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好きな短歌 (穂村弘『ラインマーカーズ』)

穂村弘『ラインマーカーズ』に収録されている歌のなかで気に入ったものを書きます。


「鮫はオルガンの音が好きなの知っていた?」五時間泣いた後におまえは

「眠ってた? ゴメンネあのさ手で林檎搾るプロレスラー誰だっけ?」

惑星別重力一覧眺めつつ「このごろあなたのゆめばかりみる」

夕闇に溶けゆく ネーブル・オレンジと蝿をみていたあのまなざしは

星たちがうたいはじめる 水圧でお風呂の栓がぬけない夜に

獣園の檻を握ってきた指が泡立てている真夜中の髪


もともと私は短歌なんか読む人ではなく、社会の知識をつけるための本ばかり読んでいた。穂村弘は教科書で知っているくらいか、あとは最果タヒの帯を描いてたような気がしなくもないくらい。私の本棚に“こういう系”は最果タヒと寺山修司くらい。詩、としてならギルガメシュ叙事詩もあるけれど。

現代文の教科書の最後のページあたりに穂村弘の文章があって、もう捨てたから詳しくは書けないけどそこで少し短歌に興味は持っていた。堅苦しさがなくて自由度が高いなという印象だった。


短歌って読んでいると不思議になる。不思議なのは私が短歌のことを詳しくないからなんだろうけど、でもそれは悪い意味ではなく、不思議な気持ちよさがある。ただの言葉なのに。ただの言葉で、私が普段使っているのと同じ日本語なのに。
たぶん、57577に読ませる魔力というのがあり、リズムよくストンと体に入ってくるんだろう。

短歌の読み方というのもきっとあるし、正しい解釈というのもある程度あるのだろうけど、そんなもの調べずに読んでいた。その方がきっと気持ちいいだろうなっていう適当な理由。

現実的な歌が好きなのだと思う。あと夜の静かな時間を描いた歌も好きかもしれない。
上3つは単純に、結婚したいな〜と思わされる歌で、下3つは視点が映像みたいに動いて気持ちいいなと思った歌。

以上


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