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あの冬の想い出

 普段は何かをつぶやくことなく、ひたすらにnoteやカクヨムなどの自作更新・新作投稿の宣伝に用いている我がXアカウントにおいて、これほど“つぶやいた”のはいつ以来だろうか。
 それというのも、故きを温ねたことによる。ひとまず三葉さんよう印刷し、穏やかなそれでいて淋しさも抱きつつ眺め、想いを馳せる。
 あの雪の降る街で過ごした少女たちとの写真を通して――――――。

 僕がDVD(俗に言う円盤)を全話はじめて揃えたアニメも『kanon』。
 何がそこまで惹きつけるのかと言えば、愛おしいキャラクターとのふれあい、罪悪感から起因する感動、他作には無い圧倒的な「奇跡」へのこだわりと描写の三点かと。

抜粋
絶賛の嵐

 上記のnoteでも触れているだけでなく、表紙は実際に持っている、本作ヒロインの一人「月宮あゆ」のフィギュア。あまりにも祈りの対象として完成された美少女像。
 25周年、新たな媒体でのリリースというイベントに際し、改めて彼女たちと接するというのは、まさしく本作の基本ストーリーとリンクさせてしまう。主人公が雪の街へ7年ぶりに帰ってくる時点から物語ははじまる。
 
 ちなみに、カノンという言葉は、例えばクラシック音楽でも有名な『パッフェルベルのカノン』などでも聴き馴染みのあるものと思われる。
 カノンCanonとは、その曲を聴いた事があれば、想像つくかと思われるが、「複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式」のことを指す。
 では、Kanonカノンとは何なのか。本作でも、音楽用語としてのこの意味を言及している。

 ではなぜスペルが違うのかというと、Cではなく、Kから始まるこの表記は実はドイツ語なのだ。
 パッフェルベルのカノンの正式な名称は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』。これをドイツ語にすると、『Kanon und Gigue in D-Dur』 (Pachelbel)。
 
 あえてのドイツ語であることについて、もしかすると何か資料があるかもしれないが、僕ははっきりとは知らない。
 作中にも目立ってドイツ的なところは無いように思われる。パッフェルベル自身、ドイツ人だったことに起因するとも考えられなくもないが。
 
 実際、Key作品は音楽へのこだわりを強く持っている。
 当時のKanonの偉業は、恋愛ゲームに18禁要素を重視しなかったこと、そしてOP、ED曲を導入したこととされる。
 なるほど、その絵は特徴的であるが、その情景の音が聞こえてくるようでもある。雪の音、風の音、舗装された道を踏む靴の音。そして、少女の憂いと詩的な言葉。
 このブロマイドが、ランダムでプリントされるのも、何か運命めいたものを予感させるようだ。

美坂栞、月宮あゆ
沢渡真琴


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