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芸術史講義(西洋)2レポート2023年度

「バロック美術からロココ美術にかけての絵画表現の変化について」
[第10章:10-1ペーテル・パウル・ルーベンス《レウキッポスの娘たちの略奪》
第11章:11-6ジャン・オノレ・フラゴナール《ブランコ》]

今回、私は17世紀のバロック美術から18世紀のロココ美術にかけての絵画表現の変化を、ルーベンスの「レウキッポスの娘たちの略奪」と、フラゴナールの「ブランコ」の2作品を用いて、それぞれの時代背景も踏まえながらその変化のもつ美術史的な意味や重要性について考察する。はじめにバロック美術について、バロックとはポルトガル語で「ゆがんだ真珠」を意味し、ルネサンス美術と比較して派手で不自然とされた芸術性を示唆している。17世紀のヨーロッパは宗教改革の影響で多くの信者を失ったカトリック教会と存在感を増す絶対専制君主たちがスポンサーとなり、劇的でダイナミックな構成と、写実的かつ斬新な表現のもと数々の宗教画や歴史画の傑作が生み出された時代である。バロック美術を代表する絵画として知られる「レウキッポスの娘たちの略奪」はルーベンスが37歳の時に描いた作品で、ダイナミックな構図のもと色鮮やかに描かれており、豊満な女性の肉体美や人物の激しい動きなど、ルーベンスの作風がよく表れた作品である。2人の女性を連れ去ろうとするカストルとポルックスの勇壮さ、助けを求めようと腕を伸ばして抵抗するヒラエイラとボイぺの優雅さが克明に描かれており、バロック美術の理想とする派手で力強い美の魅力を理解する上で美術史的に重要な作品であると言える。

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