「耳をすませば」ロケ地 多摩・聖蹟桜ヶ丘

僕が東京に行って必ず行こうと思っていたのが多摩の「聖蹟桜ヶ丘」だ。

初めてジブリ「耳をすませば」を観たのは大学3年で、観終わった後のどこにもやりようのない懐かしさみたいなものを今でも覚えている。エンドロールの「カントリーロード」が終わって、しばらくぼーっとしてから、「耳をすませば ロケ地」で検索すると「多摩 聖蹟桜ヶ丘」がヒット。就活で東京に行く機会を控えていたが、聖蹟桜ヶ丘は東京駅からちょっと寄ってみるどころの距離ではない。だから東京に移住して実際に行動に移す半年間、僕はずっと「いつ行こうかなあ」という思いを抱きながら過ごしていた。


1回目は練馬の自宅から自転車で行った(二回行ったのだ)。青梅街道を西に行き、武蔵野大学の通りを南に折れ、三鷹と武蔵境の中間にある大通りをひたすら南下し、キリスト大学、東京外国語大学がある味の素ロード?を縦断し、多摩川の河川敷を西に行き、山を切り開いたバイパスを抜け、ここでようやく「聖蹟桜ヶ丘」という標識が見えた。片道20キロくらい。真夏の夜だったので、山を越えた頃には汗が尋常じゃないほど溢れていた。


多摩まで来てまず思ったのが、練馬や武蔵野との景色がまるで違うということだ。山は近いし、川は広いし、人は多すぎず、年代は様々。そう、新宿や吉祥寺に初めて行った時びっくりしたのが、見かける人全員が僕と同い年か、年下なのだ。なんというか、僕の時代はどんどん押し出されているんだなあ、という気持ちになる。

一方聖蹟桜ヶ丘駅の周辺では他人の生活感というのが何となく感じられる。自然がそう感じさせるのだ。それに聖蹟桜ヶ丘の住民と僕は少なくとも「耳をすませば」を知っている、という共通点があるはずだ(住民で知らない人がいるのだろうか?)。どれだけ険しい顔のビジネスマンでも、この街が気に入ってわざわざ移住してきたんだと思えば、ちょっと可愛げがあるというものだ。


オープニングのTake Me Homeが流れる中、ファミマで牛乳を買いにいく雫がちらと映るシーンの駅前

僕は自転車を押して「いろは坂」の方向に向かった。映画のオープニングでもこの坂は登場する。駅から5分も歩けば急な坂道が現れる。時間は夜の8時、何の変哲も無い休日だというのに、この時点で既に耳をすませばのファンと思しき観光客が前を歩いている。何となくわかるのだ。彼らは、僕と同じ場所に向かっている、と。

高い場所に見えるが、駅から10分も歩けばここに着く


閑静な住宅街をくねくね曲がっていくと、突然開けた「桜ヶ丘ロータリー」に到着する。雫が猫について行き、聖司と再開した場所だ。雑貨屋のモデルとなったらしい店も多分、あった。この喫茶店「ノア」がそうらしい。その横には海鮮の居酒屋みたいなのがあって、魚の匂いがした。ロータリーにはバス停が二つと交番、小さな公園、それといくつかの店があった。何だろう、やはりジブリのモデルという前情報があるからだろうが、ノスタルジアな雰囲気がある。ただの住宅地に変わりはないのだが、ジブリと言われると確かにジブリという感じがする。

桜ヶ丘ロータリー。左の建物に店が5つくらい入っている



上写真のモデル説のある喫茶店ノア


ロータリーから引き返す間に「金比羅宮」という神社がある。ここは杉村が雫に告白をしてフラれた場所だ。ここにも先客がいて、多分ジブリファンだったのだろう。

杉村が玉砕した神社

ラストシーン、聖司がイタリアから帰ってきて雫にプロポーズする丘を探したのだが、ネットにも的確な地名は書いていなかった。それっぽい景色のいい高台があったので一応そこで写真を撮ったが、作中ではもっと、立ち入り禁止区域っぽさがあったので違うだろう。


地上に戻り、大栗川の看板前で写真を撮った。地元民からしたら大栗川の何が面白いんだという感じだろうが、ここも作中に登場したので撮らないわけにはいかない。



以上、これが第一回耳をすませば聖地巡礼の内容である。第二回はその3ヶ月後の真冬に行われた。内容は同じなのだが、こちらは昼間に行ったので写真が明るい。参考に何枚かを載せておく。


昼間のロータリー
雫の団地
雫が階段を駆け降りる場所?



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