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ヨコハマ・ラプソディに出てくる80年代初期の楽曲集

私が書いた「ヨコハマ・ラプソディ」という恋愛小説には、1980年代初期に流行った楽曲の名前がいくつか出てくるのですが、それらの曲を小説に登場する順番通りに載せた楽曲集なるものを、戯れにちょいと作ってみました。
一部を除き、基本的には80年代になってから発表された曲を載せています。
小説の舞台となった1982年当時の雰囲気を懐かしく思ったり、あるいはへえと新しく興味を持っていただけたら嬉しく思います。

まずは、私が女性アイドルとして初めて好きになった歌手、松田聖子さんの曲から。

松田聖子 「赤いスイートピー」
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂
編曲:松任谷正隆
1982年1月21日に8作目のシングル としてリリース。

小説の中で、ゴールデンウイークに恋人である志織と江の島へ向かう途中、電車の中で主人公が思い浮かべた曲。
実は江の島でのあるシーンの中で、赤いスイートピーの歌詞の一部をわざといくつか引用しているのですが、たぶん気が付いた人はいないでしょう。
それまで「ぶりっ子」という、ネガティブなイメージが女子とっては強かったらしい聖子さんですが、この曲の発表を境に女性ファンが増えたそうな。
まあ当時、アイドルなんかほぼ見向きもしなかった私を、女性アイドルに振り向かせた曲ですので、歌詞・メロディー・アレンジのどれを取っても完成度は高く、ファンの中でもこれを一番に推す人が多い曲です。
B面の「制服」も、これまたいい曲なんですよね。


松田聖子 「渚のバルコニー」
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂
編曲:松任谷正隆
1982年4月21日に9作目のシングルとしてリリース。

江の島から帰る電車の中で、主人公が思い浮かべた曲。
この曲も好きだったなあ。寝る前によくヘッドホンで聴いていました。
当時は「夜明けの海が見たい」という歌詞の意味に気付くことはなかったのですけどね。「水着持ってない」の歌詞にも、松本隆さんによればそれなりに深い意味があるのですが、「ああ、持ってないのね」としか思いませんでした。
ちなみにこの曲、間奏でのギターソロなどは、私が大好きな松原正樹さんが弾いています。短いなかでもキラリと光る名演奏と言っていいでしょう。



カシオペア 「朝焼け」
作曲:野呂一生
1979年11月25日にリリースされた『Super Flight』に収録。

主人公が志織と訪れたライブハウスで、主人公の友人が組むバンドがオープニングに演奏した曲。
カシオペアといえば、まずなんといってもこの曲でしょう。日本のフュージョンにおいて、スタンダード中のスタンダードといえる曲です。
フュージョン好きのギター小僧なら、このイントロを一度は弾いたことがあるのではないでしょうか。
私も、めっちゃコピーしました。最後は結構、左手が疲れるのよね。


カシオペア 「GALACTIC FUNK」
作曲:野呂一生
1981年10月21日にリリースされた『Cross Point』に収録。

同じく、ライブハウスで主人公の友人が組むバンドが、アンコールで演奏した曲。ライブハウスでの臨場感を味わってもらおうと、ライブバージョンを載せました。
こんな曲をライブでビシッと決めることができたら、さぞかし気持ちいいだろうなあ。
結局、私がカシオペアの曲をバンドでやる機会はなかったですけどね。
同じ時期に人気だったフュージョンバンド、THE SQUARE(現T-SQUARE)については、「ハワイへ行きたい」をやった記憶があるのですが。


イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)「ライディーン」
作曲:高橋幸宏
1980年6月21日に2枚目のシングル曲としてリリース。

ほとんど洋楽しか聞かない主人公が、日本の曲のなかでも好きだったという一曲。
元々この曲のタイトルは、江戸時代の伝説的な力士「雷電爲右エ門」からとったらしいのですが、うちらの世代だと、アニメの「勇者ライディーン」を連想した人が多かったのではないでしょうか。私も長い間てっきり、それだと思っていました。
YMOって確か、最初は海外で評価されて、その後日本でも人気が出たような記憶があります。その日本での人気を決定づけたのが、この「ライディーン」だったような気がします。


松田聖子 「風立ちぬ」
作詞:松本隆
作曲:大瀧詠一
編曲:多羅尾伴内/ストリングスアレンジ:井上鑑
1981年10月7日に7作目のシングルとしてリリース。

私が高校生だった当時、数多くの音楽番組で彼女が歌っているのを見て、「松田聖子って、他のアイドル歌手と何か違うよな」と最初に感じたのが、この「風立ちぬ」でした。何がどう違うのかは、よくわかりませんでしたが。
聖子さん、この曲を最初に聴いた時は「あれっ? こりゃ困った!」と思ったそうな。「チェリーブラッサム」や「白いパラソル」の時と同じように、最初はあまりピンとこなくて、とても悩んだらしいですね。
おまけにこの頃、喉に問題を抱えていたこともあって、上手く歌えるか自信がなかったようです。
でもいざレコーディングを始めたら、ものすごく気に入ったらしく結果は御覧の通り。たいしたものです。


TOTO 「ハイドラ」
David Hungate, Bobby Kimball, Steve Lukather, David Paich, Steve Porcaro, Jeff Porcaro
1979年10月リリースのアルバム『ハイドラ』に収録。

主人公がTOTOを持ち上げたいあまり、歌謡曲をけなしたせいで志織を怒らせてしまったシーンにおいて、主人公がため息が出るほど好きだったという曲。
高校時代、初めてこの曲を聴いた時は、イントロの四分の七拍子の部分などは斬新でかっこいいけど、うちらのバンドでやるには、ちと難しいかなとも思いました。実際コピーしてみると、それほどむちゃくちゃ難しいという訳でもないのですが。(ギターソロはともかく)
そんなことを書いていると、『ハイドラ』の中の「ホワイト・シスター」を高校時代にバンドでコピーしたのを思い出しました。
表題曲の「ハイドラ」を始め、「99」や「オール・アス・ボーイズ」なども当時、あちこちで色んなバンドが演っているのを耳にしたものです。
それほど、当時のアマチュアバンドにTOTOは大人気なのでした。

TOTO 「セント・ジョージ&ザ・ドラゴン」
David Paich
1979年10月リリースのアルバム『ハイドラ』に収録。シングルカットもされています。

同じく志織を怒らせてしまったシーンにおいて、主人公が好きだったという曲。
私が高校時代に掛け持ちした、二つのバンドでコピーした曲でもあります。
でも私が持つストラトキャスターでは、あの太い音が出なくて、ギターに手作りのブースターを付けたりとあれこれ試したりはしたのですが、なかなか納得する音にならなくて苦労しました。
最初にCMでこの曲を聴いた時は、今までのロックとは一味違う曲に思えて、これが今話題のTOTOか! と感動したものでした。


TOTO 「グッドバイ・エリノア」
David Paich
1981年1月リリース の『ターン・バック』に収録。シングルカットもされています。

TOTOの曲の中でも、特にノリのいい曲のひとつ。スティーヴ・ルカサー のギターが冴えわたっています。ホント、めちゃくちゃかっこいい。
高校時代、個人的にものすごくバンドでやりたかった曲です。でも私のストラトキャスターでトレモロアームをここまで派手に使うと、弦のチューニングが思いっきり狂っちゃうので、少なくともライブではやりづらい曲ではあったのですが。
当たり前だけど今見ると、みんな若いな。



松田聖子 「小麦色のマーメイド」
作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂
編曲:松任谷正隆
1982年7月21日に10作目のシングルとしてリリース。

主人公が志織から「呉田軽穂」という人が、実は松任谷由実さんであることを教えてもらった曲のひとつ。
夏のリゾートホテル、気だるい午後のプールサイド、といったシチュエーションでしょうか。「常夏色」という言葉に松本隆さんのセンスを感じます。
松本隆さんて、他にも「春色の汽車」や「映画色の街」など、色に関する印象的な歌詞を書く人で、私が尊敬する数少ない作詞家の一人です。(というか、作詞家の人達の名前自体を、私、あまりよく存じ上げていません)
実はこの曲、当時のアイドルポップスとしては異例の、いわゆるわかりやすい「サビ」がない曲なんですよね。
でも、言っちゃあなんですが、「サビ」なんて飾りです。偉い人にはそれがわか…………っていたらしい。(ここ、もちろんネタですよ。念のため。ガンダムを知らない人たちに、ちんしゃいたします)
当時レコード会社のスタッフが「サビがない」と難色を示したけど、松任谷由実・正隆夫妻が「いや、これがいいんです」ということで押し通したそうな。
正解。



山下達郎 「Sparkle」
吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
1982年1月21日にリリース

主人公が志織からダビングして貰ったカセットテープに収められていた、山下達郎さんのアルバム『FOR YOU』の一曲目。
印象的なギターのカッティングから始まります。これもギター小僧なら一度は……、以下省略。
梅雨明け直後、太平洋高気圧に覆われたピーカンの夏空と青い海を思わせる曲です。
一度でいいから、車の窓を全開にしてカーステレオでこの曲を大音量で流しながら真夏の海沿いを走ってみたい、などと思ってしまいます。
これを聴いたことがきっかけで、一時期山下達郎さんにドはまりしました。
その頃は「BOMBER」がお気に入りでした。



山下達郎 「Your Eyes」
ALAN O'DAY 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
1982年1月21日にリリース

同じく『FOR YOU』の最後を締めくくる曲。
夕日が沈む海岸で恋人と二人っきり、というシチュエーションが似合いそうな曲ですよね。
『FOR YOU』のアルバム・ジャケットは、私が好きなイラストレーター、鈴木英人さんの手によるものです。
昔、東京駅前の八重洲ブックセンターに、レプリカだったけど鈴木英人さんのイラストが何枚か売られてて、その中にものすごく欲しかった一枚があったのを憶えてます。(確か、ポルシェ356が描かれていたような)
レプリカと言えど一介のサラリーマンにとっては勇気のいる値段で、おいそれとは手を出せなかったのでした。


改めてこれらの曲を聴いてみると、40年以上も前の曲なのに古臭さを感じないことに驚かされます。
70年代の曲には、アレンジなどに古さを認めざるを得ないものも多々あるのですが、80年代になるとかなり洗練された曲が多い印象です。

1982年ってまだバブル突入前で、日本人が勘違いして調子に乗る前の、あっけらかんとした明るい時代だった、ような気がします。

よろしければ暇つぶしにでも。↓


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#山下達郎


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。