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なぜサスペンダーなのか。

 僕と、ある仲の良い友人は、スーツの際にベルトではなくサスペンダーであることが少なくない。
 しかし、サスペンダーに馴染みのない人にとっては、なぜベルトじゃないのかと単純に気になる事もあろうと思うので、ここはひとつ、うんちくと利点を語ってみようかと思う。


 僕も普段はベルトを締めている。だが、男女を問わず、オシャレの意味を無視すれば、ベルトは無い方がウエストが楽なのは共通認識のはず。
 ところが諸事情によってベルトは必須となるのだが、スーツの際にはサスペンダーの方が良いのではと近頃は感じている次第。

 なお、ここで僕が念頭に置いているのは、イギリス系マナーの上でのスーツの着用。
 スーツの形ではなく、マナーという観点では、イギリスかアメリカかのいずれかに大別できると僕は思っている。残念ながら僕が取得したマナー検定一級の試験内容には、スーツなどは含まれておらず、おもに礼儀作法についてであったので、あくまでも雑学と肌感覚に過ぎない。

 さて、イギリス流のマナーとしてよく言われるのは、ワイシャツも下着の一種のため、ジャケットまたはベスト無しで公共の場で活動しないという礼儀。いわゆる「クールビズ」などはどうしているのでしょうかね。サマータイムが解決しているのかしら。

 この観点から、サスペンダー(イギリスでは「ブレイシーズ」)もまた、人前に見せるものではないのです。ベストの下に着ておくようなものだということ。
 ところが、アメリカではサスペンダーとワイシャツスタイルで活動しても、それはオシャレの範疇として許容されているとか。確かに洋画でも、新聞社等で多々見かける気が。

 おや、英国紳士風というキャラ設定のある杉下右京は、よく特命係室内でサスペンダーだけのようですが。
 これは公私で言えば、もはやチェスやコンポがあるなど、自身の部屋のようなもの(私)ということで、ジャケットはいらないのでしょうかね。
 
 その点、古畑任三郎は、基本的にシャツも黒ずくめではあるけれど、サスペンダーとジャケットは必ずセット。ジャケット無しで居たのは、ビリヤードの際くらいか。

「相棒」公式Xより

 ベルトの歴史などいつからあるのかさっぱり分からないが(そもそも「舟」同様、明確にいつからだと言えるモノではないだろう)、サスペンダーはタキシードにも用いられるなど、公的な場の中でもよりフォーマルな際にもみられる。


 話のついでに、 蝶ネクタイのオススメの付け方を。いわゆる「Under the collar」というもの。
 なお、ここでのカラーというのは、色のことではなく、襟。
 明治のモダンな文化を「ハイカラ」と言ったりするが、それはあの時代に特有の、高い襟(high collar)のことを示し、それを着ているような「キザ」で「西洋かぶれ」を意味したりした。
 
 名探偵コナンのように、はっきりと蝶ネクタイと分かるかたちで付けるのではなく、これは19世紀前後の紳士階級の付け方のひとつで、挿絵の中のホームズは勿論、その時代の男性の写真をみれば、多くの人が、ネクタイの中でもボウタイ(蝶ネクタイ)を、襟の下に入れている。
 フロイトや近々、新・紙幣に肖像が載る渋沢栄一の写真などをWikipediaで見れば分かる。

ジークムント・フロイト
ボウタイを襟の下に入れている。

 サスペンダーは、パンツ(ズボン)を適正な高さに保ってくれるというメリットがよくささやかれているが、この点については、確かにベルトであると、ほんの1,2センチだろうが、落ちていることが分かる。
 普段着ならその程度、なんの支障もないものの、自分用に仕立てたスーツの場合は、気にしてしかるべきと言っても過言ではない。

 では結論。
 ベルトよりも楽な上に、よりスーツにこだわりを持って接するきっかけとなるのがサスペンダーというアイテムに他ならない。
 スーツやワイシャツ、ネクタイにお金を使うのは、服への投資に過ぎず、趣味と認識しているかは微妙なように、ひとつ、自分なりのモノを入れるのは、制服や社会からの要請ではなく、より自発的に楽しむ入口となるだろう。

 なお、サスペンダーはスーツだけでなく、オシャレとして用いられる方が近年は多いけれども、そちらについては他の方々に記述を任せる。

ホロライブ
「大空スバル」ちゃん

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