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絵画解説シリーズ・美術関連noteまとめ

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絵画解説や、テーマが特に美術(作品)に関連するnoteをまとめております。
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無憂宮の調べ、大王の音楽

 前々から欲しかったクラシック音楽のCDを購入した。「フルート協奏曲、シンフォニア集」。誰の曲かというと、フリードリヒ大王である。    ドイツ好き、世界史をよく学ばれた方であれば、その名に聞き覚えがあると思われる。  プロイセン王、フリードリヒ2世。  哲学者として名高いイマヌエル・カントは『啓蒙とは何か』において、啓蒙思想の盛んであった彼の統治時代を“フリードリヒの世紀”として讃えたことでも知られるように、フリードリヒ大王はその軍事的才によって強国たらしめただけでなく、

キミたちは“学芸員”を知っているか

 先日、僕が博物館学芸員資格を持っていることをついに明かし、いよいよnoteアカウントにも記載しだした。だが、そもそも学芸員というものがどういったものであるか、皆さん理解しているのだろうか。  まず、この資格は国家資格である。  ということは、法的に定められた過程を踏まえて、ようやく所持にいたる資格免許ということになろう。  前もって注記しておくが、僕はあまつさえ資格を持ち、したがって博物館で実習を受けたこともあるが、職業として勤務した事はない。  実際の場では、より広範な

拙者、侘数寄者に候。

 まずはじめに。  僕は書籍やフィギュアなどを集めはするが、何かのコレクターではない。  あくまでも関心を持っている対象を、可視化する意味も込めて、身の回りに集めているのであって、ひとつのモノ(切手や特定のキャラなど)を揃えようとするマニア的なコレクションは行っていない。  その意味で、僕はオタクという枠組みにも属さないことがある。  では、自身では何に属すると考えているのか。数寄者である。  数寄者といえば、茶道などでよく用いられる言葉だが、風流な人・物好きな人といった意

美術解説への憧れ

 昨日、投稿したnoteこそ、僕にとっての美術解説の第一歩となった。  YouTubeでは山田五郎の解説をほぼ毎回観ている。  またYouTubeといえば、VTuber事務所・ホロライブでは、「ラプラス・ダークネス」さんが絵画好きと以前言っていた他、ついには新人デビューした「儒烏風亭らでん」さんが、配信で美術解説すら行いだした。    しかも、僕が中学の時に興味を持っていた能面を付けて初登場。  悔しいが、僕は能面を持っていない。その上、美術好きだが僕は解説をしていない。わ

絵画解説「虚空蔵菩薩像」

 美術館などへ行くと、必ず気に入った作品のポストカードを買っているという話は、かつて書いたことがある。  それらはホルダーにしまっているのだが、唯一、飾っているものがある。  それが、「虚空蔵菩薩像」。  西洋絵画などであれば、写真・ポストカード立てに入れるのが通例だが、日本の仏画なので、ポストカード用の掛け軸をチョイスしている。  さて、「菩薩」というのは、悟りを開く前の修行段階の姿である。  虚空蔵菩薩の名は、空海について調べたことのある人であれば印象的な存在。それにつ

初めての模擬刀購入「歌仙兼定」

 きっとその日僕が竹光を買ったのは、起きてすぐに、山田五郎が時計について造詣深く語っている動画を見たことで、僕のコレクター魂が刺激されたからに違いない。 「竹光」:竹(樫)を削ったものを刀身にして刀のように見せかけたもの。 「模造刀」:「銃砲刀剣類所持等取締法施行規則」第17条の4に規定する「刀又はあいくちに著しく類似する形態を有するもの」。 「模擬刀」:日本刀の模造品。  以前、僕はドイツ軍用拳銃モーゼルC96のモデルガンを買ったとnoteに書いた。5万円弱と、なか

私的ゴシック論

 最初に断っておくと、ここで言うゴシックとは、中世の建築物などで用いられたゴシック美術・建築のことではなく、より近現代の趣味嗜好としてのゴシックを指す。つまりは、ゴスロリにおける「ゴス(ゴシック)」やゴシック文学と普段使う際の意味である。  そうなると、ゴシックというのは、『ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』などといった英国ホラーのひとつの潮流として定義づけられることが多々ある。  ここで注意していきたいのは、ホラーにもいろいろあるよという単純な指摘。例えばスリラーとホ