Travis 幼稚園 Japanで人間力の基礎を学ぶ

ジャニーズJr.の7人組グループ、Travis Japan(以下トラジャ)は自他ともに認めるとても仲のいいグループだ。

アイドルグループと不仲説というのは切っても切れないものだが、トラジャはそれさえも開けっ広げにしている。「前は仲が悪かった」というのは、トラジャにハマって割と早い段階で知る事実である。

今となっては仕事が終わってからも7人で人狼ゲームをするほど仲のいいトラジャは、そのわちゃわちゃ感からしばし”Travis 幼稚園 Japan”と形容される。

例えばこの動画。これは「のえママの育児放棄」とか「のえる先生の職務放棄」とか言われるほどカオスだった。

頭脳明晰で真面目な かわしま のえる先生のもとで、

年長さんの しめかけ りゅうやくん、よしざわ しずやくん

年中さんの みやちか かいとくん、なかむら かいとくん、まつくら かいとくん

年少さんのまつだ げんたくん

という6人の子どもたちが毎日楽しく遊んでいるのが、Travis 幼稚園 Japanの日常である。

けれども、「そんなわちゃわちゃ可愛いトラジャ」を堪能しつづけていると、この〈幼稚園〉という定義を全く別の視点から見ることができる、と気づく。

それは〈幼稚園〉というものの本来の目的、「幼児教育」という視点である。


そもそも幼稚園とは

ここで少し脱線するけれど、幼稚園とは何ぞやというところを説明したい(適宜飛ばしてください)。

ここにあるように幼稚園とはそもそも「教育」をするところで、保育園とはここが異なる。保育園の管轄は厚生労働省、「働く保護者」に代わって子どもを保育する役割を担う児童福祉施設である。

「子どもたちが遊んでいるかのように可愛い」ということを表現したいだけなら"Travis 保育園 Japan"でもいいのに、それでも〈幼稚園〉の方がしっくりきてしまうのは、単に語呂がいいだけではなく、私は「Travis 幼稚園 Japanとは、彼らを見ることで人間力の基礎を教育される場所である」という風に捉えた。

その理由を、幼稚園の指導計画っぽい形になぞらえて述べていきたいと思う。

【お断り】仕事で幼稚園、保育園に携わることがあるものの、幼稚園教諭、保育士と資格を持っているわけではないので大目に見てください。


友だちや身近な人を大切にする

これはもう説明するまでもない。
トラジャは仲が良い。とにかくめっちゃくちゃ仲が良い。それはYoutubeをはじめ、どんな媒体でも感じることができるので、友人に布教するとき「どれがいい?」とか聞かれても、もはや何もおすすめはできない。とりあえず木曜リスト送りつけて「気になるのから見て」としか言いようがないのが正直なところ。

仕事仲間や友達、周りの人と仲良くし、大切にするのは人間として一番大切な部分であり、一番難しい部分でもある。子どもたちには「みんなと仲良くしようね」と言っておきながら実は大人の方が出来ていないというのは、自分が大人になって知った。

「どこまでが本当の友達なんだろう」「家族と合わない」「仕事仲間が好きになれない」「ママ友グループが苦手」等。いくつになっても生きていればそんな悩みはざらにあるだろう。

トラジャも例外ではなく「あいつが嫌いだった」「グループ内めちゃくちゃ雰囲気悪かった」という時期があり、それを乗り越えてきた。だからこそのチームワーク、びっくりするのほどの仲の良さがある。

松松を筆頭に定番コンビはあるものの、トラジャはどの組み合わせが来ても楽しめるのが醍醐味である。 

また、「いつもありがとう」「大好きだよ」「愛してるよ」「こういうとこ尊敬してるよ」という言葉を、メンバー同士で恥ずかしがらずに伝えることができるのが素晴らしい。
これは、特に日本人の気質には難しいものがある。距離が近くなればなるほど、恥ずかしくて言えなくなってしまうもの。

彼らが素直に伝え合う姿をみて、もっと身近な人を大切に、その気持ちを言葉にして伝えなければいけないなと思った。


(※個人的にはどうしても合わない人とは無理に合わせる必要はないと思っています。わたしはHSP気質を自覚していて、無理して自分が壊れるぐらいなら、そっと離れるのも一つの手だなと気づきました。ただし合わないからといって相手を攻撃する人は論外なので地球上から追放したい。)


食事のマナーを身につけ友達と会話を楽しみながら食べる

食事シーンはどんなに好きな人でも違和感を持ちやすい。「どんなに素敵な人でも汚い食べ方は生理的に受け付けない」というのが正直なところ。

箸の持ち方をはじめ、肘をつかない、お椀に人差し指をひっかけない、かきこまない、口を閉じて噛む、など。
大食いや早食いは言わずもがな、バラエティなどでも食べ方が綺麗ではなくちょっと「え……?」と思ってしまう芸能人もいるし、一般人ともなるとその確率は倍増する。

その点、トラジャは食べ方が綺麗だ。所作もだし、なんでも「美味しい」と言って食べる。これは作った側からしたらとても嬉しいこと。

実は食事において重要な「会話」を楽しんでいる姿もよく見られる。
同じ料理でも「誰と食べるか」によって味わいが変わる経験は誰しもあるだろう。お互いにしんとして黙々と食べるよりも、笑顔で楽しく食べられる方が食事に対するイメージや意識も変わる。

保護者の悩みでも「子どもが行儀よく食べない」「好き嫌いが多い」といった食事に関するものは、なかなか対処が難しい問題である。
食事は生きていく上で一番必要な行為だからこそ、誰もが気持ちよく、楽しみながら行いたいというのが大半の人の願いではないだろうか。

ちなみに、この動画の11:11ごろの松倉海斗くんの発言を聞いてほしい。

「グリンピース嫌いなんで」と言ってしまったあと、すかさず「苦手なんで」と言い直している。
そうだよね、グリンピース好きな人もいるもんね。「嫌い」という言葉をちゃんと訂正したまちゅ、えらいね。


相手を尊重する気持ちで行動できるようになる

トラジャの動画を見ていると、驚くほど否定的な言葉が出てこない。
例えば最近の仙台旅では、金額制限されている中、孫の手を買ってしまったまちゅに対してや、食事を賭けたボウリング対決の場など、どうかすれば「おいお前~~~」となってしまいそうなところでも「ドンマイ!」「いいよいいよ!」と言って、相手を否定しないのだ。

トラジャの動画が安心して見られる理由の一つがここである。多少のいじりはあったとしても、雰囲気が悪くなるようなことはない。

「過度ないじり」は両者の溝を生みやすい。片方が「いじり」だと思っていても、もう片方が傷ついていればそれはもういじりではなくなる。

一時期、あるメンバーへのいじりが強いのではないかと言われていたが、そんな時すかさずフォローに入るメンバーもいた。

人間なので、楽しくなっていきすぎた言葉を発してしまったり、無意識のうちに誰かを傷つけてしまうことは避けられない。
そんなときフォローしたり、時に注意したりできることこそ、本当の「仲良し」といえる。

「めちゃくちゃ仲が悪かった」というトラジャだから、相手を思いやることができるようになったのかもしれない。とにかく相手の気持ちを考えた優しい世界、それがTravis 幼稚園 Japanである。

この動画で、ちゃかちゃんが「ノエルくんは人を卑下する笑いは嫌いなんだよ」と言ったこともすごく印象的だったのを覚えている。


自分の思ったことを相手に伝えられるようになる

トラジャはただ楽しいだけの仲良しではない。必要であれば話し合いもきちんとするし、ときには喧嘩もしている。そしてそういう部分を隠したりしない。

この発言は雑誌などでも見受けられるけれど、個人的に一番それをひしひし感じたのはBSフジの6時間ダンス企画だった。

妥協を一切許さない、完全なるものづくりの現場。ダンスを作る人、全体をまとめる人など、一人ひとりが自分の果たすべき役割をもって真摯に向き合う、熱量の高い現場だと感じられた。

第二回での七五三掛龍也くんと中村海人くんの少しピリついた雰囲気は、まさに職人と職人の対峙。
トラジャの作品づくりに対する思いは、時にこうしたぶつかり合いも必要になる。そしてそれに対する相手へのリスペクトが感じられるのが、実生活でも真似したいところ。

私もものづくりの業界にいるので高確率でぶつかり合いを目にするのだが、自分の意見を通したいために相手の意見を完膚なきまでに潰す、例えいい意見でも嫌いな人の意見だから通さない、「お客さまにいいものを届けたい」という思いではなく「リーダーの好き嫌いに合わせられるか」に重点を置いているなど、えげつない実情の多いこと。

トラジャは、こうした「意見を言いにくい雰囲気」にならないよう努め、誰もが平等に意見するようになってから、よりいいものが作れるようになったという。

「自分の意見を言える」というのは、まず「相手の意見をきちんと聞く」ことが大切。そうでなければ本当の意味で「いい現場」とは言えないのである。


人の話に興味を持って聞けるようになる

これはYoutubeやISLAND TVなど映像媒体で見られることだが、トラジャはとにかく話している人の方を見る。近すぎたりカメラを見ていたりで難しい場合でも、必ず頷いたり返事をしたりと何かしらのリアクションをしている。

「人がお話している時は、その人の方を見ましょう」という、こんなに簡単なことが、大人になればなるほどできていないことが多い。
弊社の朝礼なんか、ほぼ誰も話している人の方を見ない。会社の仲が悪いからかもしれないけれど、それにしたってそれは大人としてどうなの、みたいな態度は許しがたいもの。

挨拶もしかりである。
社員同士はもちろん、清掃員の方や配達員の方に挨拶するとききちんと顔をみているか?   弊社の社員には何とこれが出来ていない人がいる。信じられない。取引先だけにいい顔してんじゃないよ。
ごめんなさい、ただの愚痴です。

校長先生の話を聞いている風で、頭の中では好きな人のこととエロいことと食べることを考えている高校生の方がよっぽど立派だと思う。

先ほどの「自分の意見を言える」にも繋がってくることだが、「相手が自分の話を聞いてくれているか」で話す意欲が変わってくる。もちろん、こちらを見てくれていない人には、これ以上話しても無駄だと諦めざるを得ない。

お互いスマホやテレビを見ながら話している……最近はそんな光景をよく見かける。
きちんと相手の顔を見ながら会話できていますか?  相手はどんな表情をしていますか?   相手のお話を覚えていますか?   できていないならそれは「聴いている」ではなく「聞こえている」。
日々あふれる生活音と同じレベルだ。

「顔を見ながら聞く」そんな簡単なことだけれど、拗らせると大切な関係を壊す喧嘩に発展しかねない重要なことである。


自由な表現活動によって創造性を豊かにする

これこそがトラジャの真骨頂。ダンスといえばトラジャ、トラジャといえばダンス。普段の幼稚園生活では考えられないくらい、お遊戯会のレベルが高すぎる。
(お遊戯会なんて言ったら末代まで消されるかもしれないけれど、テーマ上そこはお許しください)

トラジャのパフォーマンスは群を抜いていると、個人的には思う。最近「+81 DANCE STUDIO」という新プロジェクトによって、トラジャ担以外の方にパフォーマンスを見ていただく機会が増えたが、評判は上々。

https://youtube.com/c/81DANCESTUDIO

自分たちの曲でのカッコよさはもちろん、何より先輩へのリスペクトがきちんと感じられる演出になっているのがトラジャのすごいところ。これは+81でもコンサートでも同じだと思っている。

私の言葉なんかより、まず見ていただいた方が伝わると思って、とにかくいろんな人に布教しまくっている。
保険屋さんの勧誘の方がマシなんじゃないかレベルで「私の好きなジャニーズJr.のグループがね……」と話しはじめるので、周りの人間はたまったもんじゃないだろうと思いながら、最近は数人の友人や母、弟もメンバーの名前を覚えつつある(これはジャニオタ家族あるある)。

自分たちで振り付けをしたり、曲を作ったりというのはジャニーズのグループでもあることだが、一度トラジャのパフォーマンスも見てほしいと思う。
そして良いと思っていただけたら、それを周りに広めてもらえたら幸いである。


当たり前のようで難しいこと

挙げればまだまだキリがないので、一旦ここで終わることにするが、ここに挙げただけでも、自分の周りに果たしてこれがきちんと出来ている人がどれだけいるだろうかと書きながら考えた。

職場の人間関係、学校の人間関係、自治会の人間関係……人が生きていく上で、人と関わらずに生きていくことはほぼ不可能だ。にもかかわらず、人間の一番の悩みは「対人」にある。つまり、それだけ人間がこの基礎的な「人間力」ができていないことの証ではないだろうか。

もちろんトラジャも人間なので、私たちの見えないところではきっと、いいことも悪いこといろいろな想いを抱えながら生きていると思う。

けれども、彼らは「アイドル」として私たちファンに、「人と人がお互い気持ちよく生きるにはどうあるべきか」という基本的な姿勢を表してくれている気がするのだ。
もちろん、時に吐いてしまう弱音や本音も含めて。

"Travis 幼稚園 Japan"とは、そうした「人間力」を「教育」してくれる場であると感じた、秋の日であった。

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