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48.「少なくとも物書きは、そう信じなきゃだめだ。」

 「お前さ、怒りや恨みといったマイナス感情だけで書いてねえか?
確かに、それらは原動力になるし、モチベーションも高まる。
だけど、あまりいい投げ方じゃない。受けとめにくい。読者のことを考えるんだ。つつむように考えるんだ」

 でも********には何も通じませんよ。

「良く聞け」
*****の声の響きが強くなった。
「通じない人間なんて、この世に一人もいないんだよ。子供だって大人だって貧乏人だって低学歴だって政治家だって犯罪者だって、いいもの読んだら絶対に受け止めてくれるんだよ。少なくとも物書きは、そう信じなきゃだめだ。だから小説を書くなら、読者のことを考えろ。文章書くのが恥ずかしいとか、ストーリーがあるのが気持ち悪いとか、登場人物の名前をつけるのが不快だとか、そんなどうでもいいことに頭を使うひまがあるんならな」

 ※***部分はネタバレのため伏字

出典

佐藤 友哉『1000の小説とバックベアード』より。

ひとこと

再び、『1000の小説とバックベアード』の台詞からの引用です。

このくだりも、何度読み返したかわかりません。

物書きを目指していた頃(一時期目指してたんです。その辺の話はまたいずれ)よりも、その後の方が読み返した回数は多いかもしれないです。

この小説は徹底して「小説」と「小説家」がテーマの話なんですが、
小説とは直接関係ないところを目指すようになった今でも頷くところの多い、とても好きなくだりです。


やっぱり中古しかないんですよねぇ・・
三島由紀夫賞まで取ってるのに。。

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