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ロードムービー | 辻村深月 | ☆☆☆

子供の冒険系、と言っちゃうと言い過ぎなんだけど、それ系の短編が3つ入ってる。

コミュニケーションって何歳になっても難しくてさ、子供の頃もこんな感じのことがたくさんあったよなぁ、と思いながら読みました。

辻村深月さん、すげぇよね、大人なのにその頃の感性をきちんと覚えてるんだもんなぁ。
いや、覚えてるから描けるというのは違うか。

中学生の頃とか、覚えてます?誰と友達で、くらいは覚えてますけど、

あいつと話すときはいつも緊張してたよな、とかさ、
あいつはいつも上から目線で、とか、
あいつ、実はちょっと好きだったんだよな、とか、

そういうの、一つひとつをきちんと記憶に残すのは不可能なんだけど、

こういう作品を読むことであの頃を思い出すことができるというのはとても気持ちの良いことだよな、と思いました。

それがいい思い出なのか、悪いのか、あるけど、なんの思いも持たないで暮らしていくよりは、だいぶ人間っぽさが増すから、良いよね。
薄っぺらいのが悪いわけじゃないですけどね。

あ、ひとつ、優しい予備校の先生が出てくる物語があって、
彼は生徒のわがままをそのまま受け入れてあげるんです。優しいから。
けど、その優しさは、何重にも思いが重なっていて、その観点がとても新鮮だったなぁ。

優しいのって、いろんな思いと表裏一体なんですよね。

本文に描かれてた話とは違うんですけど、私の思い描く優しさとは、二つあって、

・自分を殺して相手の欲望に合わせるから、残酷
・相手のわがままを諭すことなくそのままにするから、冷酷

のようなものだよな、と思います。
特にひとつ目、私、それで苦しめられることだってあるんだから、良くないよね。

自分に厳しいというか、自分を愛していないんだよな、これ。

全然本の話をしていない。

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