのあとに。


刑事から話を聞く荒川の様子を見ていてなんとなくは察していたのですが、刑事と一緒に見に行く丸子を見ながら祈ることしかできませんでした。

あの時、すぐ場面が切り替わった事で私たち観客はあのシーンの後何があったのか知らされず、そのまま事情の説明に入ったことで、島崎は安全だったのだと勘違いさせられ、その後展開していく物語から島崎や小宮千尋は公安警察だったのかと一度納得しかけます。

しかし、実際はそうではなく、丸子が考えていたことが正しかった。

丸子が自分の死を認識し、あのシーンの後の記憶を思い出したあとに繰り広げられるお話に、私は涙しました。

丸子と小宮千尋。

二人は作者と読者という関係だからこそ気付ける「暗号」で最後の会話をして、別れをして。


「さよなら」と丸子が伝えたあと、タイトルである「あの人が消えた」の文字が丸子がいたであろう場所に現れます。

それを見た時、虚しさと寂しさと、悔しさも相まって胸の奥がぎゅっと掴まれたような思いでした。

けれど、ここで終わらない。

丸子の物語はまだ続いていくのです。


エンドロールが全てをかっさらっていく。

涙したあと、あんなにも気持ちよく笑える映画なんてきっとこの作品くらいじゃないかと思うくらい、終わりが秀逸でした。

エンドロールを見終えたあと、私たち観客は「小説」を見せられているんだ、と最後に感じざるを得ない作品でした。




【個人的なアレコレ】

ここからは私の心情120%です。

・染谷将太に狂人の役させたらダメって言ってるじゃん…本物にしか見えなくて心臓冷たくなるんだから…。でも公安物語の中の別府演じてる時絶対楽しかっただろうなぁ。遊び心しかない演技だった!

・荒川先輩の図々しさと引き際わかってるところが、大人って感じがしてとても良い。最高。丸子を止められなかった自分を責めないでいて欲しい。ただそれだけ。荒川先輩の平穏な幸せを願っています。あと帽子の被り方すごく好きです。ありがとうございます。

・小宮千尋の頭の回転の速さに驚愕するし、丸子のことを考えてくれてて、行動だけ見たら絶対怪しく感じる丸子を「優しい」と言ったあの顔を私は忘れない。丸子が生きていたらいい関係になれただろうな。

・脇を固める袴田吉彦さん、坂井真紀さんがいい味出しすぎてて、あの人たちに会いたくなってる。関与するのは厳しい(てか無理だと思う)けど、外から見てるの絶対楽しい。 

・気弱だった青年丸子が、誰かのために一念発起して自分の意志を持って動き始めた所に親的な感動を抱いた。あのマンションで起こした行動の殆どはいいとは決して言えないことばかりだけど、それをしたことで救われた命があるわけで。マンション全体の人を守り抜いた丸子は本当にかっこよかった。ただ、最後にあなたには生きていて欲しかったよ。

・「スパイ転生」冷静に考えて読みたすぎる。もしかして、「スパイ転生」ってそもそも「あの人が消えた」の物語全てなのかな。第一章から始まってるのもずっとずっと気になってるんだよなぁ。有識者ー!

・田中圭と高橋文哉の組み合わせが良すぎた。せんけすのイメージ強かったからどうなんだろう?って思ってたけど最高でした。次は兄弟の役して欲しい(という願望)。高橋文哉のANN0「あの人が消えた」スペシャルとかしてくれないかな???

・倫也くんと圭さんの絡みみたかったけど、多分あれ全然絡んでないよね…?現場で会えてもなさそう。水野監督作品で倫也くんと圭さんがバディ組んだりしたら最高です、よろしくお願いします!!!

・ラストのゾンビ圭さん、笑っちゃった。他の方々はちゃんと少女漫画チックな描写なのに、一気にポップになってびっくりしたし、せめて…と思ったけどせんけすと被る…から???田中圭、二度目のゾンビ化ありがとうございます!!!

↓↓↓私が個人的に好きな公式さんの投稿↓↓↓


〇ネタバレしかしないおふたり!
ピー音の壁と戦ってるんか???


〇圭さんの斜め上すぎるボケ炸裂!!!
文哉くん見つけた時の反応が完全にカブトムシ見つけた小学生だし、捕まえ方が可愛すぎる。


〇気持ちを包み隠さず伝えられる圭さんってやっぱり素敵だなぁと思った。
あさイチで華大さんがビックリしてたもんなぁ。

〇圭さんは預言者だった…?
まさに笑顔で騙された私なので、この動画見てさらに笑顔になりました!

以上!
「あの人が消えた」備忘録でした。

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