名物・珍味を求めて列島横断
人、食、酒。そして店の歴史や街の雰囲気も含めて、居酒屋の価値だと思います。
私は茶道に近い価値観だなと常日頃感じています。あえて、質素(侘び寂び)な店へ入り、店主や常連さんと会話し、ともすれば非効率と言われそうな時間を過ごす。
「お点前、頂戴致します」
「美味しく頂戴いたしました」
なんて、口にしてしまいそうです。
これは、純粋に料理の美味しさで良し悪しを決める他の一般的な外食ジャンルと大きく異なる点です。(昭和の喫茶店めぐりをしている人とは話が合いそう)
ビールを注ぎ方で差別化したり、
日本酒を銅製の燗銅壺でぴしゃりと上燗に仕上げたり。
その店で飲むから美味しいというものが実に多いものです。銘柄自体は自宅でも飲むことができる一般的なものなのに、なぜかとびきり美味しく感じる。不思議なものです。
この居酒屋マジックを私は「情緒性」と呼んでいます。
店の歴史、内装、店主のキャラクター、常連の人柄、地域性など、様々な要素が組み合わさって「情緒性」が生まれますが、その店・その地域でしか食べられない珍味や名物料理も、重要な要素でしょう。
戦時中に大陸で学んだ餃子を初代が店に出すようになったとか、このへんではホテイウオをゴッコと呼んで昔から食べているとか。見慣れない料理をメニューに発見したら、とりあえず頼んでみる。美味しくかどうかは別として、そこでしか味わえない味というのはとても楽しいものです。
郷土料理編
具体的に、おすすめの珍味や名物料理をご紹介します。
静岡・イルカのスマシ
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