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日本で育った息子が帰国子女と間違われる程、英語ペラペラになるまでにやったこと


はじめに

両親共に日本人。息子は海外経験ゼロ。5歳から英語始めて7歳ぐらいには結構ペラペラと話せるようになり、帰国子女と間違われる事も増えた。
今は9歳の小学校3年生。時々質問されるので、コレを見てと言えるようにまとめておく。
息子の進歩の歴史や、家庭での取り組み、親の考えなどがごちゃまぜに書いてある。
この記事は長い。整理されていない。でもそれで良いのだ。
これは、子供に英語を身に着けさせたいと考える親御さんを対象とした記事だから。本気で子供への英語教育を考えている人はディティールを知りたいはずだ。綺麗に整理されて詳細が端折られてしまうのって良くないと俺は思うので、この全部吐き出していくスタイルで行く。
あと、こうやったら成功する、と言いたい意図はない。子供のタイプは十人十色。一つのサンプルとして参考になれば嬉しい。

ちなみに、米国で幼稚園を経営したり、Brightureという語学学校を経営している松井さんのVoicyで、息子の英語習得について話しました。「5.子供の英語教育」の部分です。松井さんのお子さんの「英語・日本語の両立どうするか問題」についても話題があるので興味深いです。よかったら聴いてみて下さい。

時系列ダイジェスト

  • 2020.01: 5歳, 幼稚園年中。引っ越し直後にコロナ禍始まる。幼稚園が閉鎖。警戒して外出控えめの日々。引っ越しを機にTVなし生活に。突然思い立ち「英語の動画を息子に見せてみよか。」と気楽に始める。それまでは日本語の動画しか見てなかったけど、この日から「日本語動画は一日30分。英語なら無制限というルール」を実験的に導入。

  • 2020.04: 5歳, 幼稚園年長。

  • 2021.01: 6歳, Youtubeの英語動画を見るようになって。一年経過。ファミレスで where is my folk 事件。奥さんめちゃ驚く。俺は「きたな。。」と思い喜ぶ。

  • 2021.04: 6歳, 英会話体験受ける。グループレッスンで他の子が日本語を使う中、息子は拙いながらも英語のみ。交渉してマンツーマンレッスンにしてもらい週一で開始。

  • 2021.04: 6歳, JPrepの試験で撃沈。俺が本で読んで知っていた JPrep という英語塾。結構話せるしアセスメントしてもらおう、と気楽にレベル分け試験受けるも、アルファベット文字が読めず、試験開始5分ぐらいで帰ってきたw

  • 2021.04: 6歳, 父親の俺が朝晩15分(合計30分)の英語を教える。狙いは文字と音のつながりを理解すること。アルファベットや読書などをこの時間をつかってやった。

  • 2022.04: 7歳, JPrep の入塾アセスメントにリトライ。一年間の成果を試してみたかった。結果、帰国子女枠と判定され腰抜ける。。。おおお、、成果が出た。ただ JPrep には入塾せず。送り迎えもあるし、、まだ幼いし、、、とかで。

  • 2022.06: 7歳, 英検4級受験 → 合格. Reading=440/500, Listening=444/500

  • 2023.01: 8歳, 英検3級受験 → 合格. R=515/550, L=550/550, W=414/550, Speaking=451/550。とりあえず英検は卒業

  • 2022.06: 8歳, 何とか英語を活かせないかと、AfterSchool(放課後学校)を2つ程見て回る。そこでもアセスメントで帰国子女枠と判定される。

  • 2022.12: 8歳, インターナショナルスクール疑似体験の為、ウィンタースクールにトライ。帰国子女枠で体験。最後の日にちょっと聞くと先生から「一番英語話せた内の一人」的なコメントをもらう。うーん、、、やはり通用するんだな。。とあらためて思うなど。。

息子が英語を話している動画

2020年 6歳になる年。この年の1月から開始

この年は動画が残ってない。息子はただ動画を見てただけ。

2021年 7歳になる年

04.25: 1年3ヶ月経過

08.12 1年7ヶ月経過

09.12 1年8ヶ月経過

10.16 1年9ヶ月経過

12.18 1年11ヶ月経過

12.30 2年経過

2022年 8歳になる年

02.06 2年1ヶ月経過

6.08 2年5ヶ月経過

2023年 9歳になる歳

05.02 3年4ヶ月経過

05.03 3年4ヶ月経過

09.15 3年8ヶ月経過

戦略の超サマリ

細かいことはあまり覚えられない。
日本は効果的でない学習法が溢れているので、自分なりの戦略を持つことが重要。俺の戦略はコレ。

自分の英語学習や、息子への同戦略の適用。イマージョン理論の自分なりの理解を踏まえての、short take awayは以下だ。

  1. 言語体験(a)、言語解説(b)の区別を何度も反芻して意識して区別せよ。

  2. そして、bに絡め取られず(日本のマーケットはbに誘い込む)

  3. aを豊かにせよ。

1の区別はかなり重要。区別がつくから、b を意識して避けることができ、a に時間を割くことが出来る。日本にいると、(b)の解説・知識蓄積系の情報ばかりが流れてくる。aとbの区別がついていないと効果的でない学習に多くの時間を費やしてしまうから。落とし穴(b)をしっておき、落とし穴を避けて、aに時間を使おうということ。

「aの言語体験(知的理解ではなく、気づきを伴う理解)の蓄積が言語習得につながる」というのはもう信じるしかなくて、ここは信仰心を持ってくれ。
根拠?「皆、母語を学ぶ時はそうしている」からかな。

ちなみに、俺自身が英語学習者なので色々苦労してきた。俺の考えはこのマガジンにまとまっている。

日本は英語を学ぶのに良い環境ではない

豊富な英語教育マーケットが足枷になってしまう可能性について。
日本の英語教育は本物の英語習得のむしろ邪魔になるんじゃないか、という考えを以下のツイートから続くスレで呟いている。

正しいメンタルイメージを持つ事が重要

英語習得について"正しい", "良い"メンタルイメージを持つことが重要だ。
「英語が出来る」ってどういうことなのか?
文法の穴埋め問題、英語の和訳、和文の英訳をひたすらやったところで、ネイティブ向けの動画を理解できるようならない。
なぜメンタルイメージが大切かというと、間違った方向に行きにくくなるからだ。自分で軌道修正できるようになるからだ。日本に暮らしていると英語学習マーケットが豊富で、ボーッとしていると、やりたくないお勉強をさせられているといった罠にすぐハマる。自分が考えるカッコイイ身体が分かっていれば、スクワットだけ異常な回数やる、なんてないだろう。様々な部位をバランス良く鍛えたり、ストレッチもやったりするはずだ。それと同じだ。英語習得に対する「良いメンタルイメージ」を持つことは、英語学習法が飽和している情報過多なこの日本で、迷子になり、遭難し、溺れる事から救ってくれる。悪い誘いに惑わされないよう、自分で羅針盤を持てる。羅針盤がメンタルイメージだ。

僕自身の「英語ができる」のイメージを言語化した記事がこれ。

おうち英語について思うこと

Twitter 上では「おうち英語」というキーワードで自宅での英語習得方法の知見が交換されている。俺は「おうち英語」というジャンル(?)の存在を全く知らずに、結果的におうち英語的なことをやっていた。
「おうち英語」で検索すると沢山の情報が見つかるから、これから始める人は圧倒されるかもしれない。
DWEやる、トド英語やる、XXXやる、等定番セットが決まっている様な印象を受けるかもしれない。
それに関して俺が思うことは、正解はないってこと。別にやったから英語が出来るようになる訳では無い、やらなくても出来るようになる人はなる。「質の高いインプットを一定量続ける」というのがスタートになる。
「質の高いインプット」の「質」はあくまでも子供にとってであって、親にとって、ではない点に注意だ。子供が興味を持てば、質の高いインプットになる。なので「何を」やるかよりも、「どう」やるかの方が重要だ子供の興味を観察し、試し、修正を繰り返す事だ。一緒に楽しんでやれれば何をやってもOKだと思う。

英語習得の心得

  • 言語は文法と単語のみにあらず

  • 知識と実践の区別をつける事

  • 「実践」の量をこなす事(英語は言語距離遠いから異常な量が必要)

  • 実践とは母語が介在しないターゲット言語のみ行われる意味の交換体験

  • 体験の密度は、興味と年齢で決まる。年齢は若い程良い

  • 発音超重要。

再現性あるか?

息子の事例に対して「すごすぎて再現性ない」というコメントがあった際に、俺の見解を書いたスレ。俺は再現性あると思ってる。

↓こういうロジック。

問題の発見・課題設定

  1. 子供の脳は柔軟。勝手に学ぶ。

  2. だから仮に今から英語圏に引っ越したら、子供だけ英語喋れる様になるだろう。

  3. その環境を日本でどれだけエミュレート出来るか?← これが解くべき問題

課題解決のためのアクション

  • A: 英語音のインプット環境整える

  • B: 意味ある言葉となるような刺激(話す伝わる体験)を与える

Aは環境整えた後、量を摂取する事が重要だが、「勉強感」を抜かないと一定の量を確保できない。
Aインプット → Bの体験のフィードバック。このAとBの相互フィードバック, 相互作用の回数が多い程、練習量も多いわけだから習得スピードも上がる。

一つでも好きなものが見つかれば、次どうしようなどと考えず放置する作戦も良いです。
次どうしようとか、いらん事を親がやってしまいたくなる気持ちを抑える、親の訓練でもあるかもしれません。
親は「効果」や「結果」にフォーカスが行きがちです。だって大事な子供に役に立つスキルを身につけて欲しいから。しかし子供はもっと今に生きているので、効果とか目的とか知ったこっちゃ無いと思うのです。

知人に聞かれた時に伝えてきた文章

身近な知人(ママ友、友人)に、たまに「どうやったの?ウチもやってみたいんだけど」と聞かれることがあった。そんな時に伝えてきた文章を以下に載せておく。


■ 親の心がけ
知識(knowlege)と技能(ability)の区別を親が認識しておく。
知識って? → 文法とか翻訳とか解説とかは全部知識。生物である言葉を切り取って標本として分析して解説する系は知識。知識が増えても技能はゼロという事がありえる。日本の英語教育は知識偏重。知識を問う問題も多い。英語を和訳するとか、、、あんま意味無い。

技能とは? → 生の音を聞き取れる能力。理解できる能力。発話、発音。リアルタイム処理、などなど実際に使える能力が技能。日本はリアルな英語に接する機会が少なく、英語知識を増やす膨大なマーケットがあるので、知識ロードに巻き込まれないように注意すること。
親の「知識」で子供に教えようとして、子供の「技能」発達の邪魔をしてしまう、ということがよくあるので注意しよう。自分が英語喋れなかったら技能ナシなので、教えようとせず、ともに技能を身に着けようという謙虚さが重要
■ 技能をどうやって習得するか?
言語能力は、「体験・経験」によって身につく。これを言語体験と呼ぶことにする。

言語体験とは?
・A: 聞いて理解する → 生の英語を聞く。英語で英語を理解する。
・B: 思いを伝える → 英語を話す。拙いながらも英語だけで話す。

■ 具体的には?
⇒ Youtubeで生の英語に触れる。触れ続けるうちに絵と言葉の関連(association)が出来て、英語同士の言葉の結びつきが育っていく。これが話す時、聞く時にリアルタイムで英語を処理できるコアの部分に育つ。
話す。英語を使うことが、子供にとってベネフィットがあるという体験をする。
例えば?→ 親が英語を理解して、親が驚く。スゴイと感動する。← 親に認められたいってのは超重要なモチベーションだ。
これが作為的にならないのが理想。俺は本当に感動したから良かったと思う。

■ どれくらい期間かかる?
公式的にはこう↓
・A(input) x B(output) x C(興味)
Cは好きなこと、大事な人(親)と共有できる、とか色々な理由でAのinput の質が上がる。時間は4年ぐらいはかかると思って気長にやったほうが良いと思う。C興味があって、Aのinputが多く、Bのoutputも日常的にやれるなら、習得は加速する。Bの output は後回しでも良いと思う。日本語の時と同じで、理解が発話よりも先にくるので。勝手に喋りだしたら、考えたらいいって感じかな。あまり初期からoutput頑張る必要なしという意見。

Q&A

どれぐらい動画観ていた?

一日7〜8時間ぐらいかな。長い時は10時間を超える日もあったと思う。生姜校に上がる共に、自由時間が減って見る時間は減っていった。
朝→昼で2時間。昼→夕で3時間、夕食後〜寝るまでで2時間。これで普通に7時間になる。
車で買い物に行く時の移動時間(例えば移動に片道40分かかる場合、往復80分)等も動画視聴時間だった。

どういう環境?PC、タブレット?

最初は TVに接続した FireStickでYoutubeやNetflixを。途中でLGのTVに買い替え。処理速度めちゃ速くなって快適。YoutubeはPremium加入。日本語CMが挟まるのは何としても避けたかった。リビングのTVで動画視聴してると何を見てるか分かるし、一緒に見れるメリットも有る。TVがBluetooth対応していて、Shokzのイヤホン(耳をふさがない骨伝導イヤホン)を使って見てもらうこともある。親が話し込んでいる時に、Youtuberのシャウトがうるさいこともあるので。基本的にはイヤホン無しだけど。車で移動時はiPad。これはAirWingの耳をふさがないイヤホンを繋いで見てもらってた。Windows PCは息子が小1の時に買った。今はPC、タブレット、TVといろんなデバイスで見てる。英語の音は聴こえてくるので、どんな内容かはだいたい分かる。僕が英語を聞いてある程度理解できるというのは大きいかも。

どんなサービス使っていた?

  • Epic!: 絵本読むやつ。息子のために契約。今は使ってない。

  • Scribd: 絵本読む目的。俺が契約してるのを使ってた。

  • 図書館: 近くの図書館が何故か英語の絵本が充実していた

  • Youtube Premium: 広告が出ないので。親も使ってるからFamily契約

  • ※ 当時「とど英語」を知ってたらやってもらったかも

5歳までは一切やっていなかった?

今は無きベネッセのWorld Wide Kids を買ってやろうとしたことはあった。教材がしょぼかったので最初の一回目を受け取った後にすぐ解約。その一回目も息子は興味を示さなかったのでなんもやらなかった。うーん。ほんとに5歳までは何もやってない。

なぜ短期間に話せるようになったと思う?

いろんな組み合わせだと思う。インプット量(毎日動画見続けてた) + 社会情勢(コロナ禍で外出が減った) + 息子がインドア派 + 年齢(若い) + 時間ある(幼稚園児なので時間あった) + 親も英語学習者(父親がある程度分かる) + 親のマインド(英語に関して勉強感を抜くということは常に意識して関わった)

これミスったな、、みたいな失敗ある?

もちろんある。単語を詰め込もうと、単語動画や、クイズを自作して息子にやらせてたりしたのだけど、そのクイズの作り方がミスってたと気づいてやめた。
どんなクイズかというと、例えば「Apple」と音声が流れた後、りんごの映像が流れ、選択肢として「1. みかん, 2. りんご, 3. がっこう」みたいにでる。で、2のりんごを選ぶと正解。これをしばらく(2週間位)やらせてたのだけど、ふと気づいた。息子はりんごの画像みて、「りんご」という日本語の回答選んでる、と。これだと"りんご(日本語)"→🍎のリンクを強化しているだけで、apple→🍎のダイレクトリンクの強化に全然寄与してない!と。
これは、日本語の勉強してるだけだな。と気づいてすぐ辞めた。こういうミスは他にもあるけど、実験→ミスに気づく→すぐ修正という柔軟な対応を取ってきたつもり。

会話は教えなかったの?朝夕15分は何をやってたの?

発音も、リスニングも、会話のスピードも、こりゃかなわんな、、早々に判断した。これらは勝手に伸びると思ったので、教えようとはしなかった。なので僕が出来ることは、文字と音を繋げる作業ぐらいかなと。なのでアルファベットを教えた。アルファベットの次は文字を読むことを教えた。フォニックスも教えた。息子は既に話せたし、聞けたけど、文字と音が繋がっていなかった。そこをつなげる手助けをした。そのために朝夕の15分を使った。一緒に図書館で借りてきた英語の本を読んだり、漫画(ジョジョの奇妙な冒険)を読んだり、英語の歌を歌詞を見て歌ったり、ゲーム(逆転裁判)をやったりした。8歳の途中ぐらいからゲームも英語設定でやるようになったので、英語を日常的に読む量は増えていった。

思い通りに子供がやってくれなくて怒ったことは?

いっぱいある。しょっちゅう怒ってしまって反省してた。俺は未熟。息子の方が人間ができてるといつも感じる。たとえば朝夕15分の英語時間(本やマンガ読む)。俺が怒って雰囲気が悪くなると朝夕の英語の時間が「嫌な時間」になってしまうので、反省して色々改善して、怒ることは減っていった。覚えているのは、、本を読んでいる時に息子が「Aという単語を、自分の知っているBという単語に都合よく置き換えて変えて読んでしまう。ちゃんと文字を見ず、雰囲気で読んでいる。」事がよくあった。この時俺は「文字をちゃんとみろ、飛ばすな。知っている単語と思うな。知らない単語と思って読め。フォニックスルール使って、ゆっくり読め。」っとやるのだけど、、、何度も都合よく単語を置き換えて読んでしまう。例えば institute を infomation って読むみたいな事。同じことをやるので怒ってしまう。これで怒ることが多かった。思い通りにやってくれないから「なんで飛ばすんよ?そんな風に書いてないよ?好き勝手読んでるやん、ほんまちゃんと見ろよ?」みたいに怒っちゃう事があった。これは、ある動画を見て、納得できたのでこれが理由で怒ることは無くなった。この動画を見てからこう考えるように鳴った。「読書中は、人は視線が飛びまくってる。でも、大人は多様な文章の蓄積があるから、自動補完、修正能力が高いだけだ。まだ文章蓄積が少ない子供が多様なバリエーションを知らず、勝手な読み方になってしまうのは仕方ない。ただ冷静に指摘し、そういった単語もあるんだと伝えれば良いだけ。」。

その動画。The Unbelievable Science of How We Read

家庭内での意見の食い違いはなかった?

奥さんとの意見の食い違いはゼロではないが、英語教育については最終的に僕に任せてくれた。初期の頃だとこういう会話はあった。

奥: 意味も分からないのにずっと見せてるの意味あるの?
俺: 意味ある。嫌にならず、ずーっとじっと集中して見てる事自体、すごい事が起きてるんじゃないかと俺は思う。そのうちに意味も分かるようになると思うんよ。日本語の時だってそうだったはずよ。息子も2〜3歳ぐらいで親の言ってる事全部分かってた。でも日本語は話さなくて、、である時からバーっと話すようになったし。

奥: ずっとゲームの動画ばかり見せてるのってどうかと思う。
俺: まあ、それはそうなのよ。ただ、この調子で観続けたらとんでもない事が起こる気がする。なので、1年間はこれをやらせてくれ。幸い息子も嫌がってないし。"実験"させてくれ。

"実験"という言葉を使ったのは、理由がある。俺も何も当てずっぽうに試している訳ではないのだけど、ロジカルに大量の動画視聴がなぜ効果を上げるかを説明したところで、それは仮説でしか無いし、日本の多くの親がやってるポピュラーなやり方ではないし、説得出来る気もしないし説得してもしょうがない、と思ってたから。で、そんなロジカルな説明よりは「確かに変なやり方かも知れないって俺も分かってるけど、ちょっと1年間ぐらい見守っててくれ。このままやらせてくれ」というニュアンスで、"実験"という言葉を使った。

心がけていたこと全般を教えて

言葉の使い方。「英語の勉強」という言葉を皆使うが、俺は使ったことがない。そもそもスポーツや楽器の練習と同じ鍛錬、訓練だと捉えているので「勉強」という表現に違和感がある。だから「英語のトレーニングしよう」とか「英語の練習しよう」とか、あるいはもっと直接的に「今日は歌を歌おう」とか、「本読もう」という様な表現を使ってきた。「英語の勉強」という言葉を意識的に避けた。
他にも、少し似てるけど「勉強感を抜く」という事は常に意識していた。ゲームの動画を見る。英語の漫画を読む。一緒に歌を歌う、等。なるべく息子が楽しそうにやれる事をやった。「またやろう」と言われたら、「あ、嫌じゃないんだな」と分かるという感じで。常に息子の反応(フィードバック)を観察してた。英語を使うこと自体が楽しい体験となる様に、意識してやっていた。

例えば、英語を始めて一年後に通い始めた週一の対面英語教室。マンツーマンレッスン。教室のガイドは「何か教えて欲しいとか、こうやって欲しいということはありますか?」とリクエストを聞いてくれたけど、先生がとてもやさしく、息子の平和な性格に合ってそうだったので「楽しく英語でお話ししてくれたらそれでいい」とだけ伝えました。息子は家で僕と英語を話す以外では、初めて対面で英語で会話する体験だったので、とにかく「英語を話すのが楽しい体験」として記憶されてほしかった。
結果、この判断は大成功だった。このフィリピン先生には本当に感謝している。息子が英語を話すことが楽しくて、好きになったのはあの先生の影響が大きい。

日本語の動画見てしまわなかった?

最初はもちろんそういう事はあった。それまでは日本語の動画しか見せてなかった。妖怪ウォッチとか、ヒカキンとか、ルパンレンジャーとか見てた。「なんで、日本語のやつ見たらいけないの?」とか最初は言ってた。ただ数ヶ月すると自分なりの楽しさを見つけたようだった。僕がBBCのNumber Blocksとか、CaillouとかCurious George とかを選んで見せていたが、勝手に自分でゲームのプレイ動画とか見るようになった。それを僕は「しめしめ、自分で選びだぞ。」と思って放置していた。そこから芋づる式に自分が好きな動画をどんどん見るようになり、それと共に英語の理解力もぐんぐん伸びていったと思う。何を見るか、見せるかよりも、本人の自発性がとても重要と思っている。

動画の年齢制限や、ジャンル制限しないと悪影響ない?言葉遣いが悪くなったりしない?

今 9 歳だけど、数ヶ月前は、Fワードの存在が本人の中で流行ったらしく、What the fu*k とか言うこともあった。僕はそういう言葉を遠ざけても仕方がないと思っている。本人もNGワードと分かっていて話しているので、調子に乗りすぎた時は強く注意することもある。ただ流行りが終わればそれほど使わなくもなるし、何しろ本人がその言葉の持つ効力を理解しているので、単に遠ざけるよりも僕は良いと思っている。あと、息子の性格にもよるかも。息子は怖がりなので、あまり制限をかけなくても危険な、暴力的な動画を見たりしないのよね。。あとFワードが息子の見てる動画で使われているかって言うとそうでもない。ゲーミングYoutuberもWhat The Flipとか、入れ替えて言うし。
あと、親として行儀の良い、優等生的な子になりなさい、という考えが無く、自分で失敗して学べと思っているタイプなのでそいうのもあって、コケ無い様にガードレール引くのではなく、ガードレール外してコケさせて考えさせ様としている。ただこのやり方は、目をかけておく事がとても重要とは自覚している。

日本語が弱くなってしまうのでは?

うん、そういう面はあると思う。限られた一日の時間の大半を英語で過ごしていたら、その分日本語の伸びが鈍化するのは当然だ。両方均等に伸ばすには相応の努力が必要になる。でも、それは子供にさらなるストレスを掛けてしまうだろう。負荷を与えて両方ハイレベルで伸ばすのか、片方を諦めて、緩くやるのか。親の価値観、子供の特性によっても変わってくるだろう。我が家では日本語苦手でも英語できた方が良いじゃん?という考えを基本方針としてる。夫婦で話し合った。意見も一致した。

英語に全振りしても、日本で生きていくのに英語いらないのでは?日本人なんだから日本語を先ずしっかりした方が良いのでは?

その考えも正しいかもね。ウチが「英語に全振り」で良いと思ったのは、親の、特に俺の「日本に対する危機感」の強さが要因だ。俺は、日本はどんどん衰退していくであろうから、息子が世界をフィールドにして働けた方がサバイブし易いと考えている。日本の未来を強く悲観しているから、「日本語と英語、どっちか一つ取るなら英語」という考えになっている。あと、以前は「英語に寄りすぎて、日本語が拙いなんて、まあ贅沢な悩みじゃないの、そうなってから考えりゃいいじゃん、たいていそんな事にはならないんだから」と思ってた。今は思いの他、英語ばかりになっちゃたので「日本語どうするか?」問題がリアルな問題になってきてる。

でも日本に暮らしてたら日本語必要だよね?日本語はどうするの?

英語に全振りの基本方針はあるのだけど、もちろん日本語はどうでもいいと思ってる訳では無い。ただ日本語しか話せない人で、言語表現能力、説明能力が低い大人は山ほどいる。日本は空気という文脈に頼りまくっていて、多くを語らない言語表現が良しとされる。省略し、あいまいにし、なんとなく解釈させる言語コミュニケーション。俺はそれが嫌いだし、ダメだと思ってるし、今後どんどん通用しなくなると思っている。だから息子には「主語、述語、目的語を省略しないでちゃんと言え」という態度で接している。俺が汲み取れて理解できることもあるのだけど、受け手が汲み取って補完しちゃうと彼の表現力は低いままに留まってしまう。
何が言いたいかというと、親の接し方が、子供の言語表現力の発達に大きく寄与すると考えてるって事。親次第。英語やりすぎたから、日本語が、、、みたいな理由だけで子供の言語能力の上限が規定されるとは思っていない。日本語だけでも日本語が下手な人はたくさんいるし、多言語話者でもしっかり話せる人は沢山いるのだ。あと全部明示的に言え、というのは家訓にしてる。

親は英語どれくらい出来るの?

[父親(私)]
海外在住経験なし。仕事で少しは英語使う。30代の頃はTOEIC768ぐらいだった。息子が2歳ぐらいの、40歳超えてから英語に本気で取り組みだす(今は47歳)。TOEIC 915. 英検準一級(ぶつけ本番). フィリピンに1ヶ月語学留学。基本方針はYoutubeやPodcastをひたすら聴く。息子が英語で話す内容が理解できる。最近は息子のスピードや流暢さが上がり、ついていけない事が増えてきた。

[母親]
海外在住経験なし。英語は義務教育でやったのみ。英語を使う機会はゼロ。息子の英語が殆ど分からない。息子と俺が英語で話していると「??」となるので日本語でも内容を説明する。(この時、息子に説明させると息子の日本語の練習にもなるので一石二鳥)

なぜ5歳までやらなかったのに、急に始めたのか?

なぞ。あえて考えてみると、英語を始めようと思った5歳の時点で、もう日本語理解の土台が揺らぐことはないなと思えたというのはある。日本語の理解、発話が未発達な状態で英語をやろうという発想が浮かばなかったのかもしれない。元々、大人になってからでも英語はやれると思ってたから。元々子供の教育に力を入れてるタイプの家庭ではなかったし。始めた時も、ちょっと試しにやってみるか、、という感じで始めた。

振り返ってみて、何歳ぐらいからやるのがいいと思う?

0歳からやる意味があるかは分からない。意味がないとも思わないけど。量にもよるし。それうよりも母親、父親との愛情交流があるかどうか、という方が大事。ただ、幼い時に始めるのは良いと思う。もしまた子供を育てるとしても、4, 5 歳から始めるかも。日本語の土台ができて、まだ時間がある幼稚園の年中、年長ぐらいが良い印象。小学校にあがると時間が一気に減るし、子供も「型にはめ」にくくなる。「Youtube、英語だったらいくらでも見ていいよ」って言っても素直に見なくなってくる。
基本僕がやっている英語習得法を息子にも適用しただけなのだけど、吸収スピードがぜんぜん違うのを目の当たりにして、語学は若い時にやった方が良い、という考えは強化された。40台の俺と一桁の息子。吸収スピードが10倍以上の違いがあった。俺も英語できないほうじゃないのに、すぐに抜かれた。俺のイメージでは中2,中3位で俺と同等レベルになったらいいな、、程度の緩い期待だったのに、そんなもんじゃなかった。子供の脳の柔らかさを舐めてました。。
語学は歳取ってからでも出来る。それはその通り。ただ脳が柔らかい若い年齢にかける労力と歳取ってからかける労力は同じじゃない。この事実にどう対処するかだな。歳取る取ってから数倍、数十倍の労力かけるのか、早めに時間確保して若い時にやるのか。

中学受験するの?他の勉強はどうしているの?

しない。他の勉強はそんな力入れてない。Xのプロフィールに「おうち英語」と入っている人は子供の教育熱心な父親、母親が多い印象。家ははっきり言って中学受験とか全然考えていないタイプ。勉強の習い事も公文ぐらいしかやっていなかった。なので、英語ができたと言うだけ。なので、その辺も教育熱心な家庭の雰囲気とは異なる気がする。どちらが良い悪いといいたい訳では無い。僕は「学校なんて行きたくなかったら行かなくて良い」とか本気で言い出すタイプなので、変なタイプの父親であると理解してもらったほうが良いと思う。
息子への関わり方を自分で振り返った記事はコレ。


↓ おかね。。。おかねをください。