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#1 ポゼッションvsカウンター論争に終止符を打つ

サッカーで勝つには圧倒的ポゼッションが必要
現代サッカーではカウンター主体じゃないと勝てない

みたいな論争は今でも根強くあると思います。
特に今(2024.8.8時点)のJリーグでは町田ゼルビアが首位に立っていることで再燃している気がします。

そこでこの記事は
科学的に見たらその辺どうなの?
という観点で書いてみました。

ポゼッション派の方も、カウンター派の方もぜひ読んでみてください。


ポゼッションとカウンターの定義ってどうなってるの?

定義に関して、論文上では大きく分けて二つのパターンがあります。

  • シュートに至るまでのパス本数(少ない:カウンター、多い:ポゼッション)

  • 攻撃時の守備側組織の状態(整ってない:カウンター、整ってる:ポゼッション)

他の定義もあるのですが、この記事ではこの2つの定義を頭に入れておいてもらえれば十分です。

サッカー界に大きなインパクトを与えた論文

シュートに至るまでのパス本数に関しては、ゲーム分析の論文で最も有名と言っても過言ではない論文があります。

それは
『Skill and Chance in Association Football』
Reep, C., & Benjamin, B. (1968). Skill and chance in association football. Journal of the Royal Statistical Society. Series A (General), 131(4), 581-585.
です。

これはリープ氏が1953年から1967年の間にコツコツ集めたデータを分析し、サッカーには一定のパターンがあることを示した論文でした。
その結論は

サッカーは少ないパス本数、相手のゴール近くでのボール奪取が勝つために最も効率的だ!

というものでした。

根拠となったデータは

  • 5本以上パスが繋がったのは全体の8.5%と少ない

  • PA内でのボール奪取時は30%がシュートに至っていた

  • ボール奪取からの得点の50%はPA内で生起していた

です。

この論文はイングランドのフットボールをキックアンドラッシュに導きました。
現場に直接的に影響を与えたという意味でも大きなインパクトを残した論文だったといえます。

論文のデータを元に書かれた本

少ないパス本数、ゴール近くでのボール奪取という得点傾向は、現代サッカーでも大きく変わっていません。

じゃあカウンター最強説立証?

もちろん、一概にそうとはいえないのです。

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