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最高の自分になっていく生き方のコツ ~Dark Horse"の読書感想文~

Dark horseを読んだ。資本主義で勝つための標準化した優秀な人になるのが正とされている現代を批判し、個人の充足感を満たして最高の自分になっていく生き方のコツと成功事例を紹介する本。

効率性の名の下に、組織は人の持っていた多様な情熱と完全に潰し、特徴のない単一の「一般的なモチベーション」に変えてしまった。モチベーションが高いか低いかというだけの、幸せな尺度だ。一般的なモチベーションには、多くの異名がついている。自制心、決意、不屈の精神、熱意、そしてグリットだ。しかし細かく分析すると、こうした全ての呼び名がただ「あなたの個性は重要ではない」ということを縮めた表現に過ぎないことがわかってくる。

個人的には少し極論だと思う(多くの異名が必ずしも一般的な尺度に囚われている使われ方をしないので)が、現在正しいとされている要素に対して、標準化された指標に過ぎないというポジションを取るのは面白い。

ほとんどの人にとって意欲の低さは幼稚園時代に最高になり、それ以降着実に減少する。

2016年にギャラップが実施した調査によると、学校での学習に意欲を感じないのは、小学5年生の場合は26%だけであるのに対し、中学2年生ではその割合が55%。高校3年生では66%に増える。

これはファクトなので考慮すべきだ。個々人の意思とは関係なくレールに乗せられることに学習意欲はどんどん下がっていく。

ダークホースたちは「競争心」や「創造性の希求」のような普遍的で漠然とした動機とは対照的に、きめ細かく特定された、自分自身の(いわば偏った)好みや興味に突き動かされていたことを明らかにしている。

独特で細分化された「好きなこと」「小さなモチベーション」が多ければ多いほど、あなたは思う存分、自分の人生を切り開いていける。

ダークホースは標準化された人たちとは違って、内発的で解像度の高い動機で動いている。ここが分かれ道なのだ。この本では内発的動機を見つけることを簡単に言っているが、一般的にはここが難しいと思う。(ただ、そこには言及していない。)

ダークホースたちが活躍するどの分野においても、彼らの技能獲得へのアプローチには重大な違いがあり、その個別の成功を辿っていくと、その人物の個性に行き着くことがわかる。

実際にダークホースを分析すると、それぞれの人が自分の個性に合わせて目標のアプローチを変えていることがわかったという。これはこの本の面白いところ。ダークホースになり得た人は、自分の個性を認識し、そこに合わせた戦略を立てているという。

成功したいなら、あなたは目的意識を作り出さなければならない。目的意識を作り出すには、あなたの小さなモチベーションと自ら選ぶ機会とのフィットを最大化しなければならない。

ここに到達できれば、ダークホースになる入り口に立てる。ここまで立てれば、次は取り組む姿勢。

成功という山を踏破するには、自ら作り出した情熱から生まれるエネルギーと自ら生み出した目的意識から生まれる方向性とが必要であり、沸き起こる充足感に満たされるには、自ら設定した目標を達成して得られる誇りと自尊心と充足感が必要。

自らが選択をし、充足感にフォーカスすること。これが最高の自分になれる方法だという。しかし、現在の世の中はそうなっていない。

才能に定員制があること自体が、能力のある多くの人々を確実に底辺に押し込めている。

大学の入学できる人数が決まっていて、エリートになれる人は一握りである。これは標準化された教育における優劣の判断をしていて、能力主義ではなくて定員主義だと著者は言っている。結局はごく少数の勝者と大多数の敗者を生むのだ。

「平等なアクセス」としての「機会均等」によって、機会そのものが増加することはない。

「平等なアクセス」としての「機会均等」は、定員主義において我々が望むことができた最高のものである。しかし、これが不可欠で道義的であるという事実を持ってしても、標準化された問題に対する、標準化された解決策に過ぎないという現実は消え去らない。

現在はセクシャルマイノリティや人種の平等などが叫ばれるが、結局は資本主義に最適な標準化ゲームへの参加券だけが平等になっただけで、勝者の数は固定されているのだ。

人がhappinessを獲得するのは、その人の状況が自分の性格や才能や能力に会う時だった。

というように、成功とは資本主義に最適な標準化ゲームに勝つことではなく、個人の充足感を満たして最高の自分になることだろう。

こういう話が今出てきてるということは、個人が今この瞬間にどういう人生を選択するか一つの分岐点なのであろう。




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