【読書】三好徹『チェ・ゲバラ伝』
硝煙の匂いが消えたら、ぼくはきみを待つことにしよう。
── P256 グラナドスへのメッセージより
なんというカッコイイセリフなんだろう……
言ってみたいけど、自分の生活の中には、どう考えても使うシチュエーションがありません。
剽悍な武力革命家、生まれ持ってのカリスマ的リーダー ── というのは、しかし、だいぶん勝手なぼくの思い込みだったようでした。
ゲバラが生まれ持ったのは「カリスマ性」ではなく「持病の喘息」で、どちらかと言うと病弱なタイプだったみたいです。また、少なくともキューバ革命時代は、リーダーはカストロであってゲバラはその片腕的な立場だったよう。
彼をカリスマたらしめているのは、強さではなく、人がらと不器用なほどまっすぐな生きざまなのだろうと、この本を読んで思いました。
浅学のための誤解は、ほかにもあって、どうもキューバ革命は始めから共産主義を掲げたものではなかったようです。
カストロは、このころはまだ、キューバ革命を社会主義革命と規定していなかった ── P179
ゲバラは確かに反米主義者でしたが、最初から共産主義者だったわけではなく、カストロも革命直後は米国との融和に期待を持っていたよう。対決姿勢が決定的になったのは、ピッグス湾事件以降とのこと。
ところで、「チェ」はスペイン語の方言で「やあ」とか「おい」の意味とのこと。本名はエルネスト・ゲバラ。「チェ」は愛称なんだそうな。
ある意味、歯がゆいほど純粋な生き方と、それがにじみ出ているようなまなざしがやっぱりカッコよくって、先ごろのキョンキョンのドラマ(※)に出てきたエンジェル役の坂口憲二さんに似てなくもないと、また勝手に思ったりしました。
<memo>
1928年 6月14日、アルゼンチンに生まれる。
1951年-52年 アルベルト・グラナドスと南米オートバイ旅行
1959年 キューバ革命
1961年 ピッグス湾事件(プラヤ・ヒロン侵攻事件)
1962年 キューバ危機
1967年 10月9日、ボリビアにて戦死。享年39歳。
※ この文章は2012年に書きました。ドラマは当時フジテレビで放送していた「最後から二番目の恋」です。ロケ地となった鎌倉の風景が好きで、よくかみさんといっしょに見ていました。
(2012/4/11 記、2023/12/24 改稿)
三好徹『チェ・ゲバラ伝』原書房 新装版(2001/1/1)
ISBN-10 456203386X
ISBN-13 978-4562033867
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