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vol.009「距離のある分野から学ぶ:『マインドが服を着る~「服が」素敵な人ではなく「人間が」魅力的に~』」

政近準子さん(ファッションレスキュー代表)の note更新頻度が急激に上がっている。(「いざ、は突然やってくる。ドレスコード話・第2弾。」「お洒落なことができるには、基本を知ることが大事。ドレスコード・第4弾」)

・・・と思っていたら、無料セミナー・学校説明会の告知が出された。

Facebookのご本人による投稿から約30分後に気づき、いそいで申込み手続きをした。結果は間に合って席を確保できたのだけど、後で知ったところでは約80名の受講枠が短時間(おそらく数時間以内)に埋まったとのこと。
「先にやっても後まわしにしてもおんなじことを、どうせなら先に済ませてしまう」ことの価値を再認識した、ちょっとした事件だった。

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◆情報の量と濃さと、異常な熱量

ドレスコードシリーズ(全5回!)は、「必見です」、と書くとなんだか陳腐な表現になってしまうのだけど、視点をぐいっと押し拡げられる感覚がして、本当に面白い。かなり長い内容、何度かにわけながら、一読をおすすめします。


政近さんの、よそでは教えてもらえない内容、情報量の多さとリッチさ、一度読んだだけでは頭に入りきらない、特徴ある語り口。
特に、「ほかにない学校であり、場である」ことは、ご本人のメッセージにも強くあらわれている。

存在感が増し、「服が」素敵な人ではなく「人間が」魅力的になっていくプログラム、フィールドは、日本中どこを見ても存在していないと思います。

政近準子氏「マインドが服を着る」(前述)より引用


ファッションのスクール、と聞くと、「豪華なブランド服を、おしゃれに着こなす」「流行を敏感に取り入れる」「高価な服を着せられる(買わされる)」という印象を抱くかもしれない。

けれども、
・サスティナブルであること
・知性と感性の両輪
・表層の形でなく本質が表層にあらわれる
・多様性、共感、コミュニティー
といったキーワードは、それらの印象とはあきらかに一線以上を引いた世界観だと想像がつく。

"政近塾"の特徴のひとつ。
一流のプロフェッショナル、好きになる先生の共通点 のうち、
アウトプットの量が異常に多い
メニューに値段がない(無料版なのに濃い)
にものすごく当てはまること。

なかでも、アウトプットの「頻度 x 文字数 x 濃密さ」ではトップだと思っている。

繰り返しになるが、似たセミナー・似た教材を見ないし、前段でそもそもこの分野の手がかりがすくない。
連載に登場する「ドレスコード」という言葉自体、ふだん生活していて、耳にしない。言われることがない。 

◆触れる機会がない

思い返してみると、「ドレスコードって、何だろう」と、突きつめて考えたことがない。

Wikipediaを引くと、
「服装規定(ふくそうきてい、英語:dress codeドレスコード)とは、「軍隊・学校などの集団や、パーティーなどの集会、高級レストランなどにおける服装の規則」のこと。狭義には明確な規則として定められているものを指す(攻略)」
とある。
英和辞書「Wisdom2」には簡潔に「dress code:服装規定、ドレスコード」とのみある。英英辞書には記載がない。 

一般には、ある場に参加するときの「こういう服装で来てくださいね」という指定、というぐらいの認識がいちばん多いのではないかと思う。

しかし、「モーニング」と「燕尾服」と「タキシード」、それぞれの違いをきちんと理解してない。モーニング=朝ってどういう意味かわかっていない。「ホワイトタイ」とはなにか、「ブラックタイ」と言われたら何を着ていけばいいのか知らない。

それでいて、海外の映画や、各地で取材した番組を観ていると、一般市民でも、大人はもちろん、十代後半ぐらいの若いカップルが、パーティーで蝶ネクタイをつけ、ドレスを着ている。そこそこ「当たり前」のことらしく思われる。

いっぽうの日本国内では、小学校から社会人になるまで、受動的に教わる機会がほぼない。鹿鳴館以来、いわゆる洋装を"輸入"して、1世紀半が経つけれども、表層の形はともかく、プロトコル、仕組みを知らないままでいる。


◆何のために勉強するのか 

社会に出て、仕事をして、本を読んで、人と会って、、、としていると、
生きていると必ず付いてくるわりに、学校の授業ではまったく教わらないこと
がいくつもあると知る。
しかもそれらのウェイトがけっこうな比重を占める、と気付かされる。

 

お金。コミュニケーション、人間心理。話し方・聴き方。時間の使い方。結婚・離婚。生老病死。自分をどう見せるか。
たとえば「服装」は「自分をどう見せるか」の一つだ。

どのテーマも、知らないより、知っていたほうがいい。
「やったほうがいいこと」をすべてやっていると、それだけで一生が終わってしまうから、どうしても絞ることになる。

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いつの頃からか、勉強するテーマを選ぶときのものさしとして、

「自分でコントロールできること」になるべく集中する
自分の知らないことが一定量、入ってくるように混ぜる 

の2つを重視するようにしている。

 

前者は、成功率の高い技術や知識、行動するコツ、考えるための補助線を手に入れること。
後者は、持ってない視点を得ること。「今は理解しきれないけど、あの人が良いと言うのだから、あとでご利益があるだろう」みたいなこと。

 

「服装」というと、前者=技術・知識に集約されそうだけど、"政近ワールド"は、後者の要素をかなり含む。

勉強しなくても、今日明日こまるわけではない。知らないままで、一生逃げ切ることもできる。
用いている言語、発しているエネルギー量が、消化しきれない。とても全部は理解しきれない。

それでも、有用であることは経験上、容易に想像がつく。

会社というコミュニティ、サラリーマンという属性に居ると、服装の話題になることはあまりない。
まして誰も、
「次長はダサいですよね。服のセンスが無さすぎです」
「社長、その格好ではお客さまのところへ連れていけませんよ」
とは指摘してくれない。

それでいて、「次のアポイントをもらえるか」「個別の食事会に誘ってもらえるか」の決定打になりうる。いわゆる足切りに遭う。
俗にいう、「隠されたドア」が開かない。合いかぎをもらえない。

誰も教えてくれないのに重大なこと。だから自学自習するしかない。

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ファッションレスキュー主催の講座は、過去に「装力入門」コース (2016)大西慎哉氏とのコラボセミナー(2017)に参加している。

それに、昨年の1月~2月、「MFP(マインドフルファッションプラクティショナー)」コースを受講した。
全4回のうち、都合で前半の2回しか出席できなかったけれど、それだけで受講料のもとは取れたと思っている。

※もっとも、受講当時、ここまで明確に言語化できていたわけではない。あとから経験が生きたり、人とつながったり、頭が整理されてきて、くっきりと形どってきたものだ。

 

◆それまでの「服装」

それまで、自分にとって「服装」は、「なるべく効率よく、差異化を図る道具」だった。お洒落をすると着ていて気分がいい、アガる、ということは無論あるけれども、「周囲にどう見られるか」を重視していた。

背景として、服装にかぎらず、主な注力する分野に共通して、

(1) 相対的な位置で、差異をつくる(比較優位性)
(2) 費用対効果の大きなものに資源を集中投下する

という基本方針で行動していた(している)。

(1)は、セミナーに参加するとき、場の期待値よりもすこしだけ服装や振る舞いに気をつけること。無名の一般人のくせに、SNS記事を書き続けている、といったこと。
(2)は、「服はブランド品よりも新品」「一点投資で贅沢するならネクタイ」といったこと。魚釣りなら「釣れるルアー」だけに予算を使い、あとは「釣り方の工夫」で結果を出すこと。

一つひとつでは圧倒的に人より優れていたりしないかわりに、いくつかの独立な軸で実行することで、「掛け算すると、まあまあ希少価値のある人」を目指してきた。

◆ひとまず、現時点の理解

2004年~「人生においては、誰もが『自分』という商品を売る営業パーソン」(朝倉千恵子さん)
2012年~「一挙手一投足に意図を持つ」「今なにげなく放った一言は、誰かが言いたくても言えなかった一言」(矢野香さん)
2015年~「人生の質を決めるのは人・本・旅」「物事を考えるときは、タテ・ヨコ・算数」(出口治明さん)※「歴史の本」は子どもの頃から読み親しんでいる
 

「営業力」「話し方」「歴史」に比べると、「服装」は学んだ時期が短く、新しい。 
政近さんのいう、「基本」=体系だった正統派の知識、「崩す」=応用・オリジナリティを出す、「箱から出る」「装うことは生きること」といったことが消化できない。
「マインドが服を着る」と言われてもよくわからないのは、当たり前といえば当たり前のことだ。

前述のとおり、あくまで「自分を周囲と差異化できるか」に主眼を置いてきたから、
場の価値を上げる(場に貢献する)
場への配慮をする(溶け込む)
という発想自体がなかった。

しかし、少なくとも、現時点の理解として、 

(1) 知らないあいだは、気にならない。けれども、一度その視点を手に入れると、気になって仕方なくなる。一段階進むと、二度と後戻りしない(できない)もの。 

(2) 準備、努力を10したからといって、かならず10報われるものではないが、「いざ」というときが来てからでは間に合わない。チャンスを逃さないために、毎回備えておくもの。 

という受け止めをしている。

そして、"政近塾"のもうひとつの特徴、
「エネルギー(テンション)の高い、ホット・ウェットな場」
「ほぼ初めましての人たちに囲まれる場。リピータどうしはつながりのあるコミュニティ」
は、苦手でもあり、ストレスを感じる場でもある。

教わる内容以外にも負荷がかかること、居心地の悪さ・違和感があることは、重要な構成材料だ。 
 vol.002「距離が遠く、居心地の悪いほうがいい話。

 
"政近塾"の教えようとしていることは、服装以外の、ほかの分野におけるプロトコルと、けっきょく共通する部分がある。
「根幹=横串が共通していて、分野=縦方向は異なる。交わらずに距離がある」ということは、投資する価値が高いということだ。
歴が浅いぶんは、これから伸ばしていけばいい。違うな、と思ったらまた考えればいい。

「学び」とは突き詰めると、「人生の時間を何に使って、何は捨てるか」に集約される、と考えている。


・・・というわけで、今夜21時~のセミナーを受講します。

「バースデーにセミナーをやる、という試みは実は「初」です」とあるように、BD「記念」ではなく本当の当日だそうです。
開催と、お誕生日と、あわせておめでとうございます。

 

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