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【毎日更新30】落語家のキャラ設定

2024年6月5日(水)

落語家で有名な方は、皆その人だけの「特色」や「キャラクターーがあると思います。

私が小学校に入学した時、人生初めての担任の先生である渡辺先生(仮名)は、とても強いキャラクターを自分で設定している方でした。

「私がかけているのは、メガネではありません。これは、私の身体から直接生えている『私の身体の一部』なのです」

最初の自己紹介で、黒縁の眼鏡をかけた渡辺先生は私たち生徒にそう言い放ちました。

他の生徒たちが、驚きと感嘆の声を上げる中…

当時、6歳にして相当なバラエティ番組を嗜み、6歳の段階ではあまり見ないほど「笑い」を理解していた幼き私は…

「これは、相当強引なキャラクター設定だ。後々、辛くなるぞ。大丈夫か、お前」

と渡辺先生の行末が不安でなりませんでした。

しかし、あろう事か渡辺先生はそれから半年の間「メガネは身体の一部」という設定を守り続け、生徒たちが隙を見てメガネを取ろうとすると、

「オラァ!これは、身体の一部だと言っているだろ!オラァ!」

と、激高されていました。

事件が起きたのはその年の夏、プールの授業。

ある生徒が溺れたのを見て(本当は全然溺れてなくて、大丈夫だったのだけど)、躊躇なくプールに飛び込み、生徒を抱え上げプールサイドに上がってきた渡辺先生の額にはメガネがありませんでした。

「生徒を運ぶ。道を開けなさい」

誰1人として、渡辺先生がプールに眼鏡を落とした事を茶化す事が出来るものはおらず、その次の日から、また何もなかったように「渡辺先生のメガネは身体の一部」という設定は継続されました。

キャラクター設定というのは、とても難しいものです。

他の人にはない、特性をもった落語家になる。

それを目指して、日々努力する毎日です。

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