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ポートフォリオ用ゲームシナリオ2-#2

前編はこちら。

後編でこのお話はいったん閉じます!

◆後編

// 背景:楽屋
// 画面効果:セピア
// 立ち絵:リリカ・なずな

リリカ
じゃあ私たちなりの良いところが
見つけられればいいの?

なずな
そうね、簡単じゃないけれど……

リリカ
わかった!!私、探してくる!!

// 立ち絵:リリカフェードアウト
// SE:走り去る音

なずな
え?ちょっと、リリカちゃん!?

// 画面効果:セピアここまで

// 事務所バックヤード
// 背景:事務所
// 立ち絵:リリカ

リリカ
とは言ったけど、何があるんだろう……

リリカ
客席登場ー、とか?
はたまた大きくなってみちゃったりとか?

リリカ
うーん、大きくなっても意味ないし
客席登場とかわりとあるし……

// 立ち絵:もえ・リョウ

もえ
え~ん!もうやりたくないよぉ~!!

リョウ
黙ってやれよ、もえ

もえ
だってぇ~!!

// 立ち絵:リリカ

リリカ
あれは……
もえちゃんとリョウちゃん?

// 立ち絵:リリカ・もえ・リョウ

リリカ
何やってるのー?

もえ
あ~!リリカちゃん聞いてぇ~!
直筆サインTシャツ、こんなに書かなきゃなのぉ~!

リリカ
直筆サインTシャツ?

リョウ
そう、1枚1枚ボクたちでサインするんだ

もえ
もう少しでマネージャーが取りにくるよぉ~……
なのに終わんなぁ~い……

リリカ
わー、大変だねぇ……

リョウ
ほんとだよ、まったく……
こんなの印刷しちゃえばいいのにさ

もえ
印刷しちゃったら意味ないじゃ~ん!
直筆だからみんな欲しがるのにぃ

リョウ
分かってるならお前は手を動かせ
ボクの半分も進んでないぞ

もえ
やだ~!めんどくさい~!
体がもたないよぉ~!

リョウ
最初から体なんかないだろ

もえ
でも分身したい~!
そしたら分身に全部やらせるのにぃ~!

リリカ
分身……?

リョウ
どうせ分身したもえだってやらねぇよ
めんどくさい~!とか言ってさ

もえ
もえの分身はいい子だからやりますぅ~!

リリカ
それだ!!!!!

もえ・リョウ
えっ!?なに!?

リリカ
ありがとう2人とも!!!
サイン頑張ってね!!!

// 立ち絵:リリカフェードアウト
// SE:走り去る音

もえ
リリちゃん、どうしたんだろ……

リョウ
さぁ……

// 暗転
// レッスンルーム
// 背景:レッスンルーム
// 立ち絵:リリカ

リリカ
杏子!なずなさん!

// 立ち絵:リリカ・杏子

杏子
あ、リリカ!何してたの?
レッスンサボってどこに……

リリカ
そんなことより!

杏子
そんなことじゃないでしょ!

// 立ち絵:杏子・なずな

なずな
まぁまぁ、杏子ちゃん落ち着いて

なずな
それで?どうしたの?リリカちゃん

// 立ち絵:リリカ・杏子・なずな

リリカ
私、見つけたの!
私たちにしかできないアイドルを!

なずな
あら、さすがリリカちゃんね
どんなアイデアなのかしら?

杏子
どうせまたよく分からないイベントじゃ……

リリカ
違うもん!
あのね、実は……

リリカ
ごにょごにょごにょ……

// 暗転
// 立ち絵:リリカ・杏子・なずな

杏子
いやそれは!さすがに無理でしょ!

なずな
そうねぇ、ちょっと規模が大きすぎるんじゃ……

リリカ
でも!私たちがファンのみんなと交流できるのは
もうこの方法しかないと思う!

リリカ
もちろんスタッフさんにお願いしないといけないし、
2人の協力も必要なんだ

リリカ
お願い!力を貸して!!

杏子
そんなこと言ったって……

なずな
……うん、わたし協力するわ

杏子
なずな!

なずな
リリカちゃんがせっかく頑張って探してくれたのよ
力になりたくないわけないわ

なずな
それに、杏子ちゃんだって
ずっと新しい企画考えてきてたじゃない

なずな
ファンのみんなを喜ばせたいんでしょう?

杏子
うぅー……わかったよ!

リリカ
杏子!ありがとう!!

杏子
でもね!確実に言えるのはスタッフさんだけじゃなく
私たちの負担も大きいんだよ!?

杏子
今までのスケジュールでステージに立ったら
余裕あるパフォーマンスも見せられないかもしれない

杏子
それでも笑ってステージに立たないといけない
それでもやるの?

リリカ
うん、もちろん!!

なずな
まずは、1回だけ試しにやってみましょう?
その後のことはまた考えればいいから

なずな
あまりにも負担が大きくて継続は難しいと感じたら
わたしはリリカちゃんを止めるわ

なずな
それでもいいわね?

リリカ
うん!!!

杏子
それじゃあ、行こうか、一緒にお願いしに

リリカ
でも誰にお願いすればいいのかな……

なずな
こういうのはね、一番トップを崩せばいいのよ

なずな
下の人に頼んだってどうせ無理って言われておしまい
でも、上が出来るって言えばみんなやるでしょう?

杏子
こわ……なずな、敵に回したくないわ……

なずな
ふふ、誉め言葉として受け取っておくわ

リリカ

// 社長室
// 背景:社長室
// 立ち絵:リリカ・杏子・なずな

リリカ
トップって!社長!?

なずな
そうよ~

杏子
社長室にも私らが転送できる装置あるんだね

なずな
昔は社長直々に面談してくれたりしたのよ
その時の名残かしら

// SE:近づいてくる足音

社長
おや、なずなじゃないか
久しぶりだね

なずな
社長~、ご無沙汰してます~

社長
おぉ、リリカと杏子もいるじゃないか
売れっ子さんたちが集まって、どうしたんだい?

なずな
実は社長に直々にお願いがあってきたんです
今度のイベントの企画を承認していただきたくて

社長
企画を考えてきてくれたのかい
どれ、話を聞かせてくれ

なずな
ほら、リリカちゃん

リリカ
え!私!?

なずな
あなたが考えた企画でしょう?
熱意もそのほうが伝わるじゃない

リリカ
そ、そうかもしれないけど……

なずな
ほら、大丈夫、自信もって!

リリカ
……うん

リリカ
実は、次のイベントとして
おしゃべり会をやりたいと思ってます

社長
ほう、おしゃべり会か
どんな流れでやるんだい?

リリカ
ファン1人あたり30分、1対1でお話しします
場所は個室を用意して、ゆっくりできるように……

社長
特別感があっていいねぇ
好きなアイドルと2人きりの時間か

社長
でもね、それだと本当にファンの一部の人しか
話が出来ないことになるよ

社長
もう少し大人数が入れるイベントじゃないと……

リリカ
いえ!300人くらいを考えてます!

社長
300人!?1人あたり100人対応しても
50時間はかかる計算になる!

社長
まずは1日で収まる企画にしてくれ

リリカ
3人でやると、50時間かもしれないです……
でも、私たちはバーチャルアイドルですよね?

社長
そうだが……

リリカ
なので、3人じゃなくて30人でやりたいんです!

社長
何を言っているんだ……

杏子
リリカ、言葉足らずだよ……

なずな
いつものことね
私が説明補足するわ

リリカ
あはは、ごめんごめん

なずな
簡単に言うと、私たちを分身させて欲しいんです
1人あたり10人、合計で30人に

社長
分身?

なずな
私たちのデータを複製して同時進行するんです
そうすればこのイベントも5時間ですね

なずな
終わった後に分身のデータを統合して
記憶を保持して、次のおしゃべり会もスムーズに……

リリカ
なんだか難しいこと話してる……

杏子
あんたが考えてない安直な部分を補ってんのよ

社長
なるほど、いい考えだ
バーチャルの君たちにしかできない企画だろう

リリカ
やった!それなら!

社長
ただし、それは机上の空論だ

リリカ
えっ……

杏子・なずな
……

社長
いいかい?大規模なイベントを行うのは
単純な計算だけではできないんだよ

社長
君たちを分身させるには、まず人手がいるね
現状のスタッフでは到底足りない、人件費がかかる

社長
さらに分身を同時に進行できるほどの膨大なメモリと
サーバーが必要になるんだ

社長
それを用意するには大きなリスクを伴うよね

リリカ
難しくてよく分からない……

杏子
要するに、すごくお金がかかるってことだよ

社長
その通りだよ、杏子

社長
もちろん、企画は非常に良いところに目を付けてる
君たちでしかできないことは必要だね

社長
でも、それを支えるための
ヒト・モノ・カネもとても重要だ

社長
君たちは、会社のリスクを背負ってくれるかい?

リリカ
…………

リリカ
……それはっ…………

杏子
なに弱気になってるの、リリカ

リリカ
えっ……

なずな
そうよ、リリカちゃん
社長に反論されるなんて分かり切ったことだったわ

杏子
私たちは社長が言ってることには気づいてたけど
それでもあんたの意見を通しにきたんだよ

杏子
なんでか分かる?

リリカ
なんだろう……

杏子
……リリカの真っ直ぐな気持ちと、このイベントで
もっと違ったアイドル人生送れると思ったからだよ

なずな
杏子ちゃんも、わたしも、ファンとの間にある
次元の壁を超える何かを掴みたいの

なずな
あなたと一緒なら、飛び越えていけると思ったのよ
だから、諦めないで

リリカ
……うん!

リリカ
社長!!!

社長
なんだい

リリカ
リスクとか、責任とか、難しいことは分からないけど
それでも私はこのイベントがやりたいです!!

社長
……

リリカ
私たちには実体がないから、
握手会だって、ライブ中のハイタッチだってできない

リリカ
ずっと悲しかったんです……

リリカ
ライブ中、同じ空間にいるのに、熱意も気持ちも
なぜだか会場のみんなと遠くて……

リリカ
私たちにも感情があるし、
ファンのみんなのことが大好きなのに……

リリカ
だからこそ!ファンの1人1人と向き合って
言葉にして伝えなくちゃって思ったんです!!!

リリカ
お願いです!どうかやらせてください!!!

社長
……

杏子
私からも、お願いします!

なずな
どうか、お願いします

社長
……リリカ

リリカ
はい……

社長
よく言った、負けたよ
このイベントやろうじゃないか

リリカ
え!?本当ですか!?

社長
あぁ、すぐに手配しよう
少し準備期間はもらうがね

リリカ
やったぁぁぁあああああ!!!!!

杏子
やった……!やった!!

なずな
よかった……
ありがとうございます、社長

リリカ
ありがとうございます!!!

社長
ただし、君たちにも相当な負荷がかかるからね
それは覚悟して取り組んでくれよ

リリカ・杏子・なずな
はい!!

// イベント当日
// 背景:暗い個室
// 立ち絵:リリカ

リリカ
こんにちは!どうぞ、座ってください!

ファン
わ!本物だ!

リリカ
あはは!本物だよ!

ファン
う、嬉しい……
体……?どうなってるのこれ……

リリカ
ライブの時に使うホログラムと一緒!
今日はあなたのために使ってるよ

リリカ
ね、いつもアリーナで大きな声で
コールしてくれてる人だよね?

リリカ
いつもライブ見に来てくれてるの覚えてるよ!
今日も来てくれてありがとね!

ファン
お、覚えててくれたの……?

リリカ
もちろんだよ!

ファン
う、うぅ……

リリカ
え!!どうしたの!?
何で泣いてるの!?

ファン
ごめん、嬉しくて……
まさか覚えてくれてるなんて……

ファン
それに、いつもステージか画面越しで、
初めてリリカが存在するんだって実感したら涙が……

リリカ
やだ、そんなこと言われたら私も泣いちゃうよ……

リリカ
ずっと、私がここにいるって感じてほしかった
私に気付いてくれてありがとう

ファン
そんな、こっちこそ、僕のために時間取ってくれて
すっごく嬉しいし、ありがとうだよ……

リリカ
あのね、私はバーチャルアイドルで、
握手とかハイタッチとかはできないんだけど

リリカ
それでも、ちゃんとあなたのことも見てるし
ファンのみんなが大好きなんだよ

リリカ
それだけは、絶対忘れないでね

ファン
そんなの!当たり前だよ!

リリカ
よかった!約束だよ!
指切りしよ!触れないけど!

ファン
ふふっ、じゃあエアー指切りで!

リリカ
あははは!じゃあいくよ?
指切りげんまん、うそついたら――



ここで終わりです!
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