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クラシック音楽とオカルト

オカルト、世界を席巻す


 20世紀初頭、世界は結構なオカルトブームであり、スピリチュアルブームが続いていた。詳細は省くが、19世紀に交霊会や心霊現象のショー化などが各地でブームになり、シャーロック・ホームズを生んだ推理作家コナン・ドイルも、「妖精はいる」と宣言したりした。日本でも机がひとりでに動くというテーブルターニングが輸入された。そして、机が「こっくり、こっくり」と動くさまを「狐狗狸」という文字をあてて表現した。「こっくりさん」である。
 ヨーロッパではブラヴァツキー夫人が「神智学」という名前でオカルト的な物事をまとめ、「黙示録の獣」ことアレイスター・クロウリーというイギリス人の「魔術師」が様々な活動を行った。ドイツのミュンヘンでは「トゥーレ協会」なるオカルトと国粋主義を組み合わせたような秘密結社が結成、後のナチスの母体のひとつとなった。
 これらの物事は、様々な創作物の中で何度も取り上げられたことだろうが、今回書くのはクラシック音楽についてである。


オカルトに熱中した3人の音楽家


 アレクサンドル・スクリャービンは1872年ロシア生まれ。ピアニストとして有名だが作曲も行い、多くの曲を残した。
 1900年頃からブラヴァツキー夫人の著作を読み、神智学に傾倒。「法悦の詩」「プロメテ 火の詩」などいかにもなタイトルの曲も残す。

 グスターヴ・ホルストは1874年イギリス生まれ。ホルストといえば組曲「惑星」、「惑星」といえばホルスト、この名声は揺るぎない。以前、平原綾香が組曲「惑星」の中から名曲「木星」を「Jupiter」という名前で歌詞を付けてヒットさせたから、メロディーを知っている人も多いだろう。

 ところで、ホルストが天文マニアだったかというとそうでもないらしい。この「惑星」という組曲はホルストの占星術の知識から作曲されたものであるという。他にもホルストはインドをテーマにした作品を多く書き、リグ・ヴェーダ(古代インドの聖典の一つ)をもテーマにしていた。そう、彼もオカルト好きだったのだ。

 3人目、シリル・スコットは1879年イギリス生まれ。3人の中では一番マイナーな作曲家だと思う。数多くの作品を残したが、その中でもピアノ曲「蓮の国」(Lotus land)が印象的だ。その静謐さがなんともいえず、クライスラーによるヴァイオリンのカバーも素晴らしい。
 またスコットは「現代オカルト概説」など多くの本を執筆したオカルティストでもあった。

とりあえず有名な作曲家だけでも、と思ったが調べると出るわ出るわ、猫も杓子も、とはこのことか。とにかくこの時代、世界は異様な雰囲気に包まれていらしい。

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