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博物館生涯学習概論レポート2023年度

「博物館における生涯学習活動の現在と未来に向けた挑戦」

①はじめに
1965年にフランスの首都、パリで実施されたユネスコの成人教育推進国際会議で、ラングランが提唱した生涯教育の概念は、現在、学習者を主体に据えた生涯学習として広く認知されている。生涯学習とは、生涯を通じて主体的に学び続けることであり、人生100年時代と言われて久しい現代の日本社会において、生涯学習を通じて、時代の変化に左右されない知識やスキルを意欲的に取り入れる姿勢が広く国民に求められている。1998年9月の生涯学習審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」では、人々の生活習慣の変化、価値観の多様化、高学歴化の進行、余暇時間の増加によって人々が有形無形の幸福や、多様かつ高度な学習機会の充実を求めている旨を指摘している。歴史的に紐解けば、博物館や美術館が地域の教育を支える社会教育機関として果たすべき役割は大きいと言える。生涯学習社会における博物館の役割とは、館種を問わず、地域の持つ特徴や強みを活かしながら、人工と自然、科学と信仰といったように異なる概念どうしを「つなげる場」として、また、多種多様な来館者がともに学び、語り合う「つどいの場」として機能することにあると私は考える。こうした前提のもと、今回のレポートを執筆するにあたり、私の居住地である兵庫県に所在する博物館の中から兵庫県立人と自然の博物館「以降「ひとはく」と表記」と兵庫県立考古博物館を調査対象の博物館に設定し、博物館における生涯学習活動の現状と課題について考察する。また、調査を通して気づいた内容をもとに、今後の博物館のあるべき姿についても検討する。

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