見出し画像

読書会という名のお茶会『炎環』

画像1

★第52回直木賞受賞作・永井路子『炎環(えんかん)』
・「悪禅師」 (『近代説話』  9号)  主人公:阿野全成
・「黒雪賦」 (『近代説話』10号)  主人公:梶原景時
・「いもうと」(『近代説話』11号)  主人公:北条保子
・「覇樹」  (書き下ろし)     主人公:北条義時

★登場人物(北条家)

  北条四郎時政┬三郎宗時
        ├政子(源頼朝室) :尼御台
        ├保子(阿野全成室):阿波局
        ├四郎義時     
        ├高子(足利義兼室)
        ├元子(稲毛重成室)
        ├栄子(畠山重忠室)
        ├五郎時房     
        └六郎正範

1.「悪禅師」


『炎環』の阿野全成も、『鎌倉殿の13人』の阿野全成も、「醍醐の荒法師」「悪禅師」の面影がない。妻と共に静かに周囲の人々の観察をしていたが、自分も周囲の人々から観察されていることに気づかなかったようだ。

(誤)遠州阿野庄(p.51)→(正)駿州阿野庄
※領地の阿野庄は静岡県沼津市。館も墓(大泉寺)も沼津市井出にある。
https://www.city.numazu.shizuoka.jp/shisei/profile/rekishi/genshikara/ano.htm

2.「黒雪賦」


 梶原景時の源頼朝の第一印象は「武家の棟梁というより公家っぽい」であったという。
 その後、梶原景時は、
「俺はごめんだな。今更京まで出かけていって義仲を討ったって、何の得にもならぬ。何が院の仰せだ。院の、おおやけのと、大体御所は京方を大事にしすぎる! 何の、公家のひょろひょろ面、見とうもないわ。坂東でこう気ままにして、誰の指図も受けん方が余程気楽でいい。なあ、御所、そうではないか」(注:御所=鎌倉殿=源頼朝)
と木曽義仲追討軍の派遣に反対した上総広常の粛清や、源義経の粛清を源頼朝に面と向かって提案したという。
 このため、梶原景時は、「讒言者」「阿諛(へつらい)者」と呼ばれて、御家人から嫌われたという。とはいえ、梶原景時は、「公家のようだった源頼朝を武家の棟梁らしい人物にしたのは自分だ」と自負していたようである。「親ガチャ」「上司ガチャ」という。「こんな家に生まれてきたくなかった」「上司が嫌い。人事異動に期待」というが、梶原景時であれば、親や上司に働きかけて、自分の理想とする親や上司に変えてしまいそうだ。

3.「いもうと」


 保子は饒舌であった。
 「口は禍のもと」である。

(誤)四郎義時→(正)小四郎義時
※「四郎」では、北条四郎時政と区別が出来ない。
(誤)遠州の阿野庄(p.206)→(正)駿州の阿野庄
※p.242には「駿河の所領」と正しく書かれている。
・志水冠者:『吾妻鏡』の表記。普通は「清水冠者」で、「清水」は義高の領地名(地名、荘園名)で、義高の名字だという。

4.「覇樹」


「そういうひとなのさ、四郎と言うひとは……目の色を変えて探しても、その場にいたためしはないんだ」

(誤)四郎義時→(正)小四郎義時
※「四郎」では、北条四郎時政と区別が出来ない。

●参考:「永井路子「炎環」!鎌倉殿の舞台裏…愛憎の炎が環る4人の物語」
https://favoriteslibrary-books.com/archives/nagai-michiko-enkan.html
・ももバナナ 「読書感想文『炎環(えんかん)』永井路子著」
https://note.com/momobanana3/n/na870f1fe223a
・いしまるゆき 「【読書記録】 小説 「炎環」 」
https://note.com/dotdotdot/n/nbb6da69764aa

記事は日本史関連記事や闘病日記。掲示板は写真中心のメンバーシップを設置しています。家族になって支えて欲しいな。