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【書評】『冥官小野篁』【ネタばれ】

与毛星和『冥官小野篁』───。

 主人公は「冥界の裁判官“冥官"であった」という伝説を持つ小野篁。史上に存在した・しないの論議がなおもくすぶる真井御前を「陰謀に隠された寵姫」と解き、誰もが知る「いろは歌」に隠されたメッセージに迫ることで浮かび上がる歴史の真実とは……?  
 内田康夫ミステリー文学賞受賞者が圧倒的な調査量で描き出す、ファンタジック・エンタテインメント&本格歴史ミステリー。

たった5日で重版とは、ベストセラーだね。

私も1万PV越えの記事を複数書いてみたいものです。

それが有料記事なら生活が楽になるのですが・・・。

<現在のベスト3>

1万人以上に読まれても、スキはたったの51><

さて、書評です。

何と言っても、まずもってサブタイトルが素晴らしい!!

───浦嶋子伝説と真井御前

そして、解説書並みの「圧倒的な調査量」で描かれている。

今の私にピッタリ!

(残念なのは、「参考文献一覧」に水野先生の著書が無かったこと。)

※「真名井御前」を「真井御前」と表記するのは籠神社と神咒寺だけかと。
一般的には、
 日下部浦島太郎の9世孫・小萩→結婚して真名井御前
ですが、籠神社と神咒寺では、
 籠神社の宮司・海部直雄豊の娘・厳子→結婚して真井御前
です。

 『源氏物語』の冒頭、「桐壺」を読んで思ったのは、

──これって、一条天皇と中宮定子のまんまじゃん。

ってことでした。
 『竹取物語』には政治的要素があると思うのですが、『源氏物語』にもあった?
 政治批判の(?)『源氏物語』の作者・紫式部が地獄に落ちるのを救ったのが冥官・小野篁です。(紫式部のお墓は、小野篁のお墓の横にあります。)

 私は、「浦島太郎伝説」には政治的要素があると思っています。

──海部氏(丹羽王朝)の復権

※丹羽王朝:丹波(旦波(たにわ))は強大であったので、丹波、丹後、但馬に分割された。
 豊、吉備、高志にしても、強大な国は分割された。

ところが、『冥官 小野篁』では逆でした。

──海部氏(丹羽王朝)の封印

 淳和天皇が一条天皇が中宮定子を溺愛したように、淳和天皇は真井御前を溺愛しているので、真井御前(海部氏)の子が天皇になったらまずい──そう思ったのは、

───藤原氏

 そこで藤原氏は、海部氏が中央政権に進出しないように「浦島太郎伝説」(玉手箱を開けて老人になって死んだ大馬鹿者)を広めて丹後勢を馬鹿にして中央政権への進出を阻止したと『冥官 小野篁』ではしています。(丹後では不老不死の仙人になって生きているとしています。)
 私的には、「真名井御前の脅威」とは、「生んだ子が天皇になっての海部氏(丹羽王朝)の復権」というよりも、真名井御前に最期まで従った女官が藤原氏のスパイの(?)和気清麻呂の孫娘であることを思うと、「空海と結びついての仏教勢力の拡大(奈良時代の状況に逆戻りし、第二の道鏡が出現)」ではないかと思います。

 結局、真名井御前が宮中を抜け出して出家することにより「真名井御前の脅威」は消えました。(中宮定子や桐壺更衣のように真名井御前をみんなでいじめて宮中にいられなくしたんだろうな。)

───藤原氏って黒い!

こうなると、藤原道長が紫式部に『源氏物語』「桐壺」を書かせて広めた真意は、

───親中宮定子派の洗い出し

『源氏物語』「桐壺」を読んで、「桐壺更衣が可哀そう」と言った人は、親中宮定子と見なされる───考え過ぎかな?


◎私が知っている「後宮脱出」の話と違う点
・真名井御前を逃がしたのは小野篁←夜にこっそりと逃げた。
・和気真綱の娘は捕らえられた。←和気真綱の娘も共に逃げた。

◎最終章

・いろは歌(空海作ではない!)の謎解き
・明治天皇の正当性

の話は面白かったです。


たった5日で重版するほど世に出回っている本でしょうけど、

定価1600円+税ですが・・・6279円!?

オークションサイトで売れば食費のたしになるけど、出品は出来ても発送がねぇ。包装してコンビニとか郵便局へ行くのが無理。

冥官小野篁 ―浦嶋子伝説と真井御前― | カーリル (calil.jp)


 真名井御前の淳和天皇を救うための大活躍は小説家の発想だなぁ~て驚きましたが、スピリチャルな方の空海と真名井御前は一緒に中国に渡ったって発想も凄いなぁと思いました。


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