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介護職の本音②―人手不足なのか?

はじめに

介護現場で働いて思ったこと、本音の部分を語る第2弾。
今日は、介護現場の人手不足について、です。
私が現場で働いて感じたことはですね、人手不足という言葉への違和感でした。私が働いていた職場、そもそも、人出不足という表現はちょっと違う気がする。

【私の心の声】
いやいや、人はいるねん。
現に応募があって、採用しているやないかい。
でも、雇ってもやめていってしまう。
そうならば、それは、不足とは言わないでは?
人手不足というよりも、むしろ人手流出という表現の方が合っている。


人手不足というより、人手流出?!


私が去年辞めた前職の法人ですがA法人としましょう。
特別養護老人ホーム・デイサービスを運営。
離職率のデータが掲載されていました。(県の働きやすい介護職場取組宣言のHP)

A法人:特別養護老人ホーム(2020年度)
過去1年間の離職率 19% (正規職員に限る)
3年目職員の定着率 33.3% (正規職員に限る)

過去1年間の離職率は悪くない。3年目の定着率が3割。3年経たずして、7割辞めるってことか。

A法人:デイサービスセンター(2020年度)
過去1年間の離職率  75%(正規職員に限る)
3年目職員の定着率  対象者なし

おいおい、離職率やばいことになっている。これは職場の問題が大きそう。

これは極端な例と思いますが、これだけ辞めていってしまうと、この職場はどうなっているのか、と思われるでしょう。これだけ、離職率や3年目定着率の数字が悪いと、人手不足ではなくて人手流出だよ、と思うのです。こういう意味での人手流出です。



しかし、私の前職のA法人とは、真逆の優良施設もあります。優良法人として紹介しますので施設名出しても問題ないと思いますので。三重県の美里ヒルズという施設なのですが、

過去1年間の離職率 6.6% (正規職員に限る)
3年目職員の定着率 100% (正規職員に限る)

3年目定着率が、驚異の100%です。
この施設さんは、施設運営や介護の質が非常によく、三重県でナンバーワンの老人ホームと思っています。全国的にも有名です。


介護業界は、良い職場と悪い職場、長く働ける職場と2~3年ぐらいしか働けない職場、の2極化しているのではないでしょうか。
介護業界で働くのであれば、「どこの施設でもそんなに変わらないやろ」ではなく、離職率の低い・長く働くことのできる職場を探して、就職されることをおススメします。



介護業界の離職率はそこまで高くない


高いと思われている離職率ですが、業界全体の離職率はここ数年少しずつ下がって、14.9%(2021年)です。全産業の平均離職率 15.6%(厚生労働省令和元年雇用動向調査結果)を 0.7 ポイント下回っています。全産業平均以下ですから、そこまで高くのないのです。

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf



介護業界、勤続年数が少ない!

介護業界全体の平均勤続年数は7年とのことです。

現在の法人での勤続年数は「5 年未満」でまとめると 43.7%、「5 年以上 10 年未満」が 27.8%、 「10 年以上 15 年未満」が 14.6%、「15 年以上 20 年未満」が 8.5%、「20 年以上」が 4.4%と なっている。(介護労働者の就業形態と就業意識調査2021 P.16)より

勤続年数5年未満が43%となっていて、比較的短期で辞めてしまう傾向があります。介護求人はたくさんあり転職が容易なこともあり、すぐ辞めてしまう・長続きしないといったイメージが作られる原因のようです。


また、勤続20年以上は約4%しかありません。介護業界では、定年まで一つの事業所で勤める人は非常に少ないようです。これも長く働けない仕事というイメージを作っている原因と思われます。

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_cw_kekka.pdf



さいごに~長く働ける職場環境づくり~

雇ってもすぐにやめてしまう職場状況で、また人を雇っても結果は同じ。正規職員で雇うからには、長く働ける職場環境づくりをするのは当たり前と思うのですが。離職率が高い介護職場は人出不足ではなくて、人手流出の状態になっていると思います。

正規職員で雇ったからには終身雇用前提。長く働けるように定着率を上げることが必要と思います(言葉で言うのは簡単ですが)。介護職場で働く人が、途中でしんどくなって辞めてしまう・辞めざるを得ない状況がなくなりますように。離職してしまう原因は、介護職員自身の問題、施設・法人の問題、制度的社会的問題と、複数ありますが。


あと、現場で働いて思ったことですが、雰囲気の悪い職場を作っているのは、誰でしょうか?施設運営の問題もありますが、それは、実は働く人の問題、介護職員自身の問題でもあるかもしれません。職場での小言・高圧的態度・嫌がらせ・モラルハラスメント等は、介護職員自身の行動が問題の一部分ではないでしょうか?一部の介護職員が職場での行動を改めるだけで、ガラッと職場の雰囲気が変わるかもしれません。

どうすれば介護職場が良くなるのか、働きやすい職場になるのか、これから私なりに考えて、また記事にしたいと思います。皆さんと一緒に考えたいと思います。


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