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美しい距離 | 山崎ナオコーラ | ☆☆☆☆☆

とても神々しい話でした。タイトルに負けました。久々の星5つです。
私、この人好きなんだろうなぁ。

全般的にネタバレします。ごめんなさい。

ある男性の話。奥さんは、末期癌を患っています。
そして、抗がん剤治療、延命治療を行わないという方針。

つまり、そういうことです。明らかに、死を待つ物語です。

近い未来に、別れというものが待っているのが明らかな話ってあるじゃないですか。甘酸っぱい感じだと高校生、好きな彼は違う大学へ、とか、社会人だと退職、転勤で遠くへ、とか。

そういう系の物語とは方向性自体は同一なんですけど、病気、そして死、で別れるというのは明らかに違いますよね。会おうと思っても会えないもんな。やっぱ生きてることと死ぬことの差って明らかにデカい。それが明らかに予感できていて、実際にそのタイミングが来るのはいつだろうと待ちながら読む間隔、辛かったなぁ。

美しい距離というタイトルは、実際に読んで感じ取ってもらいたいですが、様々な局面でその、距離について描かれていたように思います。私としては一番最後の頃に描かれていた、死んでしまった妻をほんの少しずつ忘れる、忘れるとは違う、毎秒考えていた事が毎分になり、毎時になり、毎日、くらいまで間隔が広がっていく、その距離が一番好きだったなぁ。なんでだろう。多分、切ない気持ちになったからだろうなぁと思いました。

あと、良いなぁと思ったのは、夫の、器量の狭さね。もうすぐ死を迎えようとしている奥さんが割とどっしりと構えていて、そのギャップがとても目立っていました。

あとなんかいろいろ書きたいことがあったけど、感無量の気持ちでいっぱいです。

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