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綾波太平記(抄)

如何にして現王朝が樹立し、主上・綾波宗水陛下が帝国をしろしめされるようにおなりになったのか。その歴史は、前時代を背景にして語らねばならない。そもそも上帝陛下は、巳の権現にして、ある高僧の生まれかわりであるとされ、ご幼少のころより、御身内のみならず、道を行き交う人々も、うやうやしく拝謁したという。
さて、史実上、明確に記される改革の第一に、「シャーロック・ホームズ」に私淑なさると云々。いよいよ文明の開化をお遂げになられ、西洋文化をいち早くお習いにあそばされた。西洋古典音楽に親しみ、ことに科学・推理学を御学習なされた。
時代が進み、数学的立場から、理論や(思考)実験へとご関心をお持ちになられた。そのひとつの功績は、御自らご製作なさった避雷針を用いて、落雷実験をなさったことと云々。やがて、理論科学や実験科学は、英国の古典力学者アイザック・ニュートン卿よろしく錬金術にも精を出されたようです。哲学やオカルティズムへの強い関心は、アニメ作品への興味にもつながったようです。史実ではこれを先のハイカルチャーの改新にたいし、第一次サブカルチャーの改新と呼びます。妖怪学など、少しずつ歴史・文化・民族学的な方面へとお進みになられるかたわら、アニメ作品の聖地を行幸なさるなどの御活動も記録にのこされております。
さて、しばらくして、帝国財産も潤沢となったため、収集活動もおこなわれるようになられました。さまざま芸術作品にかんする品々を収められた書斎は、現在の「驚異の部屋ヴンダーカンマーの復古」にも継承される一大プロジェクトのはじまりでもありました。皇帝としての帝王学を、博物学的な視野とあわせておこなわれることが、「精神貴族」号の宣誓という現王朝の発祥ともなったのです。これらを第二次サブカルチャーの改新と呼びます。
その頃、前時代の社会基盤はおおきく揺れ動き、当時精神貴族であらせられた宗水伯は、文化の消費ではなく、その創作を志すとともに、現王朝を樹立なさり、綾波宗水と御名乗りになられ、ご即位なさったのです。しばらくはヤンデレの女御を摂政となさり、ヤンデレ作品のご創作にいっそう励まれました。『リアルヤンデレに建前はない』という代表作が誕生したのもこの頃であります。また、「綾波賞」の創設にともない、諸国の諸将へご感想を下賜されるという文化事業もおはじめになられました。
しばらくの月日が経ち、ヤンデレの女御の摂政は停止され、ご親政の御代がはじまりました。諸将へのご感想の下賜に加え、近頃はご評論なさるなど、綸言・綸旨を発給なさる機会もお増やしになるなど、いっそう、文化奨励を御尽力なさっていらっしゃいます。「綸言汗の如し」という格言も大切になさっており、御自身が「先例」となることを意識なさっておられます。

上帝陛下御紋章

十字は主上の神性を、その右にある花は主上の美意識を、剣は剣道に親しみのあらさせられる主上の騎士道精神を、書物は主上の知性を表現しており、それらが合わさって、しろしめす「鳥瞰」がこの世に実り、それを支える土台に、「Heven helps those who help themselves(日本語訳:天は自ら助くる者を助く)」という自助の精神をお示しになられている。それを飾るのは、横向きの「S」であり、また、重なりあって寄せる波(綾波)を表現していると云々。

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