読書感想【大東亜戦争肯定論】
タイトルからするとトンデモ本に見えるものの,学べることもそれなりにあったため,面白かった.変な右派の本を読むより,この本を読んだほうが良いと思う.
本書の興味深い点は,著者が「大東亜戦争は百年戦争の終曲であった」と考えているところだ.
普通ならば,明治維新や日清戦争といった出来事を,一つ一つ分けて覚えていることが多いように思う.戦争がずっと続いていたと考える人は,あまりいないだろう.
外国艦船の出没が増加した弘化の時代(明治維新の前!)から,大東亜戦争(アジア太平洋戦争)が終結した年までの百年間の出来事を,アジアへ進出する欧米列強に対抗するために戦われたもの と捉える著者の考えは,なかなか新鮮である.
右派の本によくある,ルーズベルトは真珠湾攻撃を知っていたとか,パール判事の日本無罪論も本書に書かれている.本書が出版された1960年代から,このようなことが議論されていたのは驚いた.この話題は,かなり賞味期限が長いようだ.
第二次世界大戦は,「ファシズムと民主主義の戦争」というスローガンをもとに,それぞれ自国の利益を守ったにすぎない点,戦争を「聖戦」と「侵略」に区別しうる者は勝ち誇ったときの勝利者のみである点,また,進歩的文化人の加害妄想という項目で述べている点は,その通りであり,鋭い指摘である.
総合的に見ると本書は良書だと思うものの,電子書籍版がなく,本のタイトルも手にとりにくいものなので,少し可哀想な本だと感じた.私はネーミングセンスがないので,人のことは言えないですが.
以上.
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