バジ・アサド Badi Assad
バジ・アサドというブラジルの女性ミュージシャンを知ったのはいつだろう、数年前、比較的最近のことだと思う。たまたま、ラリー・コリエルとジョン・アバークロンビーとの素晴らしいギター・トリオ(*1)の演奏を YouTube で見つけたからだと思う。1966年12月生まれ、生年月日が私と1か月も違わない若手で、世界的に有名だということなので、もっと早く知っていてもおかしくなかったのだが、迂闊であった。
超絶技巧をバリバリ見せつけるというわけではないが、ジャズギターの巨匠を左右に従えて堂々としたチャーミングな演奏だ。この曲は、ラリー・コリエルが1992年ごろに「ライブ・フロム・バイーア」というバンドと活動していたとき(*2)の "Bee Hive" という曲だ。ジョン・アバークロンビー(向かって右)の抑制のきいた演奏も相変わらずよく楽しめる。
このトリオは 2003年に "Three Guitars" というアルバムをリリースしている。
バジ・アサドはギターも素晴らしいのだけど、なんといっても歌がいい。明るく透明感のある伸びのある力強い声で聴き惚れる。
なんとタイミングいいことに本日(2022/5/26)に出たばかり(たぶん)のシングル、"Eterno"もポップでいい感じだ。
2020年のアルバム "Around The World"もいい。シンプルな弾き語りのアコースティックな音作りで彼女のギターとボーカルの魅力がたっぷりと楽しめる。
どの曲もいいけれど、10曲目の "Ondas" が面白い。
アルバムデビューは1988年だという。Spotify では1994年の "Solo" から12枚ほどのアルバムを聴ける。"Solo" も彼女の魅力たっぷりだ。ボーカルももちろんだが、素晴らしいギター演奏をたっぷりと聴ける。
最近では、2021年のミニアルバム "Volta ao Mundo com Convidados" (ゲストと一緒に旅行中 - google 翻訳)は、それぞれが個性的でバラエティに富んだ曲ばかりで聴きごたえがある。
今年(2022年)の3月にリリースされたシングル"Feminina"も印象的だ。ブラジルの女性ミュージシャンとの演奏だが、2004年のアルバム "Verde"に収められている曲のセルフ・カヴァーだ。アフリカの民俗楽器・カリンバの演奏も入って、まったく違う曲のような仕上がりで面白い。
いい曲、いいアルバムがたくさんありすぎて書ききらない。全部のアルバムへのリンクを貼りたいところだが、最後に一曲、2021年に動画であがっていた "Vacilão" を貼っておこう。
今回、こうしてあれこれ聴き直しながら記事を書いてみてよかった。聴くほどに、ますます彼女への愛が深まった。
■注記
(*1) スーパーギタートリオというのが一世を風靡したことがあった。アル・ディメオラ、パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリンの3人のスーパースターの共演で、ときに、ラリー・コリエルやビレリ・ラグレーンが入れ替わったりするなどしたが、スーパーギタートリオといえば、アル・ディ・メオラ、パコ・デ・ルシア、ジョン・マクラフリンを指すだろう。
この動画の曲は "Mediterranean Sun Dance" 「地中海の舞踏」というアル・ディ・メオラの曲で、オリジナルはパコとのデュオの録音で、そこからスーパーギタートリオの企画につながったのかなと思う。アル・ディメオラが二人の先輩巨匠ギタリストとの共演を少年のように楽しんで演奏している様子が見れて、ほほえましく、とても気に入っているライブ動画の一本だ。
以来、企画もので超絶技巧ギタリストを集めると、3人衆、というのが一般的となったのではないだろうか。たとえばメタル/ハードロックなら G3 。
デュオもいいけど、デュオは普通。4人以上集めるとちょっと煩い。・・・そんな感じなのかもしれない。
(*2)
私は1992年のライブ・アンダー・ザ・スカイの演奏をテレビで見て、なかなかそのほかの音源を見つけられないのだけれど。
"Bee Hive"
次の動画は同じステージから "Vera Cruz"。他の記事でも紹介した憶えがあるが、再録しておこう。3'47"から2分余り、ラリー・コリエルのちょっと強引な圧巻のソロをたっぷり楽しめる。
アルバムは YouTube にあがっていた。
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