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ほかならぬ人へ | 白石一文 | ☆☆☆

恋の形っていろいろあって、人口が58億人もいるのであれば、29億のパターン(1対1で考えた場合)あるわけだから、そう考えるとこれはそんな特殊なものではないのかもしれないけど。

結婚した彼女が、元カレのことをいつまで経っても忘れられない話。
って書いちゃうとあっさりしてますけど、実際はそういう訳でもないですけど。

タイトルの付け方

私の感覚では最後に「へ」をつけるということは、これは誰かに当てたもの?と連想させます。けどなんか違うんだよなぁ。手記のような描き方でもないし。最後までそれを意識してましたけど、そういう感じでもなかった。

変幻自在感

僕の中の壊れていない部分を先に読んでいて、理屈っぽい描き方(と言っちゃうと失礼ですね)が得意な人なのかなと思ってました。
けどこれは間違ってました。ものすごい軽やかな文体。情景を描いていると思いきや人物の話。あ、そうだ直木賞を取ってたんですよねこれ。
どこが直木賞だったんだろうか…。

ちょっと見てみましたけど、そうだそうだ、この人に漂う「品の良さ」。これ重要ですよね。
上流階級っぽい育ちの男子が主人公であったり、時折企業政治?のようなものが入っていたり、ただのシンプルな恋愛小説ではなくて、そういうコンテキストが見え隠れするところも、面白いところなのかなぁと思いました。

かけがえのない人へ

この本、二作構成でしたけど、私は実は二作目になっていたほうが好きでした。なんでだろうなぁ。多分、最後、黒木がいなくなってたからだろうなぁ。あれで終わって欲しかったので、あぁ、なんか理想の幕切れ…という印象だったんだよな。

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