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マジック・タッチ 4:ヤスミン・ウイリアムズ、エリック・モングレイン、 Yasmin Williams, Erik Mongrain

今まで知らなかったのか、と呆れられそうだが、去年の年末に面白いギタリストを発見してしまった。ヤスミン・ウイリアムズだ。アコースティックギター一本で、膝上にギターを置いて、両手の指をフルに使ってきらびやかなアンサンブルを奏でる。

以前に、盲目のギタリスト、ジェフ・ヒーリーを取り上げたときに、彼の演奏スタイルについて触れた。膝の上にギターを水平において、右手は水平にピッキング、左手の5本の指は上から抑えるスタイルだ。ブルージーなストレートな演奏で、暖かいディストーションがかかった太い音が魅力的だ。また、そこでハワイアンのスチール・ギターも紹介した。

今回、ヤスミン・ウイリアムズを見つけたのは、まったくの偶然だったのだが、このような構えで演奏する人はまだまだいそうだ。ほかにエリック・モングレインという人も見つけた。この人も1980年生まれでまだまだ若いのだけど、だいぶん前から活躍しているらしい。15年前の動画が上がっていた。

アルバムは少ないようだ。たとえば2012年の "Forward."

二人とも、音がクリアでパーカッシブ、自然なメロディが美しい。仕事や作業をしながら流すにもいい。じっくり聴いても楽しめる。

演奏の構えこそ、ジェフ・ヒーリーに似てはいるが、二人とも右手の指もうまく使ったり、ギターを叩く音なども効果的に使っているので、奏でる音楽はまったく違った感じだ。(*1)

ヤスミン・ウイリアムスは、まだキャリアは浅い。小柄で真面目で控えめな感じ、大学のガランとした教室の片隅にまだいるような雰囲気だが、それもそのはず2017年に大学を卒業したばかりということだ。2枚アルバムをリリースしているようだ。2021年リリースされたばかりのアルバムはジャケ写も綺麗で心が洗われるようだ。

もちろん、2018年のものもよい。今もこれらの曲を流しながらこの記事を書いているのだが、意識の流れの邪魔にならない。

ギターだけでなく、アフリカの民俗楽器のカリンバ(親指ピアノ)も弾く。冒頭の NPR Tiny Desk Concert の動画でも 10:18"くらいから、右手でカリンバを弾きながら左手でギターを弾いている。(*2)

2017年にあがっている次の動画でも、右手でカリンバを弾きながら左手でギターを弾いているのを楽しめる。

そしてハープ・ギターも弾く。パットメセニーのピカソギター(Wikipedia: リンダ・マンザー)は知っていたし、この種のギターがあることは知ってはいたが、ハープ・ギターという楽器は、迂闊なことに私は知らずにいた。低音の共鳴弦の豊かな響きがいい感じだ。いくらでも流していられる。

素晴らしい解説付き演奏である。

ネットでハープ・ギターの拾ってみた。2017年の gizmode の記事が、いろいろリンクも貼ってあってよかったのでリンクしておこう。


最後に2019年のシングルを貼ってしておこう。ボーカルがソウルフルで雰囲気たっぷりでいい。

ヤスミン・ウイリアムス。これから商業的にどこまで成功するかはわからないが、素晴らしいマジックタッチなギタリストだ。こうして新しい楽器やミュージシャンにつながるのもうれしい。私は長く追いかけていくことになるだろう。

それにしても、世の中にはまだまだ、知らないミュージシャン、知らない音楽や楽器もたくさんある。いくら時間があっても足りない。とはいえ、一人ひとりとの出会いは大切にしていきたいものである。



■ 注記

(*1) 二人を聴いて、ギターの構え方は違うが、押尾コータローを思い出す人が多いのではないだろうか。

そういうと、このようなスタイルでは、最近、facebookや YouTubeでよく聴くポーランドの若手ギタリスト、Marcin もすごい。2000年生まれらしい。若い。TikTokやインスタのほうでアクティブらしい。

前にも書いた覚えがあるが、ギターは広く生産されていて楽器の中では安価なほうで、世界の広い地域で入手できる。各地域でギターの先祖となる楽器や、分家して進化した似た楽器など、いろいろあるので多くの人に馴染みがある。バンドの花形だしスーパースターにもなれるチャンスがある。演奏者人口が多いというのはいいことだ。創造的な演奏手法や超絶テクニックも次々に生まれてくるし、いろんな人が発展させていく。自分の枠を超えて新しい世界を切り開いていく人が私は好きだ。

(*2) 右手でピアノ、左手でギターを弾けるスタンリー・ジョーダンはすでに記事にした。元祖・マジックタッチはこの人だ。


■ 関連 マガジン

1. 好きでよく聴いているミュージシャンを紹介。毎週木曜日に更新中。ギタリスト多め、たまに懐メロ。

2. 愛している女性シンガーに特化したのが、我ながらベタな名前だと思うが「世界の歌姫たち」。こちらはさらに愛している思いのたけのみの記事ばかり、週一、毎週火曜日に新しい記事を書いている。懐メロ多め。

3. いずれも、耳もあまりよくないし、知識も少ない、語彙力もない、なので、基本YouTubeやSpotifyのリンク貼り付けと「好きだー」「愛している」というだけの記事ばかりになっているし、そうなっていく。

私本人が楽しく書いていることだけは間違いない、それだけは伝わるだろう。

ハープ・ギター

Muriel Anderson


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