《シュワキマセリ》

「シュワキマセリ?」
「先生が言ってたの聞いてなかったの?」
「え?そ、そんなことないけど」
「主はやってきますよ、ってことだって言ってたじゃない。シュ?主は神さまのことだって」
「ふーん、だったらシュワッシュワッってウルトラマンは神さま神さまって言ってんだ」
そんなことを言ってるんじゃないってことぐらいわかってたけど、ちょっと上向きの鼻が、いつにも増して勝ち誇ってるように見えて、くやしかったのでウルトラマンにした。
「クリスマスまでにはちゃんと歌えるようにしなきゃだめだよ」
じゃあね、と駆けだし、ウルトラマンは無視され、スペシウム光線を使う余地もなかった。

そんなことを思い出したのもクリスマスだからかも知れない。
50年近く経ってもこいつのちょっと上向きの鼻は相変わらず生意気そうだった。

M78星雲への有人探査。帰ってきた時にはウラシマ効果でわたしと地球の時間は43年違っていた。
「シュワキマセリ、覚えてた?」
「いや、ウルトラマンだから」
「しょうがないなあ」

57歳と100歳となって再会したクリスマスの夜だった。

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