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vol.136「『質問』の持つ性質、続き:『相手が聞いてほしいこと』を聞く。」

誰にでも特技・とりえはあるもの。私の場合「相手の話を整理する能力」「フィードバック(または質問)する能力」です。

それが活きたと思っているのが就活支援活動で、そこでは企業と就活生で「質問する番(選択権)」が移動する。また質問は、効率性重視・目的志向で行われる。だけども場面が変わると、質問の目的も変わる、「質問と答えのやり取りをすること自体が目的になる。なぜなら信頼獲得にはかならず「冗長性」が必要だから、という話をしました。

「質問」は、大勢の場でする場合と、1対1(少人数)でする場合とあります。
ここでは前者「講演会の聴衆のひとりとして、質疑応答タイムで質問する」ケースを例にします。

ポイントは2つ、
(1)「相手が聞いてほしいこと」を質問する
(2)あらかじめ書き出し、入れ替え戦をしながら待つ

です。

◆大前提:「相手が聞いてほしいこと」を質問する。

「相手が聞いてほしいこと」といっても、「無難な質問をする」「お世辞をいう」ことではありません。
「鋭い質問をしたら講師が答えに窮するかもしれないから、配慮してあげましょう」という意味でもありません。

講師の先生は、そのテーマの専門家、プロです。場合によっては著書がすでにベストセラーだったりします。「先生が答えられない、レベルの高い質問」を、いち聴講者が発してしまうことは起こり得ない、と考えていい。「どうしよう?」と思うのは、不遜・傲慢です。

そうではなくて、

・著書を読めば分かるような質問は控えよう
・自身の、およそ大したことのない所見を打(ぶ)つのはやめよう
・個人的な話(例:いかに熱烈なファンであるか 等)はしない

といったことです。

質問でいちばん良いのは、
「他の人も聞きたいだろう質問」
「他の人が考えるきっかけになる質問」
です。

「他の人も聞きたいだろう質問」・・・
多くの場合、質疑タイムで当てられる人数には限りがあります。運良く当てられたら、「他の人も聞きたいだろうこと」の観点で、聞く内容を絞ります。

「考えるきっかけになる質問」・・・
他の人があまり思いついてない視点で、かつ講演者が聞いてほしい、または感心する質問を考える。一歩間違えると外してイタい感じになるから、奇をてらいすぎないように注意します。

◆あらかじめ紙に書き、準備しておく。

「紙に書いておく」ことは、確実に効果があります。

①質問の内容を紙に書いておく。
極端にいうと「(ほぼ)質問のセリフ=原稿そのもの」を書き出しておくと、間違いがおきません。後述の「思いもしないことを舞い上がって長々話す」ことも防げます。おすすめ。

②質問を複数準備する(もちろん紙に書き出す)。
質疑で当てられるまでのあいだ、入れ替え戦を行います。「講演の中で、先生が該当する答えを言った」「直前の質問者が同じ質問をしてしまった」といった事態にも対処することができます。

講演会場で、①をやっている人は少数派、あまり見かけません。②を実行している人は、今のところ、まだ一人も出会ったことがない。
差異化になるし、うまくハマったらその後の懇親会で講師の方から賞賛されることもあります。※実際に経験あり。ああいうプロの人たちは、ちゃんと観察して、記憶しています。

質問のコツは「すぐ本題に入る」。とにかく手みじかに。
理想は「お礼 or 感想ひとこと[5秒]+質問[10秒]=合計15秒」。長くて「30秒以内」と考えます。
会場の聴講者は、いち聴講者の話ではなく、先生の話を聞きにきているからです。
また、質問の意図の補足、へんな喩え話はいっさい不要。先生はそのテーマの専門家で、類似の質問を千回くらい受けています。おそらく、質問文の前半を聞いた時点で、答えが頭に浮かんでいるはずです。

前に出た講演会※で教わったのは、
自分が聞きたいことを聞く場ではない。検索すれば判ることは聞かない。相手の印象に残る質問をする、の3つだけ気をつければ良い
・マツコ・デラックスさんや明石家さんまさん、皆さんそうしている。彼らはプロだから、判らないようにやってる。
でした。
自分でいうのも変ですが、ほぼ同じことを言っていると思います。「質問には目的があるべきで、目的を達成するために聞こう」という指摘で、ほんとうにその通りだと、深く納得した。

※出口治明さん、角田陽一郎さんの講演会・座談会

質問にかぎらず、言葉を発するとき、本来、そこには何かしら意図があるはずです。
でも「話し始める時点で、目的をもっている」というのは、簡単なようで、とてもむずかしいもの。そして、実行している人はすくないから、差がつくことでもあります。

◆質問するタイミング:私の場合

質疑タイムに入ったとき、「質問する(挙手する)タイミング」をいちおう考えるようにしています。

・自分が遅刻して途中参加となったとき→1人か2人当てられてから挙手
・明らかにその先生のコアファン/常連(ホームゲーム)の人たちがいるとき→ひと呼吸、ふた呼吸、待ってから挙手。
・そうでないとき→即、挙手。

基本的には、即、挙手 です。出遅れると、当ててもらえる保証がないからです。

挙手の際は、まっすぐ右手を前に挙げて「はい!」と大きめの通る声で発声するのがおすすめ。「内容を紙に書く」「入れ替え戦を行いながら待つ」と同じで、「やっている大人」がほかにいないからです。

人の印象に残りたいと思ったら、「プラス方向への差異化(希少性)」がほぼすべてだと思っています。


「質疑タイムでの質問のしかたを研究している人」には、ほとんど会ったことがありません。いちばん近いことを言っていたのが前述の角田陽一郎さん、ぐらいです。
難易度が低い=ほぼやる気の問題だけ、の割に、効果が大きいから、おすすめです。

最後までお読みくださりありがとうございます。


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