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vol.118「リーダーの心得シリーズ:『「育成の期限」を宣言する。』」

前に、「異国の地で野営をしながら戦いつづける混成部隊の指揮官」とでもいうべき仕事をしたことがあります。いままでの会社人生の中でもトップに入る面白い経験でした。

長期戦にそなえた「モチベーションの維持」で試したひとつが、
「目の前の作戦遂行と直接関係のない、今日やらなくてもいいお題を、全員参加型でやってみる」
です。


いわば「無い仕事」を勝手に創った。「指示されてもいないけど、禁じられてもいない領域で、何をやるか」の一環です。

「今日やらなくてもいいお題

メンバー全員へ声かけ。
「このチームで勝手に『仕事の心得集』をつくります。各自の経験から、『これは後輩世代に伝えたい』学びを、短い文章で書いてどしどしお寄せください。なお、本件は自由参加です。協力したい人、これぞというネタのある人、好きにご参戦ください」

そうやって出来た『リーダーの心得』集。

たとえばこんな感じです。

8."育成の期限"を宣言する。
新人を育てるとき、
「一人称でできるようになる期限」
を本人に宣言する。
例えば「教えられるのは半年後まで」と明示する。

期限を決めれば、育成される本人は、知識を吸収しようと行動する。
しばしば、教える方が思っているよりも、ずっと当事者意識が高かったり、急速にしっかりしはじめるもの。

逆に、宣言したらそれまでのあいだは「何でも言って」。質問や相談にはかならず耳を傾ける。
その上で「一度自分で調べてみて」「思った通りにやってみな」と徐々にレベルを上げる。

そうすれば、半年後ではなく三カ月で独り立ちできるようになる。

メンバー合作『リーダーの心得集』より一部抜粋


◆補足解説。

締切をはっきりと宣告する。独り立ちしてもらう、と明言する。イメージを持ってもらう。

ぼんやりしていたものが形をとること。
「あ、どうやら本気なのだな」と理解すること。

たったこのぐらいのことで、人が育つ、ということは普通にあります。

新人の育成に限らず、仕事の成否の半分は
「期限をどう設定するか」
で決まる。

最終的な完了をいつにするか。
中間報告をいつにするか。
次回の確認をいつにするか。

仕事に使われる資源のうち、時間だけが、
・後から取り戻せない不可逆過程で、
・解釈の入りこまない、万人に共通の尺度
だからだろうと考えています。

頭ではわかっているのだけど、一環してブレずに実行するのがなかなか難しい。(※私は安定して着実に繰り返すのが苦手なほうです)


全員参加型でやる。「自分たちのものだ」という所有感を醸成する。ゲーム感覚で仕事する。
難しい仕事か、または長期化して出口のなかなか見えない仕事をするとき、有効なアプローチだと思っています。

このテーマ(育成の期限を宣言する)を出してくれたAさんは、その後 マネージャーになって活躍しています。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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