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読書感想【競争の作法】

本書の著者は有斐閣から出版されている『マクロ経済学 新版(New Liberal Arts Selection)』の著者のひとりだ。

ツイッターでフォローしている方が経済学の基本書の読み物として本書を紹介していたので興味を持った。思ったよりも古めの本である。


勉強になったところは第2章の『買いたたかれる日本、たたき売りする日本』だ。特に『「目に見える円安」と「目に見えない円安」』からは印象に残っている。

理由は実質実効為替レートの理解を深めることができたからだ。

今まで実質実効為替レートの存在は知っており 名目の円ドルレート(いつもニュースで報じられている為替)だけを見るのは不適切である,という認識はあった。ただし詳しくは理解しておらず そういうものとして覚えておこうという感じだった。

なんとなく分かっていたというモヤモヤした感じが本書を読んだあとになくなった気はする。


本書の中で円安による輸出で稼いでも海外から高く輸入すると豊かさが海外に逃げることを指摘していた(交易損失が膨らむ)。

この部分を読んだとき 今の日本の円安と重なって見えた。

約15年前に円安でも豊かになるとは限らないことを指摘されていたにもかかわらず 円安・物価高を目指すアベノミクスが行われていたのは驚きであり 悲しい気持ちがした。

円安によって見せかけの実力を高めても意味はないのだろう。試験の内容を簡単にして高い点数をとることと同じなのだ。真正面から競争と向き合おう。



以上。


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