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読書感想【運は遺伝する】

面白い本があったと姉から本が送られてきた。『運は遺伝する』という本だ。

行動遺伝学という単語をどこかで見たことがあると思ったら 前に読んだ『能力はどのように遺伝するのか』で知った学問だった。そして『運は遺伝する』の著者のひとりである安藤寿康氏は『能力はどのように遺伝するのか』の著者であったため懐かしさを感じた理由が分かった。

『能力はどのように遺伝するのか』は面白かったので 橘氏との対談本である本書も面白いだろうと思い読んでみた。


行動遺伝学の本を読むと遺伝の影響は無視できないことを思い知らされる。しかしそれは『能力はどのように遺伝するのか』を読んだときも同じ感覚だったため詳しくは書かない。

それよりも印象に残った点は遺伝の影響にできないせいで苦しい思いをした人がいたことだ。

遺伝と環境が影響するなかで遺伝の影響を無視すれば環境が悪かったとなるのは当然である。本来ならば遺伝の影響が強く出る症状でも「育て方が悪かった」等の環境のせいにされる。環境がすべてと決めつけると遺伝を理由に出来ず苦しむ人が出てくる。そういう視点は私になかった。盲点だった。


遺伝の影響は無視できないけれども 結局は確率的なもので遺伝ガチャが発生する(優秀な親から優秀な子供が生まれやすいものの 必ず生まれるわけではない)。我々は多様な可能性のひとつにすぎない。

遺伝的に劣っているからといってネガティブになるのではなく 自分が持つ可能性の偶然を認識し どうやって困難を乗り越えていくのか。大規模な分業制で成り立つ世界における自分の役割は何なのか。正解のない道を歩んで行かなければならない。

その点を考えると自分だけの答えを見つけ出す美術や哲学の重要性はこれからも高いと思う。


ポリジェニックスコアが人生を予測するようになったら これまで以上に情報管理に気をつけなければならなくなるだろう。

どの人がどういう適性を持っているのか。学校や会社,研究機関等から人材をスカウトするときに活用できる。これは良いようにも悪いようにも使える気がする。




以上。

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