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西アフリカのコラの響き:ソナ・ジョバルテ Sona Jobarteh "Mother Land"

ガンビアのコラ奏者、ソナ・ジョバルテもこの10年くらいかよく聴いている。つい先週だったか12曲入りのフルアルバム "Badimyaa Kumoo" がリリースされた。

伝統音楽の風合いを残しつつ、洗練された音作りで彼女の内省的な歌声をじっくりと楽しめる。シングルとしては2015年にリリースされていたヒット曲 "Gambia" も収録されている。

民俗楽器のパーカッションのアンサンブルもいいし、ビデオも彼の地の風景や人々の様子がうまくとらえられていて楽しめる。

2011年のアルバム "Motherland" も、少し沈んだ曲調の曲ばかりではあるが、よく聴いた。こちらもソフィスティケイトされた音でいい。


コラは西アフリカのハープのような弦楽器だ。半分に割った大きいカラバシという名のひょうたんに牛の革をはった共鳴胴と長いネックと2本のハンドルを持ち、21本のナイロン弦がネックから張られている。マリとその周辺には、グリオと呼ばれる吟遊詩人の家系があり、ソナも70代以上も続くという家系の出身ということだが、そのなかでも初めての女性コラ奏者だということだ。

[official site] Sona KJobartehh - biography
https://sonajobarteh.com/biography

彼女の歌とともにコラの音色をもっと楽しみたいという向きには 2011 年の Fasiya がいい。

あまり詳しくはないのだが、グリオの家系はいくつかあるらしい。やはり著名なグリオ出身のバラケ・シサコとの共演も、コラの演奏をしっかりと堪能できる。


今回、この記事を書くにあたってオフィシャルサイトをじっくり見てトゥマニ・ジャバテが従弟だということを知った。

上に動画をリンクした "Jarabi" だが、トゥマニ・ジャバテとトゥマニの息子のシディキ・ジャバテの二人がコラ合奏しているビデオクリップを見つけた。なかなか良いので貼っておこう。


CNNのドキュメンタリー番組が YouTube に上がっていて、彼女の肉声を聞くことができる。コラの解説も興味深いし、彼女が創立した音楽アカデミーについても楽しく聴ける。コラ、バラフォン、ジンベイ、ドゥンドゥンといった伝統楽器や歌やダンスを教えるアカデミーで、さらにはアフリカやガンビアの歴史や文化も教え、8歳から18歳、あるいは大人も対象に、さらにカリキュラムも広げて電気工学や IT などにも拡大していくということだ。

教育は大事、算数や国語といった科目だけでなく、とくに音楽やダンスなどの情操教育は共感力や想像力を育むと思う。紛争をなくすには対話が大事、とはいえ、対話が成り立つ前提として、相手の痛みをわかろうとすること、相手の立場にたって考えることができること、があるのだろう。ガンビア・アカデミー、大きく育っていってほしいと思う。



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