白地の着物が似合う人が好き

昨年のトップニュースは断然、「七之助、揚巻役者になる」であった。
その折には持てる最大限の手段を用いて、花道横の席を確保した。花道を見上げた時、多分自分は鰯みたいな顔をしていた。

助六は面白い。ものすごくかっこよくて美しくて贅沢なのに内容はほぼコントだ。揚巻の、限界まで盛りに盛った出で立ちも、助六の「俺はモテる」と言うために花道を行きつ戻りつする登場も、出落ちと言えば出落ちだ。しかし出落ちにならないぐらい最後まで盛り続けた上に急転回をして呆気に取られているうちに終わる。夢だ。

七之助の揚巻は、衣装負けしない存在感があったのでよかった。
いつか勘九郎の助六で、という日も来るんではないかと想いを馳せ、とりあえずドキュメントを見て秒で泣く。

しかし歌舞伎の衣装は、思いもよらない配色や柄で、でもそれが下品じゃなくて綺麗なのがすごい。花街の人とかではない、世話物の一般市民なんかでも赤の格子柄とか、はっきりした色の衣装を身につけていたりする。衣装だから舞台映えするものにはしてるだろうけど、例えば寺社仏閣とかが昔とても彩り鮮やかだったみたいに、江戸時代の町人は印象が色あせているだけで、実は意外に派手な格好をしていたんではなかろうかとも思える。

着物の事実はわからないけど、舞台衣装がちゃちだったり色が地味で汚かったりすると、なんかがっかりしてしまう。

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